所詮一過性の話題、まさかどこの誰とも分からぬ者の書いたものをそのまま信じたり、それを唯一のソースとして商売を始める者はないと思うが、善良な業者又は飼育者がひどい目に遭うおそれが万に一つもないとは言えぬので、書くことにした。
外国産オカヤドカリは、植物防疫法上の
検疫有害動植物にあたる「
輸入禁止品」である。輸入した者には、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の罰則規定がある。知らずに入って来たものを防疫所に届けなかった場合も同じ。これは罰則規定の中で一番重い罪だ。
では網の目をくぐり抜けて
持ち込まれ、既に市場に
流通してしまったものはどうなるか。これは植物防疫官により
廃棄される。その処分を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。これは同じく二番目に重い罪。
輸入業者、
卸売業者、
ペット店、
購入者(飼育者)はそれぞれどれに当り、どのようなことになるか、冷静によく考えてごらん。輸入禁止品だから、どんな値段で仕入れ又は購入していたとしても、植物や容器包装のように検査を受けて合格、所持が認められるということはない。法律上
処分は廃棄のみだ。
尚罰則は
両罰規定というものであって、法人すなわち会社の代表者や代理人、使用人、従業員がした場合は、会社も罰せられる(罰金を科せられる)。
法で決っているということはそれなりの理由がある。先生方が国に皆の為に必要として定めた。ましてやこれは植物動物の生態系つまり環境を守る為にも必要な決まりだ。国民にはそれに協力する義務がある。たとえ法文上謳われていなくとも。
現代はボーダーレスで夥しい量の輸出入の品があり、他の輸入禁制品同様密輸の全てを防ぐことは至難の業だ。また銃器や麻薬等への取り締まりほどには、十分な職員も予算も植物防疫には与えられていないだろう。にも拘わらず、永年の苦闘の末遂にウリミバエの繁殖の根絶を果たしたように、目立たないところで地道に防疫官の方達は頑張っておられる。
知らずに買って飼っており、自分のタンクの中で生を全うさせる、外に放流しないというものまで言うつもりはないが、禁制品を所有していることを自慢し、生半可な知識や嘘の情報を流して他の者にも
法を犯させるようなことはしない。これは生物を飼う者、いやネットで情報の恩恵を受けている者にとっても
最低限の、社会的存在としての人のマナーであろう。
ましてやこのことを教え、不測の損害(
零細企業だったらダブル罰金と代表者の懲役刑で倒産、個人は前科者に、等)を蒙ることのないよう、違法行為は止めるようアドバイスしている者達への反発は、何をか言わんや。モグラには太陽は敵に見えるのだろうか。

0