拳ダコ自体には価値はない。見た目いかつい拳ダコはない方が、作らないに越したことはない。
だが、相当のスピード、力をもって相手の体に当て、大きなショックを与えるということは、その当てたこちらの体の部位にも大きなショックが一瞬にしてかかるということだ。骨折してはいけない。当て方、角度、握り方をしっかりするのは勿論、ある程度固く頑丈に表皮も含め鍛える必要がある。拳ダコ、それは拳頭、手首、肘が強い突きに耐えられるようになった証でなくてはならないのだが、拳自体がある程度固くならないと、突き鍛錬により手首と肘を鍛えられないのも事実。
昔は拳そして突きを鍛える為”巻き藁(マキワラ)”というものを庭の角に作ったものだが、今は庭もなく穴も掘れないというのが普通だろう。一方、サンドバッグなら揺れるし手応えもあり、蹴りにも使える。良いこと尽くめだが、値段も高く、支柱等も必要となり、やはりこれも設置する場所がない。
然らばどうするか。”拳立て”である。拳立て伏せ。腕立て伏せが手を開いて床に着けるのに対し、拳立て伏せは握り拳で床に接する。当然、初めての拳には痛い。特に板張りの床では、自重を支えるのだけで精一杯だろう。
初めのうちは布団の上や、座布団、電話帳や分厚いマンガ本を敷いてやってみる。電話帳・雑誌は段々ぐしゃぐしゃになっていくから、ガムテープなどで周囲を巻くと良い。これを二つ、左右両拳分作る。

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