昨日はautopageのほうでメンテナンス作業があったため(しかも途中でトラブったらしい)早朝から深夜までこのブログに接続できない状態が続いていた。中には「とうとう閉鎖か?」と心配された(期待された?)向きもいたかもしれませんが、そういうわけで引き続き健在でやってますんで一応念のため。もっとも、ここんとこ原稿・取材その他のいろんな案件が一度に降りかかってきて、ゆっくり日記を書いてる余裕もかったのだけど、少し落ち着きつつある感じでもあるし、御無沙汰のついでに取りあえず以下に1本。
ブログが止まってる間に高校野球、終わってしまいましたね。決勝戦の再試合というのが、あの太田浩司が投げた「三沢vs松山商」以来37年ぶりだったということもあって、ノスタルジーに浸る団塊世代のオッサンたちが定年間際でうじゃうじゃ社内にいる各マスコミも大騒ぎした模様。まあでも昨日あたりは所要で訪ねていったいくつかの場所でも、これが結構話題になってました。やっぱ高校野球が好きな人って多いんだよね。
それにしても、今は延長15回で再試合なんだな。確かに、あの炎天下で延々と投げさせるというのが医学的に見て自殺行為に等しいんだろうなというのは納得できるし、どっかで歯止めが必要だろうなとも思うんだけど、でも「15回」ってのはちょっと半端な気がするなあ。ここは一旦終わりにして翌日にまた9回(以上)やらせるというよりは、むしろそのまま19回でも27回でも、どっちかが疲れ果てて根負けするとこまでやらせたほうがすっきりしたんじゃないかという気もするんだけど、どうか? これが準決勝とかでまだ先に試合があるというならばともかく、もう次はない決勝戦なんだから、お互いの気のすむところまで延々とノーガードの打ち合いみたいな試合をやらせたほうがメディア的にも引きがよろしいのではないかと。
まあしかし、そういう意味では世の中全体が年々ヤワな方向へと進んでるみたいだからね。夏場に少年たちにあんなカンカン照りの場所で野球をやらせること自体が問題だって言う人もいるみたいだし、あるいは今から10年ぐらい経った後には夏の甲子園も全試合ナイターで、なんていうことになっているのかもしれない。
そういえば思い出したんだけど、昔読んだ水島新司の野球漫画『男どアホウ甲子園』の中に確か「
延長45回」というのがあったな。
それは甲子園での本大会ではなく大阪地区予選での話で、主人公の豪腕投手・藤村甲子園が率いる南波高校が、決勝戦で宿命のライバル高校と対戦。両校相譲らぬまま延長18回となり、翌日の再試合へと突入する。で、その再試合でも延長18回終了時点で決着がつかなかったのだが、しかし今度はここでゲームセットにするわけにはいかなかった。
というのは何と、その翌日にはもう甲子園球場での夏の全国大会が始まることになっており(確かに大阪府予選って現実にも各地区の中で一番最後のほうに代表が決まるが、それが雨天続きで伸びたという状況設定だったと思う)、しかも大阪代表の試合が、肝心の代表校が決まっていないにも関わらず、よりによって開会式当日の第1試合に組み込まれていたのだ。だから何としても今日中に決着をつけなければならなかったのだ。
今回の大会でも東北高校が本大会の数日前にやっと宮城県代表の切符を手に入れたなんてことがあったけれど、その比じゃないねこれは(汗)。しかしマンガの世界では結局「その日」のうちにも決着はつかなかった。延長45回、つまりまるまる5試合分となった壮絶な戦いは、一夜空けた夏の朝陽に向かって藤村甲子園が放ったサヨナラホームランでようやく決着。そして藤村は貰ったばかりの地区大会優勝旗を片手にその足で甲子園球場に突入し、第1試合のマウンドに上がる――。
という壮絶にハチャメチャな展開だったのだけど、しかしこれは当時の野球漫画の感覚からすれば、そんなに荒唐無稽な感覚でもなかっただろう。何しろその後には『
アストロ球団』なんていう凄絶極まりない作品もあったしな(笑)。
むしろ『ドカベン』にしてもそうだけど、水島新司の野球漫画っていうのは一見荒唐無稽なようでいながら、現実の「高校野球」というスポーツのディティールを実に見事に素材として活かしたエンターテインメントになりえていたと思う。
だから後年になって松井秀喜の5打席連続四球(『ドカベン』の中にも同じエピソードが出てきた)や、松坂大輔を擁する横浜高校の“明訓高校”的な活躍が現実に出てくるたびに、作品中のエピソードの数々がスポーツ新聞とかでも結構大真面目に取り上げられたりするのだろう。もっとも、最近の水島漫画(『ドカベン』や『あぶさん』はまだ続いていたりする)は作者の年齢的なパワーの衰えもあってか、現実世界における野球のダイナミックさ(それこそメジャーへと転じたイチローの信じがたい活躍ぶりなど)、またはそれと裏腹のつまらなさ(デコボコのグラウンドが消え、ドームや人工芝ばかりの小奇麗な屋内スポーツになってしまった。試合自体もつまらない)に作品世界が完全に負けてしまっているようにも見えて、たまに本屋などで立ち読みする際にも何だか寂しさを感じてしまったりするのだけれども。
ま、ともあれ今年も高校野球が終わりました。例年甲子園の決勝が終わると秋の気配が漂うとか言われるけど、今年は何だかまだ蒸し暑い。そういえば今年はまだツクツクホーシの声を聞いていないな。高校野球の予選を延ばすくらいに梅雨が長引いたわけだし、セミの世界のスケジュールも少々押しているのかもしれない。

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