そんなわけで始まったばかりだと思っていた2007年も、とっくに4月。このブログでも「とりあえず先月あったことの報告を――」とか毎月々のアタマに決まったように言っときながら、そのまま放置というパターンをひたすら繰り返してるわけですが(汗)。
で、懲りずに去る3月の報告なのだが、やはりこれは忘れずに書いておかねばなるまい。10日(土)の午後に、都内は江古田の
武蔵大学でこういう催し(↓)があったんですよ。同校が学外の一般の人々も対象に開催している「公開講座」で、今回のテーマは「
市民メディアは社会をつなぐ(インターネットによる日常生活の現場からの情報発信)」。3週連続で土曜日に市民メディア関係者を「講師」に招き、ワークショップや講演などを行うというものだったんだけど、その最終日にあたった当日の講師およびテーマというのが(以下、案内文から転載)――
第5回「シンポジウム…インターネット新聞が目指すもの」
モデレーター:松本恭幸(武蔵大学社会学部助教授)
パネリスト:杉浦裕樹(ヨコハマ経済新聞編集長)
竹内謙(日本インターネット新聞社代表取締役)
平野日出木(オーマイニュース日本版編集次長)
コメンテーター:鈴木賀津彦(東京新聞したまち支局長)
日時:3月10日(土)13:00〜15:00
――だったのですねこれが(笑)。
まあ、上記の何がどうしたのかということについては、敢えて今さらここで説明もしませんが(このブログをいつも読んでくださっている方々には先刻ご承知のことかと思いますが)、さすがに私も時節柄、当日会場にやってくるまでは「本当に今このメンツでやるんかいな?」と半信半疑だったほどだ。
上記「モデレーター」の松本恭幸さんに1月の末、別件でお会いした際にも「大丈夫なんですか?」と聞いたものだが「いやあ、人選が決まった後にああいうことになっちゃったもんで……」と苦笑していたものだった。確かに「インターネット新聞が目指すもの」というテーマであれば、人選的にもこういう取り合わせになるのは必然ではあるのだけれども、それにしたってねえ……。
ともあれ、心配半分・興味半分という心境のまま会場までたどり着くと、ひとまず予定の講師御三方が壇上に顔を揃えていたので一安心。もとより“例の件”には関係のない「ヨコハマ経済新聞」の杉浦さん(上の写真の向かって一番左)はいつも通りの飄々とした風情だったが、とはいえ真ん中〜右端の御二方(もちろん合間には互いに和やかに談笑していたりするなど、別に不自然な様子もなかったのだけれども)の間に流れる微妙な“間”は、やはり少々気にはなった。
もとより、テーマは上記の通りである。セッションはあくまでも御三方が、これまでインターネット新聞という媒体でのキャリアを通じてどのようなトライ&エラーを積み重ね、どのような実績やら教訓を獲得してきたか……という、それぞれによるベーシックな事例報告を主軸に淡々とした調子で進行。
また、公開講座ということもあってか、広々とした大教室の中には近隣から来たと思しき中高年男性の姿が目立ち(後で松本さんが挙手で訪ねたところ、「インターネット新聞」にも「市民メディア」にもこれまで関わったことのないという方がほとんどだった)、報道関係者といえば私のほかに、講師と一緒にやってきた「JANJAN」「オーマイ」のスタッフが数人いた程度。
というわけで、閉会まで特に波風が立つようなこともなしに粛々と進行したシンポジウムだったわけだが、終了前の質疑応答の末尾には私も手を挙げて、
「『オーマイニュース』さんと『JANJAN』さんの間ではこの1月に、(オーマイの)鳥越編集長が辞めるか辞めないかという話の記事が話題になりましたよね。これについてはその後、詳しくどこまでお話いただけるかどうかということは聞きませんけれども、この問題を御二方(竹内・平野の両氏)はどんなふうに受け止めたかというあたりの質問は最後に聞いておきたいと思います」
――と質問。いや、この日はなるべくこの件について黙ってるつもりだったんだけど、せっかくこの時期に、この2人が顔を並べる公式の場でこういう質問が全く出てこないというのは、クラブ会見で聞くべきことを聞かない大手メディアのクラブ詰め記者なみの怠慢ではないかと思ったもんで(笑)。
で、まずはこれに対する「JANJAN」竹内さんの答えは――
「鳥越編集長の記事ですか? 私のところで確か3本、鳥越編集長に関する記事が載ったと思いますね。この3本とも誠に正確な、いい記事だと思っておりますので、これ以上私から付け加えることはございません」
続いて、同じく「オーマイ」平野さんの答えは――
「初報が……『1月13日に鳥越編集長が辞任することが明らかになった』という記事が、確か12日ですかね、11日ですかね?(と、隣りの竹内さんに確認)それが出たんですね。
で、これは我々『全くの誤報だ』って答えたんですけども、『13日に辞任することが明らかになった』っていう、それがまあニュースなんですね。鳥越編集長の体調が芳しくないことは前からニュースでも何でもなくてあったわけですから、そこの部分をそういう形でニュースにしたのは全く間違いですということで、『誤報だ』というふうにこちらは回答した次第ですね。
1月9日に元木さんが我々のオフィスにやってきて、私も11日の――今ここにスケジュール帳がありますけれども――朝に元木さんと最初に会って、面談というかいろいろ話を聞いて、『これからjoinしてくださるのかもしれませんね』っていう話をして、接触し始めたことは事実ですけども、そういう断片情報から何故か『13日に辞任する』ということを作り上げてしまい、それをそのまま書いてしまう――まあ非常に初歩的な誤報ですね。全く無いことを作り上げてしまう誤報だったというのが、我々の認識ですね。
まあ、いろいろ中に書いてあることや、細々した点で合ってるところもありましたけれども、結局は根幹である『13日に退く』ということが明らかに間違いだったんで、『誤報です』というクレームを入れさせてもらった次第です」
――ということでした。まあ大人の解決”ってことですね(笑)。
聞きながら思わず内心「くかかかかか」と笑ってしまったものであったが、まあ私としてもこれ以上ここで突っ込もうというつもりもなかったし、この件についての話は以上で終わりになった。もっとも、少しフォローしたほうがいいということからか、後の話の中では竹内さんから「オーマイニュースが創刊した時もこちらからメッセージを送りましたが、その気持ちは今も変わっていません」、平野さんからも「市民メディアどうしでバトルをしても生産的ではない」といった発言が出ていた。
基本的には、私も御二方の言う通りだろうと思っている。だが一方で、既存メディアのような諸々のしがらみからは比較的自由である「市民メディア」であればこそ、こういう時にはお互いとことん、読者にも納得してもらえるところまで議論しあうぐらいのことがあってもよかったんじゃないかとも思う(「JANJAN」の例の記事を書いた記者がその後退職してしまったなんていうこともあっただけに、なおさらだ)。
また、変な言い方だが「市民メディア」というものはそんなに大人”になる必要はないんじゃないかという思いも私にはどこかにあるのだ。だって世の中に向かって「王様は裸だ!」と忌憚なく言えるのは「子供」の特権なんだから。
ともあれ、
こちらのブログでも既に1ヶ月以上続報が出ていないし、どうやら収束しつつあるかにも見える「鳥越問題」であるわけだが、ついでにおまけで紹介しておくと、先月はこんな報道もあった。『創』4月号の巻頭グラビアページなのだが――。
まあ、不透明決着でも灰色決着でも「決着」は「決着」だと言いたいんだろうが、それはともかく、どうして写真の真ん中の男性が「OurPlanet-TV共同代表の白石草さん」なんでしょうね?
記事中には「元木さんを含めて3人の強力な助っ人が加わった」などとあるが、少なくともこの記事の執筆者は「強力な助っ人」氏の顔はおろか性別すらもロクに確認しないまま、そういうことを書いているわけだ。オーマイニュースについて「本誌も注視していくつもりである」とも末尾にあるが、ようするに自分たち出版業界人のお仲間である「鳥越・元木」の動静にしか目が行ってないから、こういうバカ丸出しな、これこそ「誤報」を、しかも巻頭のカラーグラビアで堂々とやらかすのだ。
テレビや雑誌などのマスメディア業界には「市民メディア」や「インターネットメディア」と聞いた途端に「中身はいい加減だろう」「デタラメが多いだろう」「他人に伝えるということの初歩的な技術が備わっておらず、自己満足に終始している」といった差別意識丸出しの反応を見せる御仁が結構いるらしいが、実のところはプロのマスメディアですらこの程度なのであるから、「市民メディア」の関係者も少しは安心して良さそうだ。
以上、白石さん御免ね〜またこの話で(苦笑)。8日の件は後ほど改めてアップしますのでお許しを……。

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