二週間前の日曜日には「教会」で賛美歌きいてて、
一週間前の日曜日には「総会」で軍歌を聞いてたんだよな。
だからこの日曜日にはおとなしくしよう、と思ってたんだけど、結局夕方には来てしまいましたよ「池袋イーストパーク」、サンシャイン60のたもとへ。
その碑は公園の片隅の、できるだけ人目にさらしたくないという感じの一角にちんまりと設けられてあった。風雨に磨かれてくたびれまくったかのような石碑に「永久平和を――」とかいう陳腐な一文。ちなみに公園入口の案内図も「碑」と場所を示すだけで、それがいったい何を記念して設けられた碑なのかを表わす掲示物は何一つない。
これじゃいったい何の碑かわからないよ……という人には裏まで回ることをお薦めするが、今の季節はヤブ蚊が多くて大抵の人はパスするだろう。ともあれ、そこにはこう書かれている。
すぐ隣りにある公園の噴水脇の広場は、MTBを操って遊ぶ若者やらカップルたちで大層賑わっている。そんな風景をぼんやり眺めるうちに携帯に着信。飯田さんからだ。数日後、何十年ぶりにここへ来るというこの人のために、私はこの日、下見にやってきたのだ。
「いま“例の場所”にいるんですよ!」
「ほほーう!」
「でも、案外目立たないんですね。例の碑文の真ん前にいるんですが……」
「ああ、そこが処刑台だったんだよ」
「……!」
そうか、ここで東条英機が殺されたんだな……と思いながらすぐ眼の前の碑をしげしげと見る。案内板にも黙殺され、公園内の誰にも見向きもせされず、清掃係のおっちゃんにも大した敬意を払われず、ひたすらヤブ蚊がなわりをブンブン飛び交うだけの地味な石碑。通りを一本渡ればそこには「まんだらけ」「ブックオフ」などオタクカルチャー向けの、つまり東京裁判とは壮絶に縁のない世界のお店がずらりと軒を連ねていた。
上等じゃねーか――と、思わず舌なめずりしたくなる。今度の週末、はたしてこの場所でどんな光景が展開されることになるのだろう。

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