う〜む、8月ですか。いやはや……と、なんだか焦りモード(汗)。
10〜20代の頃だったら「おーっし! いよいよ夏本番だぜいっ!!」てな心境で迎えたはずのこの時期も、40歳も過ぎた今となっては「今年ももうここまで終わっちゃったんだなあ……」とかいうしみったれ気分にかなりの部分を支配されながら過ごしております(いやほんと、8月まで来たら大晦日まではあっという間って感じだもんな。若い人たちにはピンとこないだろうけど、このくらいの齢になるとだいたいみんなそんな感じになるらしい)。
まあしかし、この4〜7月あたりは何かと慌しいとか気忙しかったせいか、ブログの更新もいきおいサボりがちに。普段から気に掛けてくださっている各位には、本当に御心配をかけてばかりで誠に申し訳なく存じます。とりあえず、ここにきて少し落ち着いた感じですが、でも実はこれから先が何ともまた腰の落ち着かない状況になりそうなのだなあ(泣)。ともあれ、なるべく隙を見ては、これからまたぼちぼち報告・予告をしていければと思う次第。
そんな中、今週は月曜日(30日)の夕方から、珍しくR&Bのライブなどを聴きに行った。場所は渋谷でも麻布でも六本木でも代官山でもなく、なぜか新中野。
放送批評懇談会の中島好登(こと)さんから先日「いつも事務局の手伝いに来てくれる進藤(朝美)さんがボーカルをやってるバンドのライブが岩本さんちの近所であるから、みんなで一緒に聴きに行かない?」と誘われたのだ。
拙宅に最寄りの
新中野駅界隈といえば、もともとは青梅街道と交差する鍋横商店街を擁する中野区の中心街。ところが現在では新宿まで電車で6分の地の利が逆に災いしてか、商店街はもはや過疎地並みのシャッター通りと化し、時おり歯抜けのように生じる空き地にはさながら墓標のごときマンションが次々にぼんぼんブッ建ってしまっているという、ようするに単なるサラリーマンの寝ぐらともいうべき実に殺風景な街へと変貌しつつある。
そんな文化不毛の地にR&Bを聴かせるライブハウスなんてあるのかいなと思っていたら、あったんですねこれが。新中野駅杉山公園出口から徒歩3分の「
LiveCafe弁天」。よく見たら拙宅からでも徒歩8分の至近距離なのだが、青梅街道を渡った反対側(南側)にあるためか気がつかなかったのだ(すぐ手前のベローチェやマクドナルドにはほぼ毎朝起き抜けに新聞片手に行ってるんだけどね……)。しかも場所は1階にブックオフが入るビルの地下という、これまたいかにもた場違い気味の一角(だいたいここにはちょっと前まで定食屋か何かがなかったか? 安くなさそうなんで入らなかったような覚えがあるけど)。
ともあれ夜7時過ぎ、同じく放懇事務局の久野明さんも混じえた3人で現地集合のうえ中に入るや、意外にも広々と、かつ清潔な印象の店内だったので少し驚く。客層も勤め帰りに一人もしくは友達1〜2人を連れ立って静かにライブを楽しみに来たといった感じの若い女性たちが中心。
ほえ〜、新中野にこんなとこあったんだ。にも拘らず私は毎朝ここから100メートルぐらい先のところを、Tシャツ+短パン姿の小脇に新聞を挟み、寝起きの頭をボリボリとかきながら歩いてきたのだなと、思わず脇をすくめて頭をボリボリとかいた次第。
もっとも中島さんもスケジュールを勘違いしていたらしく、進藤さんたちのバンドの登場は1時間先だということがほどなく判明。3人でいったん店を出て鍋横近くのインド料理店へ。中島さんも久野さんも、どっちかっつったら70年代的にグニュグニュな音楽の世界に今もハマリ込んでる人たちなので(久野さんなんか、ライブハウスの店内でもピンクフロイドがどうたらとかいう話をしてた)、つまり3人とも場違いな客なのであった。
ちなみに、私自身の音楽体験は以前にも書いた通り、かなり遅れてビートルズやローリングストーンズやドアーズを遡った1960年代末期の時点でほぼ完璧にストップしてしまっている。
「オルタモントの悲劇」や、ジム・モリソンがステージ上でイケない(イケなくなかった?)ことに及んだ現場とかってのは是非その場で見てみたかったなあ(久野さんは「狂気」以外のピンクフロイドの旧盤を今度貸してくれるそうだ)。
ともあれアダシごとはさておき、1時間後には仕切り直しでいよいよ進藤さんたちのバンド「MuSia」の演奏に臨む。
キーボード、ギター、ベース、ドラムスにボーカルの二人というシンプルな編成。進藤さんと、ペアを組むボーカルの川田悠香里さんはどちらも裸足のまま真っ白な衣装をまとって登場した。ただ、いかにも華奢な進藤さんのワンピースに対して、ややぽっちゃりとした癒し系の川田さんはクルタ風の上下。
と、なると私のような悪い人間は、これまでの仕事上の経験からも「××××××の××××みたいだ」などと不謹慎極まりない感想を漏らすのであるが、これにはさっそく横の久野さんから「そんな悪いことを言っちゃダメです!」とのお叱りを受ける。
ともあれアダシごとはさておきU、ほぼ初体験のR&Bライブ、正直いって凄く楽しめた。全部で10曲ほど演奏された中で、私自身が知っているのは2曲ぐらいしかなかったのだが、約1時間に及んだライブ中はほとんどステージへと目線が釘付けになった。
それにしても進藤さんは、あのスリムな体躯のどこからあんなパワフルな声が出てくるのかとびっくりするほどの熱唱ぶり。とてもではないが放懇事務局で『GALAC』の校了作業にかかる私たちのすぐ隣りで黙々と事務をこなしているのと同一人物には見えない。このように普段見知っている人々の、こちらからはなかなか窺い知れない全然違う一面を垣間見ることができたという意味でも面白い体験だったんではないかと。
相方のボーカル・川田さんも見るからに実に可愛らしい、なおかつそれでいて凄くいなせなステージ上での容姿が強く印象に残った。やっぱジャズやR&Bだったら、それこそビリー・ホリディじゃないけど大地に根っこを下ろしたような母性的な身体から震動のように伝わってくるものがあるよなあ。
もっとも、そんな2人が曲間のMCになると本当に屈託なく、かつあどけない語り口と表情を隠さなかったのも面白かった。聞けば二人は同い年、共にまだ20代の前半だという。俺らが一番熱心に音楽を聴いてた頃に生まれた子たちなんだなあ……。
それにしても、思いがけず自宅の近所でこういうライブを楽しめる場所があると発見できたのは収穫だった。仕事を終えた後の夕べに、こうやって自宅の近くで友人たちとライブ演奏をユルリとした気分で楽しめるなんて、なんだか大人っぽくていいよなあ。けれども俺って大人になってからもう二十年も経ってるんだよなあ……とか何とか、まともな大人になりきれない万年青年(=万年不良中年)には、心安らかな気分に浸りながらもあれこれ考えさせられた、梅雨明け間近における新中野の夜なのであった。
あ、ちなみにこの「街角の夜のライブ報告シリーズ」、実はもう1本あります。またこれが素敵なバンドなんですよ(^-^)v どうか乞う御期待!

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