「槍沢ロッジの上にあるババ平をベースに、北鎌尾根をワンデイで駆け上ろう。」
これは、昨年の
「屏風〜前穂北尾根In A Day」プロジェクトの次なる課題として、この夏にやりたいと考えていたものだ。
今回は、ほとんど日が当たらないという優しいコンディションにも助けられ、ババ平発着で約9時間。 昨年の
前穂の17時間45分行動と比べるとあまりにも早く終わったことでやや拍子抜けの感もあり、勢いあまってテント撤収してその日のうちに上高地まで下山してしまった。
ところが、この「勢いあまった」分が実はものすごく大変で、三人とも本当に疲労困憊してしまう。長くきつい行動を行ったあとで、重い荷を背負ってさらに15km歩くことを軽く見すぎていたのだ。結局昨年と同じぐらい体のダメージだったような気がする。
ともあれ、キタカマをワンデイで登って、2日ですっきり帰ってこれたことは、なかなか良かったし、みんな良く頑張った。 メンバー:井土・下原・清水
7月27日(金)
5:20刈谷ハイウエイオアシス
14:00 ババ平BC

ババ平 なかなか良いところだ。
水俣乗越への道をちょっと偵察にいって、大飯食って7時には寝る。
7月28日(土)
2:00起床 スープ、パン、コーヒー、大豆プロテインなどの朝食。
2:55出発
3:55水俣乗越
ここから北鎌沢の出会いまで650m下降しなければならない。

暗闇の中、天上沢にドッロプイン。
出だしは相当に急な下り。今年は雪が多いので、この急な部分で雪が出てくることを非常に恐れていたが、その問題はなかった。
ざれざれで歩きにくい上に、下のほうが全然見えないので多少おっかないが、忠実に踏み後をたどれば問題ない。やがて傾斜の落ちた雪渓に降り立つ。まだ暗く、雪渓がずーと続いているように見えたので、軽アイゼンを装着する。ちょっと歩いたら雪渓終わりでがっくり。

夜が明けてきた。
あとは、多少歩きにくいガレ場を進んでいくと、だんだん歩きやすくなってきて、快適な河原歩きとなり、スピードも上がる。適当に進んでいけば間違うこともない。
5:00北鎌沢出会
出会いでは必ず誰かビバークしてるので、間違うことはない。(?)
よく間違うといわれる左俣との分岐は、上り始めてものの5分ぐらい。右上方から落ちてきている涸沢に入る。後は何も考えずに登って行き、最後のほうでやや右に曲がっていく沢に入る。

北鎌沢はこんな感じです。
北鎌沢で、単独を含め5パーティーほど抜かす。皆さんでっかい荷物で大変そうでした。軽い荷物でもこんなに大変なのにね・・・。
6:30北鎌沢のコル
独標の手前までは悪いところはほとんどないので、がんがん飛ばす。そのうちガスって来て、風がかなり強くなってき寒い。全員カッパを着る。

ちょっと登ったところで水俣乗越が見えた。下降路はおおむね赤線です。

独標のトラバース辺り
8:00ごろ 独標通過
このころから少し腹の調子が悪くなってきた。硫黄尾根のほうから温泉のような強烈な匂いがするなあ、と思っていたら、私の屁であった。年取るといろいろありますなあ。気圧の関係か、この屁は頂上を過ぎるまで続く。

独標の後はあまり一気に標高を上げることなく、数え切れないぐらいのピークを越えて進んでいく。北鎌平までは全般にもろいので注意。
ガスガスの中ではあるが、ほとんど道を間違うこともなく快調に進む。どうしても道が怪しくなってきたら、田辺さんからもらった手書きのトポを見よう。「田辺文字」が読める人なら、だいたい解決する。

もろいピークをいくつも越える。
最後の大槍の登りもガスガスで上は何も見えない。V級ぐらいのやさしい岩登りのセクションを越えたところで、清水君が「標高3100ぐらいです。」とか行っている。まだ80mもあるのかよ?と思いつつ2mほどの岩を乗越すと、目の前5mにほこらがあった!!
10:03 山頂
出発から約7時間。かなりへとへとだったが、気持ち的にはみんな余裕の登頂。
山頂には、なんとこのピークシーズンに誰もいない!よって、歓声も拍手もなく残念。しょうがないからMLにメールを1本入れる。
すぐ下降開始。穂先からの最初のはしご下りは、北鎌尾根のどこよりも恐いねえ。
そして、2本のはしごを下りきったところで・・・・ 雨。 すごいタイミング!
12:05ババ平帰還
雨の中撤収して、12:50出発
それはそれは辛い下りであった。
私はひざに来ていたので、段差の下りがつらい。横尾まではかなり遅れてしまう。
他の二人は、足の裏に巨大な水ぶくれを作ってしまい、平らな道も顔をしかめてゆっくりしか歩けない。 最後はハイカーにも抜かれる始末。
17:10 上高地
最終から2番目のバスで平湯に戻る。アカンダナ駐車場の階段を、手すりにしがみつきながら登って車に戻る。
高山市内で高山ラーメンを食べる。
左下は、飛騨牛高山中華そば1200円。他の二つは普通の高山中華そば700円。
この飛騨牛のために500円余分に支払う価値はないと断言する。