「翼」に関しては、以前に登った時からどうもルート図(昔の岩と雪の付録)と実際があっていないことに気付いていて、ひょっとすると別のラインがあるのかもしれないという疑問を抱いていた。今回はそれを検証したいという思いで登攀に臨んだのであった。 が、結果的に図らずも4ピッチ中の3ピッチは「山河微笑」を登ることになってしまい、まあそれはそれで非常に面白かったのだが、謎は謎のまま再び闇に埋もれてしまうことになったのである。
以下、記録。
メンバー:井土、下原
1P目:A1を避けて、山河微笑の1P目を登り、大チムニー基部へ。
2P目:大チムニー(翼・山河微笑の共通ピッチ)
3P目:山河微笑のクラックを上に見つつ、右へトラバース。清水-倉田組はさらに右にいったが、私たちは最初のルンゼ状になった場所を目指し、木の生えたテラスへ上がりこむ。
4P目:チムニーからコーナー状のクラック(フィンガー〜ハンド)を登り、オフィズスに入る。(家に帰ってルート図を見ると、この部分は「スコール」の3ピッチ目にあたる部分であることが分かった。古いトポでは5.9+ というよく分からんグレードがついているが、コーナー状クラックのところは5.10代を感じた。その上のオフィズスは5.8ぐらいか?)真上にどっかで見たことあるような美しいフレーク状のワイドクラックが見えるが、ギアが足りないので一旦切らないと進めない。左上にテラスっぽいところが見えたので、そちらに進むと、位置的に山河微笑の3ピッチ目の終了点と思しき場所にでる。
5P目:右に戻ってクライムダウンし、先ほどのワイドフレークに挑む。出だしの簡単なワイドをこなし、かぶり気味のフレアーしたフィストに入る。ここからが体感5.10。最初何度も吐き出されそうになったが、向きを変えたら入り込めた。1mも登れば楽になって、あとはオフィズスのぼり。さらに10mぐらい適当に登ってくと、「コックピット」とでも言いたいような岩穴が出てきて、そこに転げ込んで終了。充実のピッチであった。(家に帰ってルート図を見たら、これは山河微笑の4ピッチ目そのものであった。 あわてて岩森−神林ペアの7月の記録を見たら、おおっ!例のフレークの写真が出てるではないか!どっかで見たと思ったんだよね。)
ということで、私たちは山河微笑の1、2、4ピッチ目とスコールの3ピッチ目を登って十一面岩の左岩綾にでたのである。
そこからしばらく森の中を歩いて清水-倉田組と合流。山頂直下の汚い岩の上に這い上がり(ほとんど人が通っている気配がないが・・・)、再度ロープを結んでトラバースすると短いチムニーを超えてベルジュエールの最終ピッチのテラスに出ることが出来た。リングボルトの打たれた短いが結構難しいクラックと簡単なスラブを登り、絶頂に立つ。
歩きを挟んで合計7ピッチのクライミングで、結構充実した。