昨年より神チャンと北沢大滝〜本峰への登攀で東尾根、正面ルンゼを完登し、残りは直上ルンゼ。これを登れば3部作終了ということでいざ錫杖へ。
前日、駐車場に着くと小雪が舞っており薄い積雪。夜中は一時止んでいたが朝起きてみると又降っている。ちょっと遅めに出発することにして7時に出る。雪は例年に比べると少なく、岩小屋では一部地面が出ていた。
取り合えず、大滝の取り付き付近までゆく。雪の層は10センチほどあるが、非常に軽く寒波の雪ではないのでデカい雪崩の心配はなさそう。天気は相変わらず小雪…。オイラ的には明日に伸ばすことも出来たので天気が完全に回復する明日にしたい気分(実のところ写真も撮りたかったので)だったが神チャンは行きたそう。しばし悩んだが天気は回復傾向にあることは間違いないし、雲に切れ間も見えたので大滝に向かう。
大滝入り口はラッセルが深くなかなか進まないがルンゼが急峻になると氷が出てきて快適にアックスを効かす。途中、小規模な雪崩が上から降ってきてモロに食らうが体勢を整えて堪える。

大滝をラッセルする
ここから相変わらず傾斜がキツくなり心臓に悪い雪壁を越えて中央稜の上部に出る。

視界の薄い中、中央稜を詰める。
本来ならばザイルを出す必要のない箇所も雪が少なく際どい箇所もあったのでスタカットで洞穴テラスまで。既に昼になっていたので敗退の可能性も考えたが、取り合えず直上ルンゼの取り付きへ向かう。

洞穴テラスから雪壁をトラバースして取り付きへ
直上ルンゼは見る限り、結構立ってて両側の壁がなんとも威圧的。
1P目 神チャン。傾斜が緩めのルンゼを詰め45メートル。ルンゼ内の岩肌は殆ど摂理がなく、ビレイ点を作るのに苦労する。
2P目 大関。どうやらここがルートに核心らしい。短いがバーティカルなアイス部分が出てくる。ビビッて最初からスクリューを使い過ぎ、途中からかなりのランナウトを強いられる。30メートルちょいでスクリューが残り1本になり、おまけにここから又、バーティカル。上は傾斜が緩そうなので「突っ込むしかない」と思いきや左の雪壁を叩き壊すとなんと洞窟を発見。ここに入りこみ、壁に張り付いている分厚い氷の残りのスクリューをねじ込み、何とか摂理を探してロストアローとナイフブレードを叩き込んでビレイ点にする。

2P目を登る。氷が薄くスクリューの効きがイマイチで緊張させられる
3P目 神チャン。洞穴をチムニー登りで上がり最後のバーティカルを越える。あとは雪壁50メートルで東尾根のナイフリッジ終了点に合流。
何とか日が暮れる前に登攀終了。しかし穂高は雲の中で結局狙っていたカットは撮れずオイラは少々気落ち気味…。
ここからは通い慣れた北尾根を伝いコルから下降するだけだったが、雪が少ないせいか猛烈なゴジララッセルにつかまり全然進まず(泣)。いつもの倍位時間がかかる。日が暮れてすぐ穂高と笠ヶ岳の勇姿が雲から現れてその美しさにしばし感動するもコルから下る時は既に真っ暗。

日が暮れる中、本峰を後にする。
暗闇の中、北沢を交代でラッセルし7時前に岩小屋に到着。一休みして駐車場に戻ったのは8時過ぎだった。当然この日に帰る気力もなく毎度恒例、久々野の峠屋でケイチャン定食を頂き翌朝名古屋へ戻った。
感想
直上ルンゼは実質3Pなので本峰へは最も最短距離のラインでしょう。技術的には東尾根よりは上で正面ルンゼよりは易しいといったところでしょうか。まあ、2P目は相当にシシビれましたが…。最近登られたルートのせいか、支点もビレイ点も殆どないのでこれを如何に作るかがある意味カギですな。
ともかくこれで狙っていた3部作は無事登れましたが、やはりオイラ的にはも一度本峰へ行きたいです。3月位に誰か東尾根から本峰に行きたい人おらんかな?