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あとは、waka野郎よろしく
>はい、年末から6週連続雪山通いのwaka野郎です。ついに雪山がお腹イッパイになった記録を一筆。
shimizu、Ben、iwa、wakaで八ヶ岳東面の旭岳東稜に行ってきました。私にとってはだいぶ背伸びした山行であり、大寒波が襲来していた事もあって、無事な体で帰って来れるのかとかなり不安いっぱいのスタートでありました。
まず1日目
2/4(土)
7:00 美し森駐車場出発
9:30 出会小屋
12:00 懸垂下降地点
16:00 雪崩れそうな斜面
18:30 五段の宮下のテント場
駐車場に着くと私たちが1番のりで、早速トレースでお腹いっぱいになりそうな予感。その後天狗尾根に向かう男性2人パーティーと、ツルネに向かう男性5人パーティーと出会いました。この2日間では多分私たち含め3パーティーだけしか入山してないように思われました。

いざ出発
出会い小屋までは天狗尾根パーティーがトレースをつけていてくれた様ですが、膝までの雪で歩きにくく、しょっぱなから私は先頭よりだいぶ遅れ小屋に到着。少し休憩し、ハーネスを履いて小屋を出発。ここからは3パーティーそれぞれの尾根に向かって歩き出す、そうレッツラッセル!私もやっとラッセルの先頭に立って上ノ権現沢の尾根の取り付きを登り始めるものの雪が重い割に固まらない上に、雪の下から岩やら枝やらボロボロ出てきて全然登れずすぐ選手交替。
それまで履いていたワカンをアイゼンに代え、皆のだいぶ後ろを必死について歩く。
所々岩場を乗り越える所が出てきたりして、登山道でない道を行くとはこんな悪いものかと、じわじわ気付き始めたのでした。
この日は太陽は出ず薄曇りでしたが風はなく、空は落ち着いていました。しかし尾根上でふと上を見上げると旭東稜の核心部である五段の宮の岩場が現れ、それはまるで凍てつく真白な雪と氷で覆われた悪魔の居城の様にするどくそびえ立っているのでした。しかもその周りの空気は一段と灰色で重苦しくあんな悪魔の住む様な所に、どちらかというと冬山より温泉が似合うモッタリ系の私が一泊ツアーに向かうのかと思うと、既に生きた心地がしないのでした。
TOPをガンガン歩いてくれたiwaさんが休憩してるのにやっと追いつき、さらにshimizuさんを抜いてやっと2番手に。しばらくすると残置されたスリングなどがある懸垂下降地点と思われる箇所に到着。無我夢中でBENさんに付いていってたので気づいた時にはすでに「もう下何にもナイヨ!」という状態になっていました。必死に岩にかぶりつきながら、BENさんが教えてくれるスタンスとホールドを追ってなんとか通過。
「し、しぬとこでしたけど」と思いながら皆と同じように漂々とした顔でやり過ごす。ふーっ
そこから先はひたすらラッセル。今日のテン場は五段の宮基部ということでそこを目指して登るものの近いようでなかなか遠い。傾斜が強くなり雪も深くなり、皆の疲れも増してくる。もうじき、もうじき、と思いつつ先が見えない状況で、余計な焦りと時間の心配が出てくる。
そしてさらに草付きを登る様な悪い箇所が現れる。草付きデビューの私は「ピッケルもアイゼンも一度決めたら動かさない!」と下から指導があるものの、怖くて闇雲に暴れるばかり。荷物が重くて体が上がらない!絶対落ちれない!嫁入り前の私が言うのもなんですが、こんな状況下では本当にチビりそうになりますね。。色んな意味でヤバかった。
2回目に草付きが出てきた時は、1m位滑り落ちてBENさんにキャッチされ、重いお尻をピッケルで押し上げてくれるのを2,3回繰り返しました。もはや半死に状態。
16:00、やっとテント場にできそうな所に着く。しかし一度来たことのあるshimizuさんはここが予定の基部とは違う気がするとの事。でも時間も時間だし、とテントを張ろうかとなりましたが、雪崩そうな場所でもあったのでもう少し登ってみようと判断。

残業ラッセル 今何時?
そこからがさらに長い。私もピッケルを頭の上に振り上げつつのラッセル。こんなに雪があるのに固まらない。
暗くなってきてルートも分かりにくくなった頃、やっと五段の宮基部まで乗り上げる。しかしそこは細いリッジがあるばかり。呆然とたたずむ私を残し、皆必至の偵察の末リッジの端にあるギリギリテントを張れるスペースを見つけ出し、整地スタート。そして寒い寒いと文句を垂れる私を真っ先にテントに入れてくれました。
「よく頑張ったねぇ」というshimizuさんの言葉に生きた心地を取り戻し、長い1日に幕。
iwaさんのモツ鍋&うどんに舌鼓をうち、4人頭を並べて寝袋に入ってshimizuさんの怖い話を聞きながら、風もない静かな夜を過ごしました。
いざ、2日目
2/5(日)
5:15 起床
7:30 出発 五段の宮取り付き
13:30 旭岳ピーク
14:30 ツルネピーク
16:00 出会い小屋
18:15 美し森駐車場 下山

とってもきれいな富士山、まだ、余裕でした。
静か過ぎて全員寝坊!外に出るとリッジにちょこんと乗ったテントから富士山が雲海の上に浮いている。大快晴だっ!出発準備を整え、改めて五段の宮と向き合う。ドウモ!雪ベッタリです!と笑顔で応えてくれました。

五段の宮 めっちゃ雪 付いてるシ!
しかしこれを登ればすぐ終わりだし、岩場は私たちの独占状態。風もなく最高のコンディションの中、じっくり核心を楽しめそうな雰囲気でした。
BEN&iwaは直登を決意。しかし先行の様子を見て考えようと出発前は言っていたshimizuさんは、様子を見るまでもなく「左から巻きましょう」と判断し、2パーティー同時に登攀開始。
左からの巻きも悪そうで、ショックを受けました。しかし登らねば帰れない!
五段の宮を登る姿がビレイをしている私から見えていたのですが、テンション!という言葉の直後BENさんが太い枝と一緒にフォールするのを目撃。ヒヤリ。。しかし再度トライするBENさんを見て安心し、iwaさんも私とほぼ同時に登り始めたようでした。

五段の宮から眺めるツルネ東稜
草つきデビュー2日目の私は、この日さらに左手にバイルを手に入れた!レベルUPです、見た目には。
今日はロープがつながっているけど、絶対に絶対に落ちないようにしようと決心し、ロープを通る道をたどる。木の枝の間とか通っているし、スタンスがか弱い枝だったりするけどたどる。
この時私は気付く「前尾根とは違う」と。先週練習で行った御在所前尾根、あれが登れればいけると思っていたけど、ハンガーボルトはどこにもないし、木登りなんてでてこなかったし、何より草つきなんてなかった!途中に出てくる稜線のラッセルもなかったし、雪屁もなかった!甘かった、、と思い更に背中の荷物が重たく感じるのでした。
さて1ピッチ目を登り終える頃、なんと後からBENさんが登ってきて合流。残念ながら1段目だけで敗退との事。雪がすごくてとても登れない状況らしい。
2ピッチ目を登ると五段の宮上部に出た。頂上付近かと思って見上げたら、もっともーっと上にピークが見えた。全員が「昼くらいにはもう降りてんじゃないのー」という予測を打ち砕かれ愕然とする。
しかし雪モッコモコの状況でなかなかshimizuさんのリードも進まない。2番手の私はヨロヨロでshimizさんのトレースを壊しまわる始末。こんなんじゃ抜けれねー!と4ピッチ目から2番手BEN、FIXを張ってiwa、最後にwakaが階段を登るという感じでパワータッチでスピードアップ。

3P目 ずっとこんな感じです。
たっぷり雪のついたテントを担いだshimizuさんはスタート地点からすべてリードし結局7ピッチでピークに到着。私がピークについた時にはすでに13:30過ぎ。すぐに荷物をまとめてツルネへ向かう。ピーク下で待っていてくれたshimizuさんが最後尾についてくれてヨロヨロの歩みでツルネピークまで登りつめる、ゴールだ。

旭東稜山頂 ぐったりするshimizuさん 本当にお疲れ様でした。
ピークに着いた時shimizuさんが「あ〜疲れた!」とカラリと言いましたが、その一言に本当に全てが詰まっている様で、心の中でエコーの様に響きました。それぞれ全員がどこかでフォールし、チビり(そうに)なりましたが、そんな所を本当によくここまで全員無事に(特に私ですが・・)引っ張って来てくれたと思います。
ピーク下で風を除け、初めて4人が顔を合わせて休憩をとり、14:30からツルネ東稜からのトレースで下山開始。
美し森への長い長い林道は途中から月明かりに照らされ、各自ひたすら黙々と歩く。
18:15、ヘッドランプを着けて全員下山。
色々反省点のある山行ではありますが、とにかくこういう状況でした、遅くなりましてご心配おかけしました。私はいつもどこでも着いていきたいばっかりですが、今回ばかりは背伸びしすぎだったなと思います。
「来年リベンジ!(雪の少ない時に)」とiwaさんは張り切ってましたが、次は背伸びせずそれに同行出来るようになっていたいものです。

山頂より振り返り、ビレーするiwaさん。
shimizuさん、BENさん、iwaさん、お疲れさまでした、ありがとうございました。