メンバー
toku(記)、キスケ
年末年始の南アルプス縦走を直前に控え、私たちが選んだのがこのルート。
日向八丁尾根からの甲斐駒ヶ岳は、いつか冬にやってみたいと前々からあたためていたものでした。
今年は長期で南アルプスに入る予定なので、やっとその時が来たかなと、ワクワクしながらの計画でした。
八丁尾根は、甲斐駒ヶ岳を竹宇駒ヶ岳神社から林道歩きをしないで周回できる貴重なルートです。
今のガイドブックには登山道として表記されていませんが、大昔は登山道だったみたいです。
それを近年再整備され、登山道??として復活したようです。
夏はそれなりに登山者を迎えてはいますが、冬の記録は非常に少ないです。
そんな事も、この尾根に足を向かわせる1つの理由でした。
12/16 晴れ→曇り
直前の寒波と本日の悪天候を考えて、とりあえず早めのスタートで、4:15に竹宇駒ヶ岳神社をスタート。
でも、しばらく歩いても雪がない。天気も良さそうです。んー、山は行ってみないとわからない。

日向山までは雪はなく、6:40に到着。
ザックの置き方でも、その人の性格は出ますね。青がキスケ君。本人曰く、大雑把な性格みたいです。

大岩山の手前から雪が出てきて、少しだけラッセル。
キスケ君は前回ラッセルできなかったぶん、今回はやる気充分でした。
10:30に大岩山に到着。
ここまではキスケ君も余裕でしたが、本ルートの難しい所はこれからですよ。

大岩山の下りではキスケ君は相当に苦戦するかと思いきや、雪が全然なかったので問題なし。
一応、大岩山の下りで懸垂するかもと思ってロープは持参しましたが、不要でした。
2300mくらいから雪が増えてきて、2400mくらいからは深いラッセルに。
ここでワカンを装着。だらだらと長い尾根なので標高も距離も稼げず、やや不安になる。

烏帽子岳付近は雪も深く、岩場もあってそれなりに大変でした。ロープかお助けスリングくらいは人によっては必要になりそうです。

烏帽子岳に着いたのが15:10。
この日は六合石室に行く事が条件だったので、進退に非常に悩みました。
私たちの計画は1泊2日で予備日はありません。
これ以上進んだら、もう戻れないかもしれない。もし明日が悪天候だったら進むこともできないかもしれない。
今いる場所が進退の分岐点です。
適当なエスケープのないこのルートは、やや隔絶された場所にあり、それがこのルートの魅力の1つかもしれません。
逃げ場のない真剣勝負な男前のルートです。
話し合いの結果、前進することになりました。
ただ、キスケ君はこの時は六合小屋はすぐだから余裕と思っていたみたいですが、そんなことはありません。意外と大変です。
アップダウンとラッセルに苦しみながら、16:45に六合小屋に到着。

この小屋があったから頑張れた。疲労と眠気でフラフラな2人でした。小屋に感謝です。
この日は約12時間行動。
前回と今回でガスの使用量を調べました。
最近、私がジェットボイルを買ったので、どれくらい燃費が良いのか気になっていました。
結果は、前回の中アのテント泊が212gで今回の避難小屋では152gでした。
もっと少なくなると思っていましたが、こんなものなのか、使い過ぎなのか?
ちなみに、テント泊の212gは個人的には普通のバーナーと大差ない感じです。
やっぱり、燃費が良いと思って無駄使いをし過ぎなのかもしれません。
12/17 風雪→晴れ
前日よりマシなものの、本日は冬型予報で強風。しかも、かなり気温が低い予報。
小屋の扉を開ける時はドキドキでした。
6:10出発。幸いにも、思っていたより悪くなかったです。
が、キスケ君は相当に悪かったみたいで、余裕がありません。
その事は写真の枚数でもわかります。
前回の中アは、全く余裕がなくて写真はゼロ。今回は余裕のあった初日の前半に5枚を撮ったのみで、以降はゼロでした。これからは写真の枚数も進退の判断材料になりそうです。

意外と悪い甲斐駒ヶ岳までの道のり。キスケ君頑張って!

あと少し。キスケ君ガンバ!

8:35に甲斐駒ヶ岳山頂。出発から2時間少々。よく頑張りました。
黒戸尾根の下山も、それなりに大変かと思っていましたが、予想に反して人がバンバン来ます。
七丈小屋までに、たぶん20人くらいとすれ違いました。
こんな悪天候予報の週末でも、こんなに人がいることに驚きました。
トレースのおかげで下山はサクサク。黒戸尾根は八丁尾根や鋸〜甲斐駒ヶ岳の稜線と比べると風の影響が非常にマイルドです。隣の尾根なのに、どうしてこんなにも違うのか不思議ですね。

13:40に駐車場に着。
今回も出し切りました。お疲れさまです。
追記キスケ
tokuさんとは、お互い意見を出しながら行く山行を決めています。この山行を聞いた時、都合上予備日をつけれない段階で正直言って無理だって思ったのが素直な気持ちです。
だって、普通の人は無雪期の黒戸尾根ですら1泊2日かかるわけです。それを積雪期にさらに長く険しいルートを同じ1泊2日と言うのはやはり厳しすぎる。
何とか行ける方法はないのか?
前回の山行から体力的にはそう変わらないと思われるので、軽量化に力を入れた。
カラビナは軽いのを買ってきて、捨てロープスリングも6mmにした。
ゾンデも3mの自分のではなく会装備の軽いのにし200g軽量。
テント修理具もtokuさんと相談し最低限のものだけにし、いつも多すぎた食料も70g減らした。行動食もカロリーがある軽いもの、麦チョコや煎餅を取り入れた。
前回より、700gと修理具分軽くなった。
これが功を奏したのか、少しの間先頭に立ちラッセルをすることができた。
全力を出す。強い気持ちで山を登る!!っと自分に言い聞かせながらも、雪が多く、まずまず悪い烏帽子岳の途中で体が半分くらい死に絶え、体が疲れてくるとさっきまでの強い気持ちが陰り、だんだん弱気な虫が出てくる。
行動時間が10時間を超えた頃、三ツ頭到着。
鋸縦走した時に、三ツ頭から6合目石室は近く感じたが、とんでもなかった。もうペースを上げるだけの力はなく、ただただゆっくり歩く、6合目石室に着くと心底疲れ果てていて、そのまま寝てしまいたかった。
疲れすぎていて、夜うなされて2回起きた。悪天で降りれず上司に仕事行けませんって電話する夢をみた。
初日に疲れすぎて次の日心配だったが、置いてかれながらも何とか気持ちだけで甲斐駒ヶ岳まで歩けた。
黒戸尾根のからの長い下りの最中、いい事と悪いことが1つづつあったが、それもこれもここまで歩けたと言う事。
tokuさんは心技体どれも強く凄いです。今回の山行では、心の部分は、ちょっとは追いつくことは出来たでしょうか…?
次の年末山行も今まで通り全力で頑張ります。