メンバー
toku(記)、キスケ
大野市から荒島岳を見ると、大きく目立つ谷が2つあります。
山頂の右に抜けているのが『横谷』で、左に抜けているのが今回の『大ワサビ谷』です。
『右稜』とは、山頂に向かって右側、つまり大ワサビ谷の左岸にある尾根です。

取付きはいろいろありますが、昨年のヒメマチ稜と同じく、しゃくなげ平から小ワサビ谷の横にある尾根を下降しました。
1日目 1月18日
8:30 勝原スキー場跡〜11:30 しゃくなげ平手前(雪洞作り)〜偵察
日帰りでも行けると思いますが、今回は雪洞泊も1つの目的だったので、2日間かけて荒島岳をじっくりと味わう計画でスタート。
雪の量や地形を観察しながら登っていきますが、雪洞できるかな?と、ちょっと不安でした。
しゃくなげ平付近では厳しいと思って、その手前の斜面が急になるあたりを選定。

木の枝や土が出てきたりしてヒヤヒヤしましたが、うまくかわして1時間半で完成。
キスケ君が表札を作ってくれました。いい感じの家に仕上がりました。
残り時間は偵察へ。幸か不幸か、この日はガスガスで視界は50mくらい。
この日のもう一つの目的は、キスケ君のルートファインディングです。
右稜の取付きまで行けるかな?
結局、2時間くらいさまよって時間切れ。でも、惜しい場所まではたどり着けました。
視界があれば問題なかったかもしれませんが、この日はちょっと難しかったかな。
これからも、こう言うトレーニングを積み重ねて頑張って欲しい。

キスケ君持参の高級ローソクでムードもいい感じです。女子力の高さでルーファイのミスを帳消しにしましたね。
快適な雪洞のおかげで、2人ともよく食べよく眠れました。
2日目 1月19日
6:20 雪洞出発〜6:35 しゃくなげ平〜7:10 右稜取付き〜9:20 中荒島岳〜9:45 荒島岳山頂〜12:00 勝原スキー場跡駐車場
朝起きてみると、意外と冷えてくれて雪がけっこう締まっている。それでも1月としては気温は高いけど、昨日のベチャベチャな雪とくらべると全然良い。
ワサビ谷の雪崩のリスクもあるし、雪が腐ると登りにくいので早めスタートと言っていたのに、いつも通り30分くらい遅れてしまう。今回は雪洞が快適すぎて緊張感が足りなかったのかもしれません。反省。

小ワサビ谷の横の尾根から見た右稜。左の大ワサビ谷と右の横谷に挟まれた、写真の中央の尾根です。
ガスの手前は急登に見えます。ガスの先は見えずで、期待と不安で緊張します。

970mくらいから、小ワサビ谷と大ワサビ谷の合流点を目指してトラバース。
合流点の小ワサビ谷側には穴が開いていて水が流れていました。その上のワサビ滝にも流水あり。スノーブリッジの踏み抜きに注意。

前半は雪壁や難しくない尾根を登ります。うまい具合に雪壁や尾根が弱点として繋がっていて、『ここを登りなさい』と言ってくれているくらいルーファイは明瞭です。

1250m付近のやや細いところ。ここからが本ルートのハイライトです。

下部は木が多くてスッキリしませんが、上部はなかなか良い雰囲気です。
尾根も『それなりに』細いくらいで、難しさはあまり感じませんでした。今回は雪が締まっていて安定したので、ロープを出す事はありませんでした。雪の状態によっては、雪壁やルンゼ状の地形での雪崩に注意が必要だし、ヤセ尾根ではロープが必要になると思います。

おっ、近くにめちゃくちゃ素敵な尾根を発見してしまった。かなり細くてセクシーです。これは相当に良さそうです。
しっかり研究して、来年行ってみよう!

登りきると、中荒島岳に到着。しかし、下山はしないで山頂を目指します。

『アルパインクライミングは山頂を踏んでこそ!』なんですが、雪に埋もれて山頂の標識は雪の中。
キスケ君が探している辺りかな?今回もよく頑張りました。
下山はハイウェイコース。この日は天気もよく7人くらいとすれ違いました。
何人か私たちのトレースにつられて、小ワサビ谷横の尾根を途中まで下りてしまったみたいです。
他人のトレースに注意!

もちがかべ付近から見た大ワサビ谷右稜。

下山途中でソールが剥がれてしまいました。私が初めて買った冬用ブーツです。
5年くらい使ったのかな。お疲れさまです。今までありがとう。
そしてキスケ君。今回もありがとう。来年は『あの尾根』に行けたらいいね。
お疲れさまでした。
追加キスケ
雪洞作りは、今回で3回目。わりかし雪が柔らかくスムーズに掘れたような気がしました。
久しぶりでもっと暖かいかと思ってたけど、案外寒い。気温的には高いはずなんだが…
大わさび右稜の取付きは、視界がない状況では探しきれなかった。シャクナゲ平から、佐開コースの登山道を山座同定し登山道から1050mあたりから南西に伸びてる尾根に乗れば、大わさび谷と小さわび谷の出会いが見えると考えていたが、そう上手くはいかなかった。
シャクナゲ平から出る佐開コースの尾根も明瞭ではなく、東の方へ尾根を探しに行き小さわび谷の源頭も分かりづらく、小わさび谷内の起伏に何度か騙された。谷が広い為、自分が谷内にいる事さえ言われないとわからなかった。
一瞬視界が開けて、自分が行きたい1050mあたりから南西に伸びる尾根を発見。そこに行く頃には、ガスと雨で何も見えない。水の音がして尾根を下って行くとやっと出会いを見つけた。左岸には、うっすらとバリエーションらしい尾根がある。
間違いないと思っていたが、tokuさんにあれが大わさび右稜ですって言うと浮かない顔。
それは、ヒメマチ稜でした。tokuさんに、ついて行き大わさび谷と小わさび谷の出会いに行く。
10分足らずのところだったが、1050mmあたりから南西に伸びる尾根から、大わさび谷は尾根とガスで全く見えず。視覚頼みのルートファインディングでは、見つからないのは納得だった。
悔しい思いもしたが、これが実力なので仕方がない。もうちょっと勉強と経験を積もう。次の日見ると、大さわび右稜とヒメマチ稜両方が見えていてルートファインディング的には簡単に思えた。
大さわび右稜は、僕だけ沈む…クライミングスキルと体重10キロの差はでかい。取付きあたりは、サクサク進んでたが中盤を過ぎる頃から僕だけハマってました。気温が上がってきたのかな?
二番手なのに普通にラッセルしてるようだった…
次はここをリーダーでこれるようにたくさん経験を積もう。