体力トレーニングに行ってきました。
キスケです。
南アルプス北部の甲斐駒ケ岳は、僕の好きな山の一つで初めて自分で登ろうと思った山であります。
それ以降、離山〜甲斐駒ケ岳、冬季日向八丁尾根〜甲斐駒ケ岳、冬季鋸岳→甲斐駒ケ岳と短いスパンで3回も行っています。そのどれも厳しく辛い登山でしたがいい思いでです。
今回は、冬季に行った鋸岳→甲斐駒ケ岳と同じルートをワンデイで行ってきました。
鋸岳をワンデイで行く人は大抵、角兵衛沢から登り熊の穴沢から降りるか、北沢峠までバスで行き甲斐駒ケ岳から角兵衛沢を降りるかのどちらかだと思います。
トレーニングという事で今回バスは使用しないで行きました。
タイム
戸台川駐車場3:40→角兵衛沢出合5:30→角兵衛沢コル8:45→鋸岳第一高点9:05→第二高点10:10→中ノ川乗越10:30→三ツ頭分岐11:20→6合目石室12:05→甲斐駒ケ岳13:50→北沢峠17:05→戸台川駐車場19:40
トータル16時間、CT20時間50分。
CTの78%。
荷物は1泊を仮定して10キロ。
戸台川の駐車場に着いた時、辺りは真っ暗で単独という事もあり行くのに躊躇する。草むらからは、ガサゴソ音がするしまた熊でも出るんじゃないかと内心ビクビクしながら、ヘッデンを点けて進む。
ヘッデンの明かりだけでは、ルートを外すことがあり、渡渉(飛び石程度)や歩きにくい所を歩いていた気がする。
それでも、角兵衛沢出合まで1時間50分程度で着く。
冬に歩いた時と同じくらいの時間という事は、ルートを外していた時間もそれなりにあったと思われる。
ここまでCTの68%。
角兵衛沢に行くのに、戸台川の右岸に渡る必要がある。

それまで何となくやり過ごしてきた渡渉だったが、梅雨時の戸台川は飛び石ではどうにもならず仕方なく裸足で渡渉。
水は、膝程度で冷たいがなんて事はない。
戸台川の右岸にはハンモックとテントが張ってあったが、人はいない様子。
角兵衛沢の出合からコルまで標高1300mの登りである。
最初の方は、樹林帯でなんて事ないが途中からガレガレで非常に歩きにくい。
途中いつか使いたい岩小屋の様子を見に行ったが2人用のテントがやっとな気がする。水も出ていたが細く渇水期や冬場はおそらく使えないでしょう。

岩小屋の様子
頑張ってガレ沢を登っていると先行パーティ発見。
しかし、この先行パーティはなかなか早かった。
角兵衛沢のコル手前で早い先行パーティを抜いて、コルで休憩。コルは、冬に来た時の1日目の幕営場所。
その場所を確認してみると切り立っており、冬場にそこにテントを張ったとは思えないような場所でした。
角兵衛沢出合からコルまでCTの72%。
角兵衛沢からすぐ行くと第1高点。
第1高点では、2パーティいました。角兵衛沢出合に幕営していた人のようです。
コルから第1高点まで100%(コルで休憩10分)。
第1高点からすぐ行くと小ギャップがあります。
冬季は懸垂をするしかなかったけど、今は無雪期なのでクライムダウンしようとしたが予想以上に悪い。
鎖を使っても空中になる。足場のホールドが乏しく難しく感じました。
そこからすぐ行くと鹿の窓。
冬季は鹿窓を直登したが、今回は穴をくぐる。
穴から出ると鹿窓ルンゼに出るが、これもガレ沢で足場がどんどん崩れて行く。
鹿窓ルンゼを降り適当な所でトラバース。
無雪期は大ギャップは巻けるので巻くとする。大ギャップルンゼもこれまた悪く剱岳の池ノ谷を思い出す。
この辺りは冬季のほうが歩きやすいでしょう。
大ギャップルンゼもトラバースし、登り返すとすぐ第2高点。
第1高点から第2高点までは結構近い。
第2高点から下るとすぐ中ノ川乗越だが、毎度のことガレ沢の下りでこれがなかなか疲れる。
中ノ川乗越までおりて一息。ここからは幾分マシになるはず。
第1高点から中ノ川乗越までCTの56%
中ノ川乗越から甲斐駒ケ岳方面に行くとまずまずの登りがあってこれがなかなか辛かった。
ここまでくると遠かった甲斐駒ケ岳も幾分近く見える。
視界もあっていい天気。虫が多いのと松ヤニが新しいRPSロックパンツに着くのが嫌だが…
歩く事1時間足らずで三ツ頭に到着。
ここは日向八丁尾根からの合流地点。あの時も14時間くらい行動していてへろへろで死にかけていたなぁ。
ここに来るときは、厳しい時が多い。そして今回だが、今はまだ余裕はある。
三ツ頭からすぐ行けば、6合目石室。
日向八丁尾根から来たときはあんなに遠く感じたのに意外に近いんだ。
中ノ川乗越から6合目石室までCTの73%。
六合目石室で大休止。
北沢峠のこもれび山荘の人がゴミの清掃をしていた。
六合目石室では、重りとして持ってきた餅を4つとココアを飲んで回復のはずが、いざ甲斐駒ケ岳に向かうと疲れが出ていてペースが上がらない。
それでも、先行者を抜かして頑張って甲斐駒ケ岳へ。
六合目石室から甲斐駒ケ岳までCTの116%(六合目石室で40分休憩含む)
甲斐駒ケ岳からピストンして熊の穴沢を下ると計画もあったが、悩みに悩んで辞めることにした。
靴のソールの剥がれや時間の関係があったけど、これはおそらく言い訳で、一番の理由は体力的なことや12時間行動した後に足下から崩れるガレ沢を下るのに不安があったのだ。
こういう経緯で、双児山経由で北沢峠へ下る事にしました。
甲斐駒ケ岳の下りで疲れが足に来ていて、スピードは上がりません。頑張って双児山から下りるものの一向に北沢峠が見えてこない。歩き続けてやっとの思いで北沢峠へ着いた。
甲斐駒ケ岳から北沢峠までCTの111%(甲斐駒ケ岳での大休止30分を含む)
このままだと最終下山時刻の20時に間に合わないと思い、足にムチを打ちながら走る事に。
膝も痛くなってくるし、疲れからか足がもつれてくる。
幸いな事に日は長く7時でもだいぶ明るい。
フラフラで戸台川を下る。
途中、派手なアウターを着たおじさん二人がBBQをしている。こっちは疲れていて挨拶も億劫な状態なので、無視していこうと隣を通り過ぎたらただの大きな石だった。
頭と目も相当疲れ切ってるようだ。
その後も、戸台川のほとりでテントが沢山貼ってると思って近づいたら石だったってことがあり、疲れはピーク達していた。
幻覚を見たのは、年末の赤石岳、越前兜と3回目だが、1日に二回も見ることは初めてだ。
僕は案外こういうのを見る人なのかもしれない。
やっとの思いで戸台川を下りきり駐車場へ。
時間は19:40分。ギリギリ16時間行動で過去最長でした。
北沢峠から戸台川駐車場までCTの59%。
なによりも楽しみの温泉もご飯もやってなかったので絶望して帰ることにしました。
どろどろ、ぐちゃぐちゃだったので全身デオドラントシートで拭いたら多少マシになりました。
極限の疲れの中、下道でとろとろ帰りました。
結局家に着いたのは2時…家から家まで27時間の旅でした。
行動食:イチゴジャムパン、ソーセージパン、メンチカツドーナツ、4個入りドーナツ、ウィダーインプロテインゼリー✖2、ヴァームゼリー、醤油餅4個。
行程が20時間程度あるとCTの6割ほどで行動するのは、今の自分ではちょっと厳しい。
CTも内容も西穂高奥穂高より厳しめな印象。