南より北の天気が良さそうだったので、珍しく大日ヶ岳の沢に行きました。tokuさんが急遽行くことになってG、しも、tokuの3人です。
序盤は美しいナメが続き、その後はいくつか易しい滝がポツポツとあります。こっちの方はしばらくまとまった雨が降っていないので水量を心配してましたが、ちょうどよく遊べる感じの水量になっていました。平流でやや退屈かと想像してましたが、ずっと楽しんで登っていけました。

「うおーっ!わしがささえている間に下を通り抜けろーーー」って、3回もやらせんでくれ!疲れるわ!

ここだけオレンジ色でした。
やがて核心っぽい15m滝に付きます。

ここは右の草付っぽい壁をtokuさんリードで登ってもらいます。

結構立っていますねえ。難しいわけではないけど、岩が非常に信用できない感じなので神経使います。

次のV字滝は、まず私が空荷で滝のすぐ横を途中まで登り、釜に飛び込む。
「上の方も簡単そうだったよ」とそそのかしてtokuを行かせる。

予想通りtokuは簡単そうに登っていった。
でもそれを見たあとの二人は、なんか怖くなってもうちょっと左の通常ルートから登りました。

二条の滝
これの右巻きはちょっと悪かった。地面に刺せるものが何かあった方が良い感じだった。
1046の二股を過ぎた辺から伏流になっているようで、完全に水が無くなりました。すぐに復活するような話を聞いていましたが、全然水は出てこない。
そのうち何やら壁に行き当たりました。

しかも結構難しい。
力で無理やり登ったが、こんなことどこにも書いてなかったよなあ・・・??
家に帰ってから気付いたのだが、実はこれが「二股の滝」だった!
通常は(以前は?)写真の青い線の辺りに水が流れていて、まあまあ立派な滝になってるのだが、今は完全に乾いてる!
そしてネットの写真を見ると、上の写真の黄色く塗りつぶした所あたりに昔は大きな踏み台のような岩があって、そこから簡単に登れたのでありました。納得しました。
さらに進んで地図上では三又になっている辺まで来ましたが、その先の「3段の滝」も水ゼロ運動実施中。たぶんこの先もずっと「乾きの地獄」でしょう。ここで帰ることにしました。
少し下ったところで、あらかじめ目を付けておいた左岸の支流の下にきました。見上げるとお湿り程度に濡れた泥壁みたいなルンゼ。ネット上には記録のない「未知の谷」です。(一番下の地図参照)
ここで作戦会議。
「水ないですね・・全然イメージと違う」
「もうすぐ13時だよ。はまったら厳しいんじゃない?」
「標高差250mだもんで、何もなければすぐ終わると思うけどなあ・・でもそれは行ってみないと分からない」
「そりゃ体力的にも暑さ的にも、沢を下るのが絶対確実だよ」
とこんな感じで、ネガティブな意見が出尽くしたところで、「じゃあちょっとだけ行ってみるか」ということになりました。

問題の泥壁
しかし登ってみるとこれがなかなかハイクォリティーな泥壁で、フリクションは最高、ジムのように出っ張ったホールドがたくさんあり、楽しく登れました。
登り切って、ちょっと行ったところに一か所悪い場所があり、お助けスリング使用。
でもその後は難しいものは全く出てこなく、乾いた沢筋を登って行けます。やがて傾斜も緩んできて、美しいブナ林になりました。

特に目を引いたのが、このトチの巨木です。
ここは国有林ですが、完全な自然林なので林業の人は基本的に来ないし、巡視も滅多に来ない場所だと思います。この木はほとんど誰にも知られることなく、ここで何百年も山を見守ってきたのでしょう。神が宿るかのような木です。これに会えただけでもこの支谷を登った価値があった気がしました。

詰めはこんな感じで、最後の最後までヤブが出て来ません。30mほどの薄い笹ヤブ漕ぎをして東縦走路に出ました。本流からゆっくり歩いて、途中で靴を変えたりもして1時間20分。これは大成功の部類でしょう。
この谷は、今日は特別に面白いということはなかったですが、雨後で泥壁が滝になっていたらまた違うと思うし、春や秋にきても違う姿を見せてくれると思います。
しかしその後の東縦走路の下降が・・・・

最初は「素敵なブナ林」に大喜びでしたが・・・

中間部分の大半はヤブヤブヤブヤブ・・・・
おまけに私は短パンに履き替えてしまっていたので、絶え間ない笹の攻撃にスネが赤くはれあがってしまい、そこに時々小枝がムチのようにビシッとあたります。ヤブが終わっても標高が下がってくると暑い暑い暑い・・・・最後は草ぼーぼーで道が全然わからない・・・
叫びながら下り、2時間かかって道路に出ました。
というわけで、最後がちょっと大変で、そんなにおすすめもできませんが、沢やの本懐である「未知の谷の解明」がちょっとだけ出来て、なかなかいい登山だったと思ってます。
※参考までに:
東縦走路のヤブの部分は笹の下に一応踏み跡はありますが、部分的に無くなっている場所がたくさんあります。習性的に最初のうちは分からなくなっても地図を頼りに強引に進みがちでしたが、一度踏み跡を外すと戻るのは非常に大変で時間もかかり、これではらちが開かないことに気付いて、途中から不明瞭になったらすぐに一生懸命踏み跡を探す作戦に切り替えました。この方が早いようでした。
不明瞭になっている踏み跡は、目で見ても全く区別がつかない場合があります。そんな時でも踏んでみると足裏感覚で分かる場合がありました。