メンバー
iwa、toku(記)

瑞牆山に来るのは、もう5年ぶりだろうか。大面岩左稜線を登ったのが最後と記憶している。
ベルジュエールはその頃から目標にしていたのだが、その機会はしばらく訪れることなく今日まで至ってしまった。
クラックを全然やらなかったことも大きいが、やはりマルチの11台と聞いただけで腰が引けてしまう。
しかし、何故だか今年はクラックやら11台のマルチやら、今まで逃げていた課題に自然と気持ちが向いている。
これは、何故だろう?自分にもよくわからないけど、今はクラックが好きだ。
結局、やらなかっただけで、やれば何でも好きになると言うだけの話しかもしれません。

ベルジュエールの取付き。7:50くらいに到着したが、1パーティが準備していたので、私たちものんびり準備しながら待つ。しかし、この時期の瑞牆山は少し寒い。少し散歩したりするものの、完全に2人とも冷え切ってしまった。
寒さに加え、11bがいきなり来るので、いつになく緊張していた。
1P目 5.11b toku
ハング越えは特に悪くなかったが、スラブに移るところがちょっと悪い。
その先が核心で、ほんの数手だがなかなかの悪さだった。乱れる呼吸を整えてギリギリのオンサイト。
2P目 5.10a iwa
ここはトポの2〜3P目をつなげて登る。昔は5.8だったみたいですが、この悪さなら10aで納得。
最初のトラバースが悪いが、その先のコーナーも悪い。しかし、悪い悪いと言うのは面白い事の裏返しで、いろいろなムーブが出てくる良いピッチでした。

2P目をフォローする私。この日はロープは一本で、リードは空荷。懸垂用のロープや荷物一式はフォローが背負う。
リードはクライミングに集中するためにこのようにしたが、フォローの負担が大きいですね。バックロープで引いていくか、ダブル2本の方がいいのか、要検討となりました。
3P目 5.9 toku
後半のクラックはクセがなく登りやすく快適。ここでようやく平常心に戻れたと言う感じ。日頃からそんなに緊張する事がない私なのですが、前半の緊張感はハンパなかったと実感した。

フォローするiwaさん。
これを登りきるとシロクマのコル。少し休憩してハイライトの大フレークへ。
4P目 5.10a iwa
iwaさんは以前に『春一番 11b』を途中まで登りに来ていて、そのついでにここまでは登った事があるみたいです。次のチムニーが濡れていて敗退したらしい。

見栄えの良い素晴らしいピッチ。最後に♯4を決めたら男らしく突っ込む。ここをリードするために、もう一度来ても良いと思えるような素晴らしい高度感がありました。
しかし、派手な大フレークとは真逆で、最近のiwaさんの服装はとても地味である。
しもさんからは『服装の色には気を使うように』と言われているので、最近の私は目立つカラーリングを心がけている。
どうでもいいかもしれないし、意外と大切な事かもしれない。山だと万が一遭難した時も発見されやすいですしね。
しもさんは、『派手な色の方が見栄えが良く、ブログの質も上がる』と言う事です。ブログの質=新入会員の獲得と密接なつながりがあるとの事です。
5P目 5.8 toku
チムニーのピッチ。濡れていなかったが、見るからに悪そうだ。やはり、トポ通りでリングボルトが一つある。
チムニーはかなり狭いので、ここはリードよりフォローの方が大変かもしれない。フォローが荷物を背負って登るのはたぶん不可能で、iwaさんはロープにぶらさげていた。しかし、この荷物が重いのとロープの流れが悪いのもあり、ロープの引き加減が難しい。iwaさんからは『ロープアップ』と何度も言われてしまうが、ロープがスルスルとは引けないので、私はiwaさんが止まっているものと思っていた。これも、今後は要検討。フォローは大変だけど、自分にぶらさげた方が良いのかも。
6P目 5.10b
ここからはiwaさんもオンサイト!疲れはあるけど、『これくらいのグレードはサクッと登れないとダメだよね』と2人で話していた。瑞牆山には11台や12台のマルチがたくさんあるので、もちろんそこは目標にしたい。

この先が核心でしょうか。2人とも余裕とはいきませんでした。

フォローする私。『本日の色』はオレンジです。ヘルメット、上着、ハーネス、ロープの色をそろえてみました。
7P目 V toku
簡単な巨岩を歩いて肩の広場まで。
8P目 5.8 iwa
出だしがやや悪い。十一面岩頂上直下のリングボルトのリングはないので、最後の最後も少し緊張するでしょう。

頂上です。お疲れさまでした。
今回は1P目でiwaさんが2回テンションする以外はリードフォロー共にテンションなしで登る事ができました。
1P目はカムも全てiwaさんにお願いしたので、荷物がなければテンションはなかったかなと思います。スタイルについては、これからもよく話し合って決めていきましょう。

登りきったあとのこの大展望は気持ちがいい。小ヤスリ岩を登るクライマーも見えました。
下降は全て懸垂で取付きまで。16:50になっていました。
スタートから約8時間。もっと早く登れるようになりたいですね。

お決まりの大盛りご飯は、小淵沢にある『お食事処 やまよし』さんへ。
味、量、お値段ともに三つ星でした。
追記:iwa
最近あまり登れていないので、予想通り登れず、リード時には何度もテンションしようと思った。
しかし、その度にスタート時にtokuに言われた「チームオンサイト目指しましょう!」の言葉がよぎり、幾度となく奮い立たされた。
毎度ながらtokuの気持ちの強さには感服するばかり。
今回フォローが背負った荷物は最大で6kgはあったと思う。
それで5.11bは流石に登れなかったが、もっと登り込んでいれば登れたのだろうか?
ただ、十一面のピークでのとてつもない達成感は今までのクライミングでもトップ5に入るほどだった。
朝の待ち時間や1P目から悲鳴をあげてツりまくるふくらはぎ、緊張とプレッシャーからジワジワとヨレてくる体幹など、普段あまりないことがあった分余計にそう思う。
それはそうと地味なのは分かってますが、仕事の関係でこれ以外に選択肢がありません。
もっと派手な色お願いします!