メンバー
iwa、toku(記)

今年はあまりにも暖冬なので、私はもう雪や氷は諦めようと思っていたが、iwaさんはまだやる気だった。
コンディションは期待できそうにないが、行ってみないとわからないのがアルパイン。
近年はネットでの情報があまりにも多く、行きもしないのに悪いと決めつけたりもしていたが、そんな情報に振り回されず『行きたいところに行くべき』と改めて思った。
そんな事も含め、久しぶりに良い山行ができたかな、と思えた。
2月21日 北東壁左ルンゼ
やはり雪は少なく、またトレースもありクリヤの岩舎まで比較的良いペースでたどり着いた。
ただし、気温が高くかなり汗ダクである。雪も相当重く、完全に春山の雰囲気だ。

3ルンゼ基部まで行き観察するが、予想通り岩の露出が多いのでこの日はパス。
ここからP4フェースを回り込み、北東壁へ向かう。

中央の目立つ氷がグラスホッパーで、その右隣りの目立たないのが左ルンゼ。右上に見える牙状の氷柱が右ルンゼ。
北東壁はあまり陽が当たらないので暑くはない。しかし、2月としてはかなり暖かい。
グラスホッパー右も計画には入れていたが、ベルグラ上の強傾斜部分は氷結しておらず、左ルンゼを登ることにする。

1P目と2P目はグラスホッパーと共通。
ここから右の、短いがボリュームのある氷を目指して右上する。

最初の氷は私がリードする。比較的傾斜はあるものの、短いので難しさはあまり感じない。

2つ目はiwaさんがリード。
トポでは左のランペとなっているが、正面の傾斜のある部分を登る。
ここは見た目以上に傾斜があって面白かった。
烏帽子岩が見える雪田に出て終了。ここから3回の懸垂で基部まで降りる。

最後の懸垂はショートカットのルンゼの方に降りると、右ルンゼが正面に見える。
WI 6+らしいが、下まで繋がっていませんでした。
グラスホッパー左は見栄えが良く、力をつけて登ってみたいと思えた。
その時は、3ルンゼから継続して本峰まで抜ける計画で行けたら充実するだろう。
さて、翌日は雨予報である。下の駐車場は雨で、標高2000mで雨か雪か微妙なところ。
降り出しは10時頃らしい。
行くにしても岩の露出した3ルンゼである。悪いに決まっている。
少し考えたが、しかし2人とも『行く』ことでまとまった。
雨だろうが岩メインだろうが、ここで帰ったら後悔するだろうと直感したのである。
2月22日 前衛壁3ルンゼ
4:00に起きて6:00にテントを出発する。
基部に着くが、誰もいない。時間も早いし、こんな日に登り来る人はいないだろうと思ってた。
しかし、1P目を登り始めたら2人組みがやってきた。
その後ろからもソロの方が上がってくる。
こんな日に来るなんて、アツイ人たちだなぁと思っていたら、知り合いの信州大学の学生だった。
彼はアルパインをやるために信州大学に行き、かなり山に行きまくっていると言う。
高校生の頃から強い目標を持っていて感心していたが、そんな彼とこんなところで再会できてとても嬉しかった。

3ルンゼはと言うと、やはり雪や氷は少ないが、概ね雪と氷をつなげて登る事ができた。
ただし、あまり雪で埋まっていないぶん、例年に比べるとかなり難しかったのではないかと思う。

F5は左から。ベルグラは一部厚く、13cmのスクリューも入った。
F4のトンネル氷とF6のチョックストーン越えはなかなかシビレた。
iwaさんはチョックストーン左のA0ラインをフリーで突破。ここはかなり難しくナイスクライミングだった。
信大パーティーはチョックストーン右の、これまた悪い氷の繋がっていないラインを登ってきた。
後半は雪が降ってきたけど、みんなのアツイ登攀を見れて全く気にならなかった。

終了点で信大パーティーを待って、イケメンの先輩に写真を撮ってもらう。
懸垂していると、ソロの方がF4まで上がってきていた。
彼の目を見て、とても強い意志を感じた。上まで抜けれただろうか。

懸垂していると、かなり雪が降ってきた。でも、雨でなくて良かった。
いや、雨だったとしても満足な時間を過ごせた事は間違いないだろう。
フリークライミングへと気持ちが傾きかけていたけど、やっぱり私はアルパインクライミングが好きだ。
帰りの車の中で、4月まで雪をやる事が決まった。