メンバー:Gさん、BENさん、S原(記)
行程:槍見温泉駐車場540−640錫杖沢出合−715ルンゼ−740登攀開始−1150終了−1220P2−1250下降開始−1400クリヤ谷−1445駐車場
秋の週末に錫杖岳前衛フェースを目指した。今年の夏合宿として行く予定だったのだが、天候やメンバーの事情で断念。今回はそのリベンジだ。紅葉の錫杖谷を背景に天候にも恵まれ、最高のクライミング日和となった。
BENさん先頭で笠ケ岳登山道を行く。間近に迫ったボッカ訓練の足慣らしだと言って、えらい勢いで登って行く。オヤジの息が切れた頃、木々の上から朝日に輝く前衛壁が姿を現した。錫杖沢出合いにはテント1張り。沢道を15分ほど登り、左岸の枝道に分かれてから程なく1ルンゼ取り付きに飛び出す。先客はいないようだ。後から中年二人組が到着、神戸から来たという。「名古屋からですか、毎週でも来られますねぇ」。なかなかそうもいかないんですけど。

1ピッチ目 Photo by G
今回はGさんリードでS原−BENさんがフォロー。凹角左のフェースから取り付く。ルンゼとはいえ、明るい空間が稜線に向かって伸びていく。もし今前衛フェースを初登するとしたら、やはりこのルートを選ぶだろう。1P目の最後が少々厳しい。BENさんが2P目を登り始めた頃、後続のリードがここでフォール。「振り返ったら足の裏が見えた」とBENさん。怪我はなかったようだが退却し、後は貸し切り状態。

Gさんは快調にロープを伸ばしていく。2PでV字ハング下に到着。下には錫杖谷の紅葉が広がり、その彼方に穂高の峰々が見え始める。4P目、凹角の右から大きく左へトラバース。屈曲部は工夫してランナーをとってあるが、一部交差したロープを解くのに苦労する。

5P目が今日の核心だ。細いクラックをアブミで登るが、Gさんが確かめるとピトンが虚ろな音をたてる。ここはカムの出番だ。一旦フリーに戻るが、ハング気味のカンテを左に乗越すところで手順が分からず、再度アブミで乗り越えた。このピッチをフリーで越えたという記録もあるが、どう登ったのだろう。

5ピッチ目 Photo by G
7P目、チムニーを登った後、草つきの斜面に出て、ハイマツでビレイして登攀終了。クマザサが茂り、フラットソールで歩くのに苦労する。左手の岩壁の下からトラバースし、白壁ルートとの合流点で「下降路」と書いた荷札を見つける。小さなルンゼを登ってP2の上に抜け、装備を外して昼食とした。青空の下、東には黒々とした槍〜穂高の稜線が広がる。数日前の降雪はすっかり消えたようだ。

P2から烏帽子岩の左をトラバースし、西の肩から北へ下降開始。下降路は明確だが、急な上にぬかるんでいて滑りまくる。シューズの選択を誤った。道を覆うクマザサにつかまりながら、延々と下り続けて約1時間、ようやくクリヤ谷の登山道に抜け出た。錫杖沢出合いのテントは5-6張り増えている。明日はラッシュだろう。
駐車場に戻って装備を片づけていると、声をかけてきたのはガイドの江本悠滋。彼のジムZu-Thonesで会って顔を覚えていた。女性客をガイドしてやはり登攀の帰りだという。温泉「ひらゆの森」で痛みかけた膝を冷やしてから帰路についた。お疲れさまでした!