2008/1/27

「臓器移植と免疫」をめぐる記事から  患者学入門

 先週末の毎日新聞の記事に、「臓器移植と免疫」をめぐる二つの興味深い記事がありましたのでご紹介します。

 一番目は「拒絶反応解消に成功 腎臓移植 骨髄も注入、1年で免疫抑制剤不要」という見出しで、
「腎臓移植を受けた後に飲み続ける必要がある免疫抑制剤を、1年程度でやめられる新手法の開発に、米ハーバード大の河合達郎(たつお)准教授とD・サックス教授らのチームが成功した。患者5人に適用し、4人は今も抑制剤なしで1年〜4年半、腎臓が正常に働いている。(中略)腎臓提供者の骨髄を、移植の際に患者の血液中に注入するなどし、免疫が腎臓を“身内”とみなして攻撃しないようにする新手法を開発。」という内容です。
 (毎日新聞 2008年1月26日 東京朝刊)
 
 二番目は「肝臓移植 血液型変わった 豪の15歳少女、ドナーと同型に−−世界初の症例か」という見出しで、
 「肝臓移植を受けたオーストラリアの少女(15)が、臓器提供者(ドナー)と同じ血液型と免疫システムに自然に変わり、拒絶反応を抑える免疫抑制剤の必要がなくなったことが分かった。(中略)免疫抑制剤を服用していたが、術後9カ月ごろに体調が悪化。調べたところ、「O型Rhマイナス」だった血液型が、ドナーと同じO型Rhプラスに変わり、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、骨髄移植と同じ効果が得られたという。」内容です。
(毎日新聞 2008年1月26日 東京夕刊)

 臓器移植患者にとって、免疫抑制剤は必要不可欠な薬剤です。骨髄移植の場合の移植片対宿主病(提供者の骨髄でつくられたリンパ球が患者の身体に免疫学的攻撃を加える)や拒絶反応(患者の免疫細胞が移植された臓器を異物として攻撃する)の予防のために必要なものです。
 しかし、骨髄移植患者の場合、約6割の患者が2年以内に免疫抑制剤の服用を終了しています。私も移植後1年ほどで免疫抑制剤の服用が終了しました。もちろん、医師からの指示によるものです。なぜ骨髄移植の場合、免疫抑制剤が必要なくなるのかそのメカニズムはよく知りませんが、骨髄の造血幹細胞には不思議な可変性があるのかもしれません。

 一番目の「腎臓移植 骨髄も注入、1年で免疫抑制剤不要」はこのような骨髄移植患者の経験がヒントになったのかもしれません。「提供者のリンパ球と患者のリンパ球が共存したのではないか」といわれています。
 他方、二番目の「肝臓移植 血液型変わった 豪の15歳少女、ドナーと同型に」では固形臓器である「肝臓の幹細胞が骨髄に根づき、血液型までかわり、免疫システムもドナーのものに変わり、骨髄移植と同様な効果があった」とのことです。肝臓の幹細胞にも不思議な可変性があるのかもしれません。でも、メカニズムは不明で、この症例はきわめて例外といえるとのではないでしょうか。

 「臓器移植」・「免疫」・「幹細胞の働き」には、まだまだよく解明されていないことが多いように思います。日々新しいことが発見されていくことでしょう。

 でも、臓器移植患者さんはこのような症例があったからといって、免疫抑制剤の服用をかってに中止しないでくださいね。危険です。

毎日jp サイエンス   
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/01/26/index.html
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2008/1/6

都道府県「がん対策推進計画」  患者学入門

 がん対策基本法に基づき、都道府県の「がん対策推進計画」の策定が進められています。患者代表の意見の反映をした地方公共団体もあり、その内容に注目したいところです。
 
 と同時に、計画倒れに終わらないようしないといけません。行政の計画策定の問題点は計画の実行を可能にする財源確保と具体的な行動計画が欠けていることです。りっぱな計画を立てても、どの程度の費用がかかり、どう予算を確保していくのか。また、実際の第一線の治療を担う「がん診療連携拠点病院」をはじめとする医療機関の具体的な役割、第一線の予防・検診を担う市町村の役割・システム・人材・予算の確保など。このようなことが具体化されませんと計画は単なる作文にしかなりません。
 
 他方、「メタボリック症候群」を対象にした特定検診・保健指導制度では基準値を設定し、保健指導や受診勧奨をし、受診率や保健指導実施率の低い保険者には費用負担を課しています。基準値の妥当性を含め、こういう方法が決してよいとは思いませんが、少なくても、具体的であることは確かです。

 これに比べ、「がん対策推進計画」は抽象的であることは否めません。検診精度をどうやって高め、検診受診率をどうやって高め、治療の水準をどうやって高め、死亡率をどうやって低くし、患者の負担をどうやって軽くし、患者の生活の質をどうやって高めていくのか等具体的に検討される必要があるかと思います。このような検討がされてはじめて計画が中身を持つように思います。

参考 がんナビ   http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/1225_02.html

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2008/1/1

初日の出  毎日父さん

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2008/1/1

あけましておめでとうございます  毎日父さん

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     我が家の年賀状の絵です。「毎日妻さん」作です
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