数年前に出演した平石耕一事務所の「熱り(ほとぼり)」という舞台を思い出さずにはいられない。
パキスタンのブット元首相が自爆テロによって暗殺された。
11月から更に怪しい情勢をみせていたパキスタン。
19日にはブット氏を狙った自爆テロによる爆発が2回起こっており、138名の死者と540名の負傷者を出している。
この時にブット氏の暗殺は未遂に終わっている。
昔から政治的に大きな影響力のある要人を狙ったテロは世界中で相次いでいるが、一般人をも巻き込むテロには、どうにも憤りを感じてならない。
一般人も大勢集まれば十二分に政治的な力を発揮しうるが、それを大衆操作し先導していく少数の人間の意志が大きく左右することは言うまでもなく、だからと言って暗殺すれば解決するなどという怒りと恨みしか生み出さないような方法を選択せざるを得ない状況には悲しみしか覚えない。
人間とはなかなか進歩しないものだ。
だが、もう少し過去に学び未来を創造できないものだろうか。
いや、多様化した宗教的観念から、既に未来像がずれてしまっている以上、もう修正が利かないところまで来てしまっているのかもしれない。
でも、やっぱり、諦めずに出来ることはやっていこう。
僕は無神論者ではないが、特定の神はいない。
自然の中にこそ、人知を超えた神のような存在があり、人は極力それに手を加えるべきではなく、共存することこそ生き残る道であると考えている。
高校生の頃、漠然と将来は「仙人」になると思い込んでいたが、自然と共存する究極の行き方がそれなのかもしれない。
パキスタンは僕にとって思い出深い国である。
カラーチで買ったラクダ皮のジャンパーは、少し破れてしまっているが未だに大切な宝物だ。
あの時、気のいい笑顔で、一生懸命僕にパキスタンの素晴らしさを話してくれたヒゲモジャのおじさんは、今もまだ笑顔でいてくれているだろうか。

0