田園風景なんて、
どこにでもある。
新潟にはもっと広い田んぼもある。
段々畑なら、
高山村だって、
麻績村にだってある。
長野市内だって、
まだきれいな田園風景が一部残ってる。
でも、北アルプスを背に広がる、
あの風景はどこにもない。
安曇野には特別な魅力がある。
田園風景なんて、
壊したら二度と戻らない。
壊しはじめたら、
どんどん壊れていって、
もう二度と戻らない。
きれいな水も、
一度汚したら、
もう戻らない。
数年前、家の近くに広い道路ができた。
この道ができたら、出かけるのが楽になると思ってた。
楽にはなった。
緑の田んぼが、スーパーになった。
ショッピングモールになった。
次々に店ができた。
夜になると、この一本の道は、
オレンジ色にひかっている。
周辺に公園ができて、
大きな住宅街が一つできた。
まだ開発は続いている。
ここもつい数年前まで、
飯縄からの水と、
田んぼがあって、
すずめもカエルもいた。
今はカエルの声も聞こえない、
スズメもいない街になった。
ほんとに壊すのなんて簡単なのよ。
姿を変えていくのは、
地元の人には幸せかもしれないけれど。

0