3年ぶりである。本当に久しぶりのアーネムランド。
今までは、早朝にケアンズに到着して、丸1日ケアンズで過ごして夕方の便に乗り、夜にアーネムランドへ到着というのが定番だったけど、今回は午後の便で現地入りできるのである意味乗り継ぎが楽になった。
ゴーブ行きの定期便は1日1往復。以前はカンタスリンクが運行していたが、現在はAir Northという航空会社が運行している。これについての真相は後ほど分かることになるんだけど。
徐々に機体が高度を下げていくと、Stringy Barkの森が広がる。ああ、懐かしいな。
そして変わらないGOVE空港へ到着。定刻の2時40分。
レンタカーの受付を済ませ、荷物を受け取って駐車場へ。
この地にはいわゆるチェーン展開のレンタカー会社はない。
私がいつも使っているのはGOVE RENTAL。
いつも「とりあえずなんでも良いから1台」とお願いしているので、
普通車だったり、4WDトラックだったりする。
今回はUTAという4人乗りトラック。
久々のマニュアル運転だ。
駐車場を抜けて、イリカラへの道に出る。
ボーキサイトで赤土が見えるアーネムランドの道。
この道に出た時に、「ああ、帰ってきたぞ!」と思わず叫んでしまった。
震災前は毎年1〜2回は必ず訪れていた場所。3年もの間、一度もこの地に帰ってこなかったのは初めてだ。やっぱりこの空気、この空、このにおい!!
アーネムランドは自分にとってエネルギーをチャージできる唯一の場所かもしれない。
空港から15分ほど車を走らせれば、イリカラ居住区へ到着する。
この地はヨルングのコミュニティであり、いつもイダキを仕入れるアートセンターがある場所だ。
居住区内のフットボールグランドの隣にある建物がアートセンターだ。
アートセンターの入り口は何も変わらないが、中に入ってびっくりした。
拡張工事が終わり、今までの2倍ぐらいの広さになっていた。
アートやクラフトの展示もスタイリッシュですばらしいね。
懐かしいアートセンターのスタッフ達と挨拶をして、早速イダキの選定へ。
イダキのコーナーは奥に追いやられていたけど、在庫はかなりあった。
数百本のイダキをすべて試すのは至難の業。それでもいろいろ試して20本ほどピックアップする。もう少し絞り込みは明日やろうかと思っているけど。
アートセンターでイダキを選んでいるとイリカラに住むヨルングの少年が、近寄ってきて自分が選んだイダキを吹いてきた。「誰がイダキを教えたの?」というと「Djaluだよ」と答えると「僕は彼の孫だよ」と笑顔で答えてくれた。そう、Yolnguは一つの家族だから、名前(ヨルングでの身分証明になる)をもらっていることはとても重要なのだ。
もうひとつ今回勉強したことは、アートセンターのマネージャーであるWillから聞いた話。Willとはもう15年来の知り合いである。
「そういえば4年前の津波は大変だったね」と
「実はヨルングにも津波の話があるんだ」と1本のログコフィン(儀式で使う棺桶)を見せてくれた。そこにはカヌーの絵が描かれていて乗っている人の顔が死んでいるような描かれ方をしている。昔津波が来たときに、沖合でカヌーに乗っていた人が津波によって転覆して遺体が何十キロも先の海岸に打ち上げられたという話があるそうだ。だからこのカヌーの形を描くときにはこれは津波を表してもいるとのこと。興味深い。何十回も訪れている地だけど、学ぶことは無限大にある。
ところで、今回の宿は、このアートセンターの隣にあるコンテナ型の建物。
2部屋があり、最低限のキッチン用品も揃っている。こぎれいでエアコンもあるのでリラックスできる部屋だと思う。
イダキ担当のジェレミークロークもとなりの部屋に泊まっているそうで、
今回もアメリカ行きを伸ばしてケアをしてくれることになった。ありがたい。今日は彼の手料理をごちそうになった。
早めの夕食を食べた後、ジェレミーとナランボイの市内へ。
通称「TOWN」と言えば、このナランボイの中心部のことを指す。
イリカラから20分ほどで到着する。
ナランボイには2つのIGAとWoolworthという2つのスーパーマーケットがあって、ジェレミーに「どっちに行く?」って聞いたら「今は1軒しかないんだよ」と衝撃的な発言が!今までこの地には鉱山会社がボーキサイトを採っていたんだけど、昨年閉鎖になったそうだ。そのため、町の中に住んでいた白人のスタッフがいなくなり、4000人ほどいた人口も今や1500人ぐらいになったんじゃないかとのこと。
今までこのボーキサイト鉱山で潤っていたこの地も新たな時代を迎えることになったんだと感じた。
唯一残ったWoolworthへ行くと、Djaluファミリーと偶然出くわす。
姪っ子にあたるLinaたちはびっくりして大きなハグで迎えてくれた。
その後、Djaluの妹でいつも自分の世話をしてくれるDhaangalが合流。
明日、サプライズでDjalu夫妻をアートセンターに連れて行くよ、とのこと。
Djaluの妻であるDhopiyaは自分を弟にしてくれた大切な人なので、会うのが楽しみだ。
[おまけ・タバコの話]
最近では免税のタバコは1カートンではなく2パケットに変わったそうだ。
地元のタバコ、ウィンフィールドブルーはファミリーのお土産に買う。これ以外は吸わないのだ。
それにしてもオーストラリアのタバコのパッケージはえぐい。
日本もこのくらいやればやめる人が続出するんじゃないかな?

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