実質最終日となる。
イダキの買い付けも終わり、明日にはアーネムランドを離れる。
今日は午後まで車があり、自由が効くので朝からDjalu Familyのいるワラビービーチへ。今日の朝、DjaluとDophiyaが戻ってくると聞いてたので、ワラビービーチで待つことに。
ワラビービーチにはDjaluの娘たちがいた。
「今日帰ってくるんだよね?」
「いや、金曜日に変更になった」
が〜〜ん!
今回はDjaluやDophiyaに会えず・・・。
それでも、多くのファミリーには会えたのでよしとしよう。
過去にも何度か会えなかったことがあったので、ある程度想定内。
そしたら、ファミリーがまた電話をつないでくれた。
出てみるとDjaluだ
「会えなくて残念だよ。金曜日に戻るんだ。今メルボルンにいるよ。ラリーはもう少しこっちにいて、レコーディングだ。伝統曲とかを演奏するんだよ。」
そう教えてくれた。
元気そうだったので、安心した。
リーナに頼んでいたビルマはできあがり、2セット購入した。
大きくてずっしりだけど、音は最高。アートセンターのと併せて6セット。
今回の大きな収穫のひとつ。
リーナが作っておく、と言っていたイダキも、すでにシェイブが終わり、上下黒に塗られていた。
試しに吹いてみると、あまりの音質の良さに感激。
結局購入することにした。
娘の一人、セルマがペイントをしてくれた。
彼女のペイントは丁寧で、とても愛情があるので好きだ。
自分が使っているDのイダキ。2005年にガーマフェスティバルの時、ジャルーが自分のために作ってくれたイダキにセルマが白いオウムやガムツリーの花をペイントしてくれた。「あなたはイリチャ半族、これはのイリチャのトーテムだから」と。
そのときの写真がPCにあったので、見せたら喜んでくれた。
ペイントができあがるのを待っているとリーナが「ジャルーの妹の写真が見たい」と。PCを見せてあげると、すごく喜んでくれた。自分のPCには2002年ぐらいからのアーネムランド訪問での写真が入っている。
いろいろ昔の写真を見せてあげるとファミリーが皆寄ってきて「〜〜〜だ!あははは!」と大騒ぎ、孫のヨーチン(現在12歳)の写真も生まれたときからたくさん入っている。ヨーチンがいたのでちっちゃいときの写真を見せたらちょっとはにかむように笑って見てくれた。
そしたら最初PCの画面を自分のスマホのカメラで写し出す。
普通だったらデータを何らかの形で共有するのにね。
中には動画もあって笑いながら「これもとっておこう」とビデオでPCの画面を撮る。
しばらくいろいろ見せてたら、USBメモリーをごっそり持ってきて、「これに全部コピーして!」と。なんだ、あるじゃんこういうもの。
USBメモリーをコピーしてあげると、どうやって再生するのかと思っていたら、後で家の中からまた大笑いする声。のぞいてみるとTVでスライドショーにして見てた。
ヨルングの文明はすごい進化してる(笑)。
彼らは昔から写真やビデオ、カセットテープ、CDなど、過去の記録がとても好きで、よく古いカセットテープを持ってきては「これは私の父のイダキの音だ」とか、写真を見せてくれて「これは昔撮った〜だ」とか教えてくれる。
こういった形で自分が撮った写真や動画で喜んでくれるので幸せだな。
さて、セルマがペイントしたイダキができあがった。
蓮のつぼみ、そしてDjauがよく書く模様まで。
すてきなイダキがまた手に入った。
できあがったイダキはヨーチンが演奏してくれた。
Barra (西風)の曲。すごいなあ〜、あんなちっちゃかったヨーチンがもう自分の伝統曲を演奏している。12歳にしてイダキの才能はすっかり開花している。これぞネイティブイダキプレーヤー。どんなに頑張っても自分には超えることができない。このままいいプレーヤーになっていってほしいな。いつか日本で演奏してほしい。
義姉さんもきっと天国で誇らしく思っているに違いない。ヨーチンのことをほんとにかわいがってたからね。
ファミリーに別れを告げて、アートセンターへ。
ジェレミーはちょうどGan Ganという車で4時間ぐらいのところにあるコミュニティでのお葬式のためヨルングを連れて出発するところだった。今回は彼はホリデイで留守のスタッフの代わりの仕事をしていたので多忙で、あまりゆっくり話せなかったけど、まあ、元気そうだったのでよかった。
出発前に数人のヨルングが白人の男性3名をつれて入ってきた。
ジェレミーが「これから彼は歌を歌うから一緒についておいで」と。
そしたらアートセンターの奥にあるチャーチパネル(これについては長い話になるので後で説明する)の前で、ビルマ(拍子木)をたたいて歌い出す。歌が終わると、チャーチパネルの説明をしてくれた。
イリカラチャーチパネルは、白人がミッションで入ってきたときに教会に飾られていたアートで、ヨルングのイリチャ半族と、ドゥワ半族のアートがそれぞれ2枚ある。そのアートにはそれぞれの半族が信じてきた伝説が描かれていて、かれらはキリスト教でありながら、それぞれの半族の教えも守ってきている。それがこのチャーチパネルに記されているのだ。
どんなに最先端の文明が入ってこようが、彼らのアイデンティティは変わらず引き継がれているのだ。
一人の日本のイダキ奏者としてここに息づくヨルングの文化や考えにイダキを通じて知り合えたことに感謝している。ディジュリドゥは単にひとつの楽器ではない。楽器としての魅力もあるけど、背景にあるアイデンティティは、彼らの歴史、言語、文化、生活習慣、思想、すべてを垣間見せてくれる楽器だと思う。こういう私の体験記や報告会から、その背景に息づくヨルングのアイデンティティを少しでも感じてもらえればうれしいです。
今回お世話になったジャルーファミリー、ジェレミー、いつも宿と食事を提供してくれるリックさんファミリー、ケアンズでいつもお世話になっているトムさんファミリー、留守を守ってくれているディンカム・ジャパンスタッフ、そしてこのブログを読んでくれた皆さんに感謝!
あと何回この地に来て彼らとの交流を続けられるかわからないけど、頑張って働いて、また来年戻ってこられたら幸せ。
2月11日13時20分から40分ほど、報告会をイダキ・ギャラリー(ディンカム・ジャパン内)で開催します。参加無料ですからお時間の合う方は是非お越しください。
続けて14時から18時までは今回仕入れたイダキやビルマの先行販売会を予定しています。44本の新着イダキをWEBSHOPなどで正式に販売する前の状態(現状渡しとなります)で販売します。その後は順次WEBSHOPにアップしていきますので、すべての新着イダキを見ることができるのは2/11だけです。このチャンスをお見逃しなく!
http://wind.ap.teacup.com/yidaki/1353.html

セルマによるイダキペイント。丁寧に描かれていく。アボリジナルアートは根気がない人には絶対できない。

完成したイダキ。蓮のつぼみが美しい。

ヨーチンが購入したイダキを奏でてくれた。素晴らしいイダキだ。

リーナから購入したビルマ。まさにソングマンが好むタイプ。音も本格的。

ワラビービーチの風景。ちょうどジャルーの裏庭から見た風景。彼らのそばには必ず青い海が広がっている。

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