『小さな国の救世主3 いまどき英雄の巻』 著・鷹見 一幸
〔あらすじ〕
不可能と言われた有力部族の同盟を成し遂げたシマオオカミこと龍也。
政府軍と同盟軍は地方都市のインナルドで対峙していた。同盟軍としてはこの都市を落とさぬ限り首都へは侵攻できないし、政府軍としては首都防衛の観点から何が何でも死守する必要があった。
兵士の数だけを見れば同盟軍の方が多いが、兵器の質と守る側と言うアドバンテージから政府軍の方が有利であった。このまま正面から衝突しては死体の山を築くだけだと思った龍也は、戦わずして勝つ方法を模索するが……。
〔感想〕
あらすじを書いていて気が付いたのですが、鷹見一幸作品にしては珍しく主人公側が敵方を攻める構図になっています。ここで真正面からぶつかるような野暮な事をしないのが鷹見一幸氏です。いろいろと小細工を積み重ねながら勝利をもぎ取りに行きます。
『小さな国の救世主』は全5巻となっていますが、あらすじなどを読んでいきますと、1巻から3巻と4巻、5巻と分かれ、全3部構成になっているのかなと思います。
3巻はちょうど第1部のラストということもあり、人材不足に悩む政府軍にしてはインナルドの守備隊には智将のバンユー少将が配置されます。もっとも、『でたまか』のバルク・キタジマ中将(*1)のように、相手を今度こそ倒すために派遣されたというよりかは、政府内での疑心暗鬼から左遷された形になっています。
このバンユー少将はソ連が対独戦で使った、縦深防御陣地を構築し守りを固めます。威力偵察でほぼ全滅という状態になった反乱軍は、シマオオカミの知恵を借ります。
今回は勝ちっこない戦いでは無いわけですが、それでも同盟軍側に多大な犠牲を強いることになるため、冒頭にも書いたように小細工を積み重ねて、最終的に勝利を得ます。それでも、インナルドを無血開城するまでは苦難の道のりです。
3巻をもって、内戦は終結を見ますが、ラストでまだまだ続くよと言わんばかりの書き方で終わります。今度は中国が内戦に介入してきますか。
*1:『アウトニア王国再興録3』で初登場したマガザン帝国軍の中将。ネオ・アウトニア討伐艦隊の総司令官としてマイドたちの前に立ちはだかります。
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