わが真言密教では、修法したり仏様を拝んだりする時、
真言をとなえるだけではなく、印というものを結ぶ。
まぁ、両手の指を組み合わせていろいろな形を作るわけ
だが、これには深い意義がある。その意義はいろいろ
秘密に属するので明かすわけにはいかないが、最近印に
ついて発見したというか、感じたことをちょっと述べて
みたい…。
私はごく最近まで、印を結ぶ時には両手の指をリラックス
させて、どちらかというとフワッという感じで結んでいた。
(…今だとそれは腑抜けのような感じを持つが。(;^_^A)
というのは、若い時、瞑想や修法などする場合には、肉
体はリラックスしておいた方が良いと考えたことに起因
する。それがずっと習慣化していたというわけだ。
ところが、今年の始めごろであったろうか、ある秘伝の
印を研究していた時、儀軌の指定どおりに、ある状態から
少し緊張させて印を結んだら、締まった感じがしてとても
心地よかった。そこで「まてよ。今まで印は総じてフワッ
と結んできたが、果たしてそれが正解だったのだろうか?」
という疑問が自然に湧いてきたのである。
で、それから各種の印を結ぶ時、緩んだ印と締まった印を
結んで比較してみたら、どうもある程度緊張させて力を
込めた印の方が良いような気がしてきたのである。頭が
はっきりするような…。
また、最近の脳機能と身体の関係を説く学説などから考え
てみても、指というのは直接脳とつながっている為、脳に
刺激を与えるという意味では、ある程度の緊張を持たせて
曲げ伸ばし、組み合わせた方が脳に与える刺激が強くなる
ようにも思えるのだ。
もちろん、古代からある密教では、脳との関係云々はその
理屈には入っていないため、多くの僧侶がたからは批判を
受けるかもしれないが、現在の私の考えでは印はある程度
緊張させて結ぶのが良いように思われる。

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