「オオサンショウウオ」 9月30日
西日本に来たなら、どうしても水辺で会いたい珍獣がいた。それは世界最大級の両生類のひとつ、国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」。漢字で書くと「大山椒魚」。驚かせて刺激を与えると、背中から山椒(さんしょう)のような匂いのする白い粘液を出すことから、その名が付けられたとか(実際に匂いを嗅いだ人の中には山椒ではないという証言あり)。

学名:Andrias japonicus。英名:Giant Salamander。地方名ハンザキ・ハンザケ・ハザコ他。ハンザキ(半裂)という名の由来は「体を半分に裂いても死なない生命力を持つから」とか、「口を開けると顔が半分に裂けたように見えるから」とか、諸説あり。本州中部・岐阜以西から九州に至る山間の渓流に生息しており、特に中国山地に多いといわれる。3000万年前の地層から、今の姿とほぼ変わらない化石が出土しており、「生きた化石」とも言われる。
1ヶ月前、広島珍魚珍獣調査第一弾、
オヤニラミ釣行記をブログにアップしたが、実は本当の狙いはオオサンショウウオだった。

その時見て歩いた渓流の中で、水量・環境・雰囲気共にベスト。「オオサンショウウオが棲むならこんな流れ!」と思える所があり、約200mを隈なくチェックしたが、その日は時間切れで結局見つからなかった。9月30日、ちょうど1ヶ月ぶりの珍獣調査はその渓流の未チェック区間から開始した。台湾遠征や引越し作業に追われ1ヶ月も空けてしまい、山はすっかり秋の雰囲気となっていた。
1ヶ月前に調査を終えたポイントの少し上流に車を停め、渓流を見下ろして「はっ」とする。そのポイントは、偶然にも「夜行性のオオサンショウウオを昼間に発見するための決定的要素」が二つ重なっていた。直感的に「ここだっ!」と思った。
ほぼ直角の壁を、木を伝いながら沢に降りた。辺りは木々が鬱蒼と生い茂って暗く、偏光グラスではどうも見難い(管理人、目が悪いので偏光グラスは度入り。外すとほとんど見えない)。3mほど上流に向けて歩いた時、足元の川底になにか違和感を感じた。暗くて良く見えなかったので、偏光グラスを取る。視力が悪いので、顔を水面に近づけ、そして声を上げた。「うわっ!」、いきなりいたっ!

大きく平べったい頭にちょこんと付いたつぶらな瞳。そんなキモ可愛い奴らが好きだ↓



オオサンショウウオは鯰大好き人間にはたまらない風貌をしている。

フラッシュをたいて写真を撮りまくっていたら、オオサンショウウオが動き出した。

約2.5m上流へ、のっそりと時間をかけて移動した。「驚かせてゴメン…」。

推定80cm。川幅2m未満の小規模な流れに、こんなサイズの両生類が生息しているとは驚きである。しばらくオオサンショウウオを眺め、その場を後にした。
動画はこちら!
その後、3km下流に車を走らせ、本流で少し竿を振ってみる。小型のカワムツやオヤニラミと遊んでもらい、満足して岐路に着いた。

後日、広島市安佐北区にある安佐動物公園を訪れた。ここには日本一大きなオオサンショウウオ、夢ちゃん(ムーちゃん)の剥製が展示されている。

1993年に広島県北部で保護され、2007年に死亡した夢ちゃんは標本で確認できるオオサンショウウオとしては日本一(全長)。保護された時にすでに全長146cm体重23kgもあり、飼育下で150.5cm27.6kgに達した(推定100歳以上とか)。

野性では50〜70cmぐらいが多く、1mを超えるものは稀だという。

1.5mを超える、こんな妖怪が広島の川に本当にいるのか…?。

広島珍魚&珍獣調査その3に続く!