「アフリカ大陸の怪魚を追え!「アフリカはつらいよ その2」 」
07(エジプト・エチオピア)
数日して、カイロからエチオピアの首都アジスアベバに飛んだ。機内食にナイルパーチが出て来て、この旅初めての対面となる。あんまり嬉しくないけど、とりあえず完食しとく…。

エチオピアに関する知識はほとんどないが、旅に出る前、アフリカの地図を広げて発見したことがある。この国にはナイル川の2大支流の一つ、青ナイル川が流れていた。エチオピア北部から青ナイル川が流れ出し、西のスーダンに入り白ナイル川と合流する。ここでナイル川が始まり、エジプトへと流れて行く。ナイルパーチ探索の旅の最終目的地はエジプト南部と決めていたが、「ナイル川の源流部の一つ」という響きに惹かれたのだ! ナイルパーチいるかどうか分らんけど…。
エチオピアの首都、アジスアベバ到着は真夜中の2時半だった。銀行はとっくに閉まっており両替は不可。カイロからの飛行機が最終便で、あっと言う間に人影も無くなった。バーが1軒だけ空いており、ドルでエチオピア産のビールを飲みつつ夜を明かす。
翌朝、遅く(笑)銀行が開き、無事に両替ができて市内へGO! 宿をとって、街ブラ開始すると、程よい混沌感が心地よい。少し小道に入ると、家畜の群れに遭遇したり、あまり都会っぽくないのがいいね。

さらにフラフラしていると、二人の青年に声をかけられる。なかなかテキトーな英語で、見た感じ完全チンピラ。人を見た目で判断するのは良くないが、目が完全に腐ってる。8年の海外放浪の経験から、「絶対、着いて行ったら良いことが起こらない、絵にかいたような詐欺師ですね」と思いつつ、暇だったので後を着いていくことに(笑)。
あんまり期待はしてないが、せっかく言葉が通じる人間に早々に会ったので、最低限「釣具屋の場所」「ナイルパーチ・タイガーフィッシュ・鯰類の現地名」「ナイル川流域にナイルパーチは生息するか?」の初歩的3点を聞いておきたかった。

先ずは釣具屋の件。二人は任せておけと頷き小道に入り、ここで待っていろと言う。明らかに普通の民家に入っていった2人は2秒ぐらいで出て来て、「今日は休みだ」と言う…。「えっ?そこ完全にただの民家でしょ 苦笑」と心の中で突っ込みつつ、おまけにこっそり見てたら、ドアから入って何もせずに直ぐにUターンして来たじゃん。「詐欺師の上にアホだ。これで騙せていると思っているのか…」「しかし、なぜ先を急ぐ? 俺をどこに連れて行きたいのだろう、この人」と神経を研ぎ澄ましつつ、また後をついていくことに(笑)。
1軒の掘っ立て小屋に通されると、中で何人かたむろしていて、みんな葉っぱを食べてるんだが(-_-;)。

二人も葉っぱを食べ始め、どうだと勧められるが、「何それ、麻薬かなんか?汗」。ちなみに二人の名前はもう忘れたので、左、元UFCフェザー級王者ジョゼ・アルドに似ていたのでアルドと、右、モハメド・アリの若い頃に似ているのでアリと呼ぶことにする(よく見ると、右奥に坊主頭のラジャライオンもいるし…笑)。

「非合法なモノならいらない」と言うと、この葉っぱは「チャット」と言って、何らかの覚醒植物で、多くの国では非合法とされているが、エチオピアなど数か国では合法で普通に嗜まれており、主にムスリムの間で嗜好品となっているらしい。葉っぱを口に含んで噛み、葉から出た汁を飲むと、高揚感や多幸感が得られるそうだ。

ということで、この二人といることを忘れ多幸感を味わうために、言われるままに葉っぱを千切って「クッチャ、クッチャ」と噛むが、ただひたすらにまずくて気持ち悪い。全く多幸感は得られず、不快感が増す。しかし、アルドとアリも「クッチャ、クッチャ」とやって、なんか幸せそうに…。
変に和気藹々としてきたところで、飯に誘われた。周辺の街並に比べ、割とちゃんとした作りのレストランに連れていかれる。俺は外人だからともかく、2人のチンピラ風のたたずまいは、なんか場違い感が出ており、店員どこかもぎこちない態度…。食べる前に水で手を洗うのがエチオピアンスタイル?

でも、料理が出て来て「おっ!?」。盛り付けが綺麗だし、凄く美味そう…。レッドペッパーチキンスープ(ドロ・ワット)に、牛のサイコロステーキみたいな?

そして、「これ牛の生肉!? エチオピアでは生肉食べるの!?」。「クットフォー」という料理で、ホントに美味い!

「こいつら、絶対俺に奢らせようとしてフルコースを頼んだに違いない…」と思いつつ、お皿に乗っている汚いオシボリみたい物体はなにかと尋ねると、「インジェラ」と言って、エチオピアの主食、パンみたいなモノだと言う。
手に取ると、パンというよりはクレープみたいな柔らかさ。普通は手で千切って、スープや生肉に浸して食べるとのこと。千切って一口食べると、「すっぺ…(*_*)」。酸味が異常に強く、世界では食べたことのない類の主食の感…。
でも、こんな感じでスパイスの効いたスープと絡めて食べると、「うまっ!」。想像していたアフリカの食からかけ離れた洗練された料理に気を良くするが、その後、奴らは一文無しであることが判明し、やっぱり俺が全部払うことに…(T_T)。
レストランを出て、再び別の「葉っぱ喫茶」に連れていかれた(笑)。「もう、草とか食べたくないから」と言うと、水タバコ「シーシャ」出てきた! あぁ、うまい。

アリも美味そうに吸ってるよん\(^^)/。

でも、二人に付き合うのも心底飽きてきて…、「じゃあ、もう俺、帰るわ!」と言うと、「今夜、ビールを飲みに行こうぜ!」としきりに誘ってくる。「まあ、いいよ」って別れるが、ホテルに帰って「夜って、最後に全財産奪うパターンかもね…」とブルーになる。念のため1万円分の現地通貨を残し、ホテルのベットをひっくり返して、その他全財産とパスポートを突っ込んで隠した。さらにレザーマンをポケットに入れ、ホテルを出て2人と合流する。
って、「なぜにタクシーで30分走るの!!?」。近くでいいじゃん。「どこに行くのかなぁ…」。不安をよそに、到着したのは寂れたバーみたいな…。客が俺らしかいないけど…。奢りビールで和む二人。なんか、お前らの態度、ムカつくんですけど(笑)。

でも、写真を見返すとなんか楽しそうだね俺(笑)。

そうこうしている内に、よく分からない舞踊団の演奏が始まる(笑)。右のお姉さんがずっとガンつけていて怖いです…(*_*)。

演奏が終わると向かい側に座って、またガンつけられる…。
助けてー(T_T)。

結局「3人の飲み代+演奏代?+ぼったくり代?」で5000円ぐらい払って、ほろ酔いでホテルに帰る。一人でタクシーを拾って…。「お前らが連れて来たんだから、ホテルまで送るとか、気を使えよ(笑)」。「あえて悪そうな人達に着いて行ってみようシリーズ」、ホントにダルい…(-_-;)。
アフリカ大陸の怪魚を追え!「アフリカはつらいよ その3」に続く!