「11月3日の釣り」
【11月6日の更新から続く】 それは家に帰ってちょうど出来立てのソースカツ丼に一口をつけようとした時であった。Kさんからの突然の電話に俺は思わず「うそっー!」と大声で叫んでしまった。傍らにいた母がびっくりして「何があったのー!?」と叫んだぐらいの大声である。
Kさん「武さん、今、目の前に黄金の鯰が泳いでいるんだけど…」。俺「えぇぇぇっ!? マジっすかー!?」。
俺が2年半の間、追い求めていた日本の怪魚「アルビノの鯰」。Kさんは俺と別れてから某河川に立ち寄ったらしい。何気なく1度キャストをして障害物から出てきた黄金鯰を前にし、2度目のキャストをせずに俺に知らせてくれたのであった。しかし、俺はそんな非常事態にも関わらず、出来立てのソースカツ丼がどうしても食べたかった…汗。
「Kさん、1時間後に会いましょう! 鯰は多分同じ所に居続けるので大丈夫です! とりあえず、Kさんもご飯を食べて待機していてください!」と早口で語る俺だった…。
Kさんと待ち合わせの場所で顔を合わせ、そのポイントに忍び寄ると、「うわっ!いた!」。今度はKさんが目撃した場所の反対岸、岸スレスレに陣取って闇の中でおぼろげにその姿を見せていた。
Kさんの「俺は自信がないので、武さんが投げてくださいよ〜!」という言葉に、普通は「黄金鯰を発見したKさんが投げるべきだよ!」と言うべきはずだが、どうしてもこいつだけは自分の手で片付けておきたかった。素直にKさんの好意に甘え、ルアーをチョイスする。ソースカツ丼を平らげてからルアーのチョイスには頭を悩ませた。今までの経験からアルビノ固体は非常に臆病なので、ジタバグ以外にエコギアのワームを選り取り見取りでタックルBOXに詰めた。そして「1度目のバイトで食い損ねて、2度目を食ってこなかった時」のために食パンの餌釣り仕掛けも用意した。さらに期待をこめて自作ジタバグもタックルBOXに忍ばせる。
だが、いざ1投目を投げる段階になって俺がチョイスしたのはやっぱりジタバグ3/8OZであった。極限の緊張感に包まれて1投目を放つ。黄金鯰をTOPで釣るならサイトでなければ無理だと常々思っていたが、ラッキーなことに高台から全てが見渡せる好位置であった。ジタバグは黄金鯰の上流1mの張り出したアシに引っ掛かりながらも、本当に岸ギリギリの水面に落ちた。ロッドをあおり、アシからラインをなんとか外してアクションを開始。ジタバグが黄金鯰の位置を通過した瞬間、その身を翻し追ってきた!
しかし、黄金鯰は中々食い付かない。鼻先でジタバグを突きながら4mほど後を追い続ける。間も無く俺の真下に黄金鯰がやって来た。黄金鯰が一瞬ルアーの位置を見失い、慌ててトゥイッチで波動を送る。黄金鯰が鼻先でジタバグを突いた瞬間、俺はロッドをあおり、鯰の顔にフックを引っ掛けごぼう抜き! もうバイトには至らないと思い咄嗟の判断で、こちらからフックを掛けてやった。
冬の訪れを告げる冷たい雨が降りしきる中、
その時、僕らの目の前に
「溝神様(どぶがみさま)」は降臨した…。

このアルビノ固体を追い続けて早2年半、2002バイト・493匹目にして、遂に手にした!

目の前に黄金の鯰が横たわった時、俺達2人は夜の住宅街で絶叫!(通報されても不思議じゃないくらいの大声だった…汗)。

頭の黒い模様が神々しい。もう一生ジタバグでは捕れない1匹でしょう。フックの掛かり方を見たら紙一重。日中のサイトフィッシングで鍛えて良かったなぁと思いました(日中の鯰釣りではほとんどのバイトシーンをサイトしていたので、その経験が生きたと思います)。そして「何が何でも捕ってやるチューン」でなかったら掛かっていなかったと思います。

そんなことより、この1匹を見つけ出したKさんの鯰にかける情熱と、手を付けずに譲ってくれた友情に感謝の気持ちを!!
タックル
ロッド「アマゾンフリップバリスタ(エバーグリーン)」
リール「アンタレスDC7LV(シマノ)」
ライン「JIGGER8HG 80lb(サンライン)」
ルアー「ジタバグ3/8OZ 何が何でも捕ってやるチューン」
フック「トレブルRB MH サイズ#5(がまかつ)」
スプリットリング「ファイターズリングH 48&52lb(マリア)」。