4月14日から始まった
フジテレビのBOSSの続編。初回視聴率は16・3%だった。
いつの時代も
「女に人気のある女」のタイプは変わらない。
上から目線で男を見下ろし、罵倒し、怒鳴りつけ、腕組をして男のケツを蹴っ飛ばし、澄ました顔で微笑むイイ女。天海祐希って言う女優は正にそんなタイプだ。
圧倒的に女性層から支持される要因は、日本人女性の多くが世の男達に対しストレスを感じているからだろう。出来る事なら、後ろからムカつく男の頭を灰皿でブッ叩いてやりたいという願望。一度でいいから男の目の前で怒鳴り散らして罵倒して泣かせてやりたいと言う願望・・・実際には叶いそうも無い夢。
でも、天海祐希ならやってくれる!
幸か不幸か、天海はBOSSと言うドラマで、その手のキャラを確立してしまった。
一度終わらせたドラマなのに、何故、続編?と言う不思議の背景に、制作側のどうしようもない行き止まり感を感じざるを得ない。今回の続編は天海の女優としてのキャリアに何も残さないだろう。何故なら、BOSSと言う作品自体が天海の中で終わっている作品だからだ。
今、日本のドラマ制作は本当にヤル気が無い。
どんな題材で、どの俳優を起用しても大当たりが期待出来ないと言う状況。新しいものを作っても受けないから過去の遺物を引っ張り出して視聴率を安定させようと言う裏心が丸見え。その結果が初回視聴率16・3%と言う思惑通りの大安定視聴率だった訳。
天海自身も気の毒な女優だ。女らしい女を演じると失敗すると言う奇特な女優であり、男みたいな女を演じると喝采を浴び賞賛されてしまう。嬉しいんだか悲しいんだか本人も複雑な心境だろう。
宝塚出身の女優は自分の持つ芸の引き出しで苦労する羽目に陥る。それは天海に限らず多くの宝塚出身の女優に当て嵌まる事だ。何処と無く皆似ているし、演じるキャラも皆、似通っている。
敢えて酷評するならば、BOSSはストーリーが完成されてるから人気を取っている訳ではなく、
天海の男っぽさが観たいから皆、観ている。
近年、日本のドラマが積極的に強いヒロインを描いているのは、海外ドラマの影響が強いんだなと感じる。例えば
迷宮入り事件を扱った「コールドケース」と言う作品。この作品では
リリー・ラッシュと言う女刑事がヒロインで活躍する。
だが描き方が根本的に違っている。何処がどう違うのかというと、人間の描き方が違う。コールドケースのリリー・ラッシュは強く美しい女刑事として描かれるが、その強さの原点はなんだったのか?何故、刑事の道を選んだのか?リリー・ラッシュの人間的な部分を掘り下げていくのに対し、
BOSSの天海祐希演じる大澤絵里子は豪快で破天荒な女っぷりしか描いていかない。その人間性のルーツが何処から来ているのか視聴者は知る由も無く、12〜3回の放送で終了してしまう。
12回そこそこの放送で、人間性を描く事が出来るドラマ作品など、そもそも不可能。とすれば日本のドラマは、いつまでも1シーズン1クール区切りの作り方は辞めにしなければ発展が無い。そうじゃないと今後も続編を語る過去の遺物に囚われるエンドレスを繰り返すだろう。
今の勢いで行くと、その内、
東京ラブストーリー2とか作りそうだ。年取ったカンチとリカなんて誰も見たくないでしょ?


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