地震と原発事故が起きてから、気持ちがなかなか落ち着かず、山に行く気も起きなかったのだが、家から新緑の藤野の山々を眺めていると、重い腰に鞭を打って、行ってみようかなと思い始め、友人達を誘って、東京都は檜原村の浅間尾根に行ってきた。
浅間尾根登山口から小一時間の登りで藤原峠へ。浅間尾根は秋川周辺の集落といつか位置を結ぶ重要な産業道路で、昔は炭を積んだ馬が行きかった道だという。享保年間の石仏が立っている。享保というと、大飢饉があったことでも有名である。この石仏は、どのような思いで立てられたのだろうか。
よく踏み固められた快適な尾根道を歩く。美しい新緑。
浅間尾根は標高900m前後だが、山躑躅が今の盛りであった。
尾根上に、猿石という石がある。真ん中に、猿の手のような窪みがあるというのだが、お分かりだろうか。
友人達と色々な話をしたり、時にはのんびりと風を感じながら山の中で過ごした。山の風はとても優しい。どんな存在も優しく包んでくれるようである。この美しく素晴らしい山々にも、福島原発事故で飛散した放射性物質が飛んできているのだと思うとやるせない気になる。自然に対して申し訳ない気持ちで一杯となった。


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