この週末は4日間連続の夏休みで、お盆の渋滞を避けた日程で、長野県上田市にある別所温泉と鹿教湯(かけゆ)温泉を梯子してきた。
別所温泉は、ちょっと縁があるが行けていなかった場所。私たちの住んでいるアパートの先代の大家さんが、戦時中の疎開先が別所温泉の花屋という旅館で、近辺のお寺を巡っている内に仏の道に目覚め、独学で仏画を書くようになる。その作品が、比叡山延暦寺や別所温泉の常楽寺などに収められているというのだ。延暦寺に行ったときには所在が分からなかった。そこで、常楽寺はいつか訪ねてみたいと思っていたのだ。
別所温泉と言えば北向観音。善光寺の観音が南向きなので、対になっていると言われ、善光寺で来世を、北向観音では現世利益を願うことになっているそうだ。私は昨年夏、なんとかフェスティバルの時に善光寺に行っているので、一応達成か。ちなみにここは、常楽寺の観音堂という位置付けになっている。境内には、有名な愛染桂が。樹齢1200年と言われているが?その割には細いような気がした。
温泉は、共同浴場の大師湯に入る。150円也。個人宅には温泉を引けないので、地元の人で温泉に入りたい場合は共同浴場となる。この地には常楽寺、安楽寺、そして現存しないが長楽寺の3寺があった。これらを開いたのが、天台宗第3世座主の慈覚大師円仁で、大師湯の名はここから取られている。
ここが天台宗別格本山の常楽寺。立派な茅葺の屋根である。ちなみに、現住職は天台宗第256世座主半田孝淳その人である。先代が、古瓦の収集家であったらしく、境内には常楽寺美術館が併設されている。ここは、行って見れば分かるが意外と凄い物があるので、侮らないように。
本堂をお参りしてからお寺の人に話を聞くと、「そこにその方が描いた曼荼羅がありますよ」と。言われてみると、本堂の陣内左側の壁に、アパート隣のアトリエで見せて貰った見覚えのある曼荼羅がかかっているではないか。「息子さん(現大家さん)が先日見えられてね」と一頻り交流をする。見ることが出来て、非常に良かった。
隣には、別所神社があるのだが、ここの神楽殿で9月25日に、先日のひかり祭りにも来たGOCOOがライブをやるとか。上田に移り住んだ若者たちの企画だそうである。音楽をやっているちょっとした知り合いも別所温泉に住んでいたので、藤野みたいな空気もある場所なのかもしれない。
ちなみに、別所温泉は「信州の鎌倉」と言われているのだが、これは何も鎌倉に似ているからということではなく、常楽寺を開いた惟仙和尚が、建長寺を開いた蘭渓道隆と留学先の中国から帰る船が一緒だったということから来ているらしい。

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