中国農村の芸能、上海租界の劇場、口承文芸研究
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井口淳子著 送別の餃子(ジャオズ) -- 中国・都市と農村肖像画(灯光舎) 定価1980円 
noteで本文に登場する音、音楽を視聴できます。
https://note.com/junkoiguchi_

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2021 A.ストロークのアジアツアー

プロフィール
兵庫県姫路市に生まれる。
1988年中国河北省樂亭地方への初めてのフィールドワーク
1990年黄土高原への共同調査が始まる
1998年大阪大学より博士(文学)の学位を授与される
1999年3月 博士論文をもとに単著『中国北方農村の口承文化―語り物の書・テキスト・パフォーマンス』を風響社より出版
2000年6月 共著『黄土高原の村―音・空間・社会』を古今書院より出版
2003年 博士論文の中国語版を廈門大学出版社より刊行
2003年 『国際理解に役立つ 世界の民族音楽〈1〉東アジアと日本の音楽 』ポプラ社
2003年4月〜9月ドイツ・ボン大学客員研究員
2007年 DVD「東アジアの琴と箏 −絃の拡がり 絃の彩り」(解説付き)の企画・編集(教育芸術社)
2015年 共編著『上海租界与蘭心大戯院:東西芸術融合交匯的劇場空間』(上海人民出版社)
2015年 共著『上海租界の劇場文化:混淆・雑居する多言語空間』(大橋毅彦、関根真保、藤田拓之編)勉誠出版
2016年9月 共著『中国の音楽文化:三千年の歴史と理論』川原秀城編、勉誠出版
2017年4月〜 科研基盤C「A.ストロークの興行にみる音楽マネジメントの近代」

2019年2月『亡命者たちの上海楽壇 -- 租界の音楽とバレエ』(音楽之友社)
2021年1月 『流亡者们的楽壇:上海租界的音乐与芭蕾』彭瑾訳、上海音楽学院出版社

『亡命者たちの上海楽壇 -- 租界の音楽とバレエ』(音楽之友社)の案内はhttps://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=371120

「租界都市上海には、欧米人による音楽文化が深く根付いており、19世紀にはオーケストラや西洋式劇場を有していた。さらに20世紀に入ると、ロシア革命を逃れたロシア人亡命者、ナチの迫害を逃れたユダヤ人避難民のなかの第一級の音楽家が、ペテルブルク、モスクワ、パリ、ベルリン、ヴィーンなどの最前線の音楽を、上海租界にもたらした。本書では1920年〜40年代の、亡命者たちの「上海楽壇」における音楽とバレエの実像を、精密かつ鮮明に描き出す。オーケストラ・演奏家・バレエ団などが、いつ、何を上演し、人々がどう受け止めたのかは、これまで明らかになっていなかったが、近年公開やデータベース化が進む上海租界で発行された外国語新聞を通して、読み取れるようになった。また、朝比奈隆、小牧正英、山田耕筰、原善一郎など多くの日本人に引き継がれた上海楽壇からの遺産の様相、および興行主A.ストロークのアジア・ツアーの全容も、本書で初めて明らかになる。」
目次
第1章 ライシャム劇場――西洋と東洋の万華鏡
第2章 上海楽壇――モダニズムからコンテンポラリーへ
第3章 上海バレエ・リュス――極東でディアギレフを追い求めたカンパニー
第4章 巡業するヴィルトゥオーソたち――興行主A.ストロークのアジア・ツアー
第5章 外地と音楽マネジメント――原善一郎と上海人脈

立ち読みはこちらから
https://www.ongakunotomo.co.jp/tatiyomi/371120/HTML5/pc.html#/page/1
書名によるTwitter
https://twitter.com/jingkouchunzi

書評
1)メルキュール・デザール(Mercure des Arts) 2019年5月号 評者:大田美佐子氏
http://mercuredesarts.com/2019/05/14/books-music_exile_shanghai_settlement-ohta/
2)いずみホール音楽情報誌Jupiter 2019年5月号 紹介:小味渕彦之氏
3)読売新聞書評掲載 2019年6月2日 評者:加藤徹氏
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20190601-OYT8T50143/
4)聖教新聞「音楽の散歩道」 2019年6月19日 評者:林田直樹氏
5)神戸新聞書評掲載 2019年8月11日 評者:阿部さや子氏
6)週刊読書人 2019年8月12日 https://dokushojin.com/article.html?i=5775
静岡新聞書評掲載 2019年9月1日 評者:阿部さや子氏(神戸新聞書評と同文)
7)『東洋音楽研究』第84号 2019年8月31日発行 評者:酒井健太郎氏
8) ウェブ「ヤマハ音遊人」 2019年9月号 評者:芹澤一美氏 https://jp.yamaha.com/sp/myujin/26544.html
9) 『東方』467号(2020年1月号):26−29。評者:西村正男氏「多言語資料を駆使し、上海の音楽文化史を塗り替える好著」https://www.toho-shoten.co.jp/export/sites/default/review/467/toho467-02.pdf
10) 『中国研究月報』Vol73 No12 2019年12月号 評者:榎本泰子氏
11) 『舞踊學』第42号(2019)、72-73頁、評者:森立子氏
12) 『ナマール』(神戸・ユダヤ文化研究会)第24号(2019)、63-66、評者:関根真保氏
13) 『音楽学』(日本音楽学会)第66巻1号(2020)、75-77、評者:仲万美子氏。

最近の論文
2020 論文「コミュニティ・アートとしての音楽 -- 「世界のしょうない音楽ワークショップ」(2014〜2019)の実践より」(大阪音楽大学研究紀要 第58号) https://www.daion.ac.jp/media/2019dai58gou_2020.3.27.pdf

2022 論文 「女性冒険家とラジオ放送―上海フランス租界のクロード・リヴィエール」中国ジェンダー研究会編『中国の娯楽とジェンダー 女が変える/女が変わる』東京:勉成出版。

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2022/5/8 | 投稿者: Author

4月に体調をこわし、お稽古も休み、最終的には「出演できません」と辞退しようとした舞台が5月5日のことでした。
師匠から「当日の朝までとにかく諦めずに」と言い渡され、その二日目から暗譜に向けてひたすら三味線を弾き、歌う、寝ている時以外はほぼ弾いていました。
当日は4時から弾き始め、その時点でまだ覚え切れていないという有様。
刻々と時間が迫るので、とりあえず、着物をちゃっちゃと着て、楽器を抱えて出かけました。
最寄駅を降りると老婦人が「舞台に行かれるのですか?」と尋ねてこられたので、「はい、一曲だけ演奏します」とお答えすると次から次へと質問攻めに。
昔、箏を習っていたのだが、舞台に立つのは大変物入りでしょう?月謝は?出演料は?着物は?と遠慮なくお尋ねになるので、ありのままお答えしました。
つまり、出費はみなさんが思っているよりずっと少ないのです。お月謝は先生にもよりますが、若い先生ならピアノより安いでしょうし、楽器も私はいまだに借り物です。流石に三味線は買いました。
そして、着物。これはピンからキリまでで、よいものをと考えるなら、生地のよい祖母や母の着物を仕立て直して着ています。
今ならリサイクルで上質のものが安く買えます。
それだけお話しすると会場に到着。
調絃室に入るとにわかに緊張が高まり、舞台袖ではもう開き直りの心境でした。
終わるとどっと脱力しましたが、世界のしょうないワークショップの仲間がきてくれていたので、ランチをともにし、音楽談義に花が咲きました。
とりあえず、体調回復を優先して、しばらくお稽古はお休みします。
常に締め切りと研究プロジェクトに追われていて、気持ちに余裕がなく、4月は大切な日にドタキャンが続きました。
今月は生活見直し運動月間です!

会場は豊中文化芸術センター小ホール  by H. Noguchi

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2022/4/22 | 投稿者: Author

昨日、4月21日、山口先生が旅立たれたとの一報を受け取りました。享年82歳。
昨秋、刊行した「送別の餃子 -- 中国・都市と農村肖像画」の冒頭で、「あなたは中国語ができるのだから中国をフィールドに」とアドバイスしてくださったのは山口先生です。
その一言が私のフィールドを決定し、今日に至るまでの研究人生を決めたのですから、なんと重い一言だったのか。
もし、先生が「ベトナムがいいのでは?」とおっしゃったらあの当時の私ならベトナムに出かけたでしょう。
そもそも、音楽教育学で修士を終えた私がフラフラと先生のゼミに研究生としてお邪魔し、再度、民族音楽学で修士に入るという決心をした時、予想に反して、至極あっさりと「あっそう」と許可してくださったところから研究者人生が始まったのです。
予想に反してというのは、先生は学生からみるとなかなかに気難しく、普段の手厳しい態度や言葉から「やめときなさい、あなたは向いていない」と言われるのでは、と内心、戦々恐々だったからです。
あれから30年余りが過ぎ、思い出されるのはやはり最後にお会いした時のことです。
先生はかつて、地歌箏曲をテーマにモンゴル、中国、ハワイに演奏旅行をされたのですが、その時、同伴された演奏家こそ、私が今、師事する菊武厚詞師でした。数年前、その菊武師とともに先生のお見舞いに伺ったのです。
病院のロビーの自販機の前で「先生、何にされますか?」と尋ねたところ「僕、コーラがいい」とにっこり。三人でジュースとコーラを飲みました。ただそれだけなのに、なぜかくっきりと印象に残っています。
昨夜、上海音楽学院のT教授に訃報をお伝えしたところ、長文の返信がすぐに届きました。そこには「山口先生と馬渕卯三郎先生がおられなければ研究者にはなっていなかった、そのご恩は海よりも深い」とありました。
中国からの留学生は全て同じ思いだと想像します。
長い海外留学経験を持たれた先生は、留学生に殊の外、温かく接しておられました。われわれからすると、なぜ?と思うほどに日本人学生への態度とギャップが大きかったのです。
ただ、頻繁に国際会議に出かけられた先生は現地のお土産を学生にも手渡してくださっていました。
我が家ではいまだに、ドイツのジャガイモ用フォークとか、小さな文具が活躍しています。
そして何よりも先生から譲り受けた地歌箏曲というテーマは、日々のデスクワークの中で束の間の「楽器との対話」という宝物のような時間を与えてくれたのです。
先生、長い療養生活、お疲れ様でした。ゆっくりとおやすみください。

追記:22日、お通夜が営まれました。私はこのところの体調不良で伺うことがかないませんでした。終日、弟子たちの間でメールが飛び交い、またICTM(国際伝統音楽協議会)の分会MLで訃報をお伝えしたところ、海外からも心のこもったメッセージが届きました。ICTMでは公式の訃報とおそらくNewsletterに記事が出るかと思います。山口先生が残された調査資料は小西潤子さんが尽力されアーカイブ化を進めておられます。

1990年ごろの写真 
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2022/3/28 | 投稿者: Author

 2019年夏にフランス外交史料館(ナントとパリ)に出かけた時から昨日のシンポジウムの準備が始まっていました。というのもそれ以来、海外渡航ができなくなり、2019年にカメラ撮影した数千枚の資料を読み込む作業と新聞資料を読むことが共同研究の主な作業になったからです。
 昨日はシンポジウム申し込み者が130名弱、実際には90名ほどが参加されました。
 長時間のシンポジウムでしたが、コメンテーターのお二人のすばらしいコメントや、フロアからの質問も鋭く、最後まで議論が白熱し、終わるとそのまま眠ってしまいました。
 実は数日前から胃腸にくるひどい風邪をひき、お粥も喉を通らない数日でした。
 昨日は気合いで発表しましたが、ビデオオフの時は机のそばの布団に突っ伏していました。若手の二人がテキパキと運営、質問もグーグルフォームでスマートに処理、またサポートに回ってくれた京大博士課程の二人は、普段から仏語翻訳などで強力な助っ人になってくれています。まるで若いエネルギーを吸血鬼のように吸い取っているようですね。
 シンポジウムは論集になり、刊行される予定です。若手にも書く機会を作りたいと思っています。


シンポジウム


「上海フランス租界史研究の可能性──パリ・上海から日本へ」


日時:2022年3月27日(日)13:00開始(16:30終了予定)


会場:Zoomによるオンライン開催


開会挨拶・趣旨説明  榎本泰子(中央大学)


第1部:上海フランス租界で花開いた文化


井口淳子(大阪音楽大学) 森本頼子(名古屋音楽大学) 趙怡(関西学院大学) 


コメンテーター 田崎直美(京都女子大学)


第2部:上海アリアンス・フランセーズの戦後と日本


藤野志織(京都大学) 野澤丈二(帝京大学)


コメンテーター 孫安石(神奈川大学)

写真はメンバーが初めて集まった京都のアンスティチュ関西の屋上 2021年
  

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2022/3/11 | 投稿者: Author

3月27日のシンポジウムが近づいてきました。
オンラインではありますが、既に定員の倍以上の申し込みが届いています。
専門分野も異なる6名の科研共同研究が非常にうまく動いている要因として、研究資料を出し惜しみせず、シェアするという方針があります。
例えば、2019年にフランス外交史料館で苦労して撮影した史料群も完全にメンバー間で共有しています。
調査自体は2名で行ったので、その時には今の研究班は存在していませんでした。
しかし、だからと言って独占していても何も生み出しません。
シェアすることで、仏語に堪能な他のメンバーが貴重な発見をし、その成果が共有されます。
つまり、シェアがシェアを生むという循環が生まれているのです。
なかなかこれが難しい。
研究者はそれこそ先に成果を発表したもの勝ちですから、競争相手にわざわざ自分のとっておきの資料は見せたくないというのが一般的です。
ですが、この研究には、少なくとも中国語とフランス語の二か国語が必要であり、どちらも堪能なメンバーはお一人だけです。そうなるとシェアしないことにはらちがあかないということになります。
おそらく27日のシンポジウムを聴かれた方は、我々の間で資料のシェアが行われていること、そしてある種、風通しのよさを感じ取られるのではないでしょうか。
申し込み締め切りは20日となっています。
定員オーバーはある程度までは受け入れ可能かと思いますが、ぜひ、このシェア精神に満ちた共同研究が進める本邦初の上海フランス租界に特化したシンポジウムにご参加いただければと思います!

6名の発表におそらく最多出場するシャルル・グロボワの新聞記事。2022年2月21日 Berry紙
この記事がきっかけとなって貴重な情報がもたらされました、乞うご期待!

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