えー、実家のおやじに続き、もう一人の父ちゃんのことも書きます。
義父の浩さん、89才。
浩さんは、大正生まれの、ものすげえ寡黙な男でつ。
家族が集まってわーわーギャーギャーさわいでても
つねに平常心で、しずかーにみんなを見守ってます。
私はそんな義父が大好きで、いつも「好き好き光線」を発してまつ。
浩さんは、しずかーに「好き好き」を返してくれて、
いっつもわしらの間にはニコニコビームがゆきかってんでつ。
そんな浩さんが、体調を崩して、入院して手術をうけました。
手術が終わったとき、お医者さんが言うことにゃ
「昔 脊椎カリエスをやったとのことで、
背骨に麻酔の注射がはいらず、20回トライしたんですが
結局あきらめて、全身麻酔にしました」
えーーーーー 20回脊髄に注射うったんか!!!
ひどくねえか?? このヤブ医・・・・・ ちっっっ


手術室から出てきた浩さんは、まだ麻酔がきいてるのに
看護師さんの 「ご家族きてますよ」 ちう声に
「はいっっっ!」 とすっげえしっかりお返事してくれて
その後 何を話しかけてもすべてがっつりお返事、と
大正生まれの底力を見せてくれました。
あとで、「麻酔の注射、20回も打たれたんでつって?」 聞くと
「もーね、何本打つんだい、って痛くて痛くてね〜〜
まー、ゆうてもしょうがないから、ガマンしちゃったねえ〜」
いやもう、死ぬほど痛かったはずでつ。
がまん強いなああああ、浩さん!!
また惚れなおしまちた。
手術直後の受け答えについて あとでしゃべってたら、
「どうしても目があかない状況でフシギな感じで
あ〜、千鶴子さんいるなあ〜、って声だけは聞こえててね」
なんか、あの世とこの世の境界線にいたよな感じらしいっす。
「そこには川は流れてましたか〜?」
「川か! わははは! どうだったかな!」
まだまだそれを渡ることはないようだ。
っちうか、だいすきなのでここにいてくだはい、浩さん。
まだまだずうーーっとね。