週末にお越しになるお客様に「最近はネタになるような車両は入ってこないのですか?」と聞かれ
「すみません、ブログ書いてる時間が取れなくて」と返答
今年還暦の店主ですが去年から度々寝れない日も増えてきて
仲間からは「死ぬぞ」と警告される昨今
パートさんを雇うなり業務内容を考えねばならないと痛感
ブログの更新も10日以上開いてしまった
新年1号車検車両
リアタイヤにオゾンクラックが有り前後とも交換依頼
2015年41週目製造なので5年弱

以前3年でクラックが入ったお客様もいた、保管環境もあるのだろうがTT100GPの賞味期限が短くなったか?
タイヤを外すとリム内部には錆があり

可能な限りワイヤーブラシでクリーニング
スポークも錆びてはいるがお客様が全体的にやれた感じを保ちたいとのことで交換は無し

この辺は人それぞれなのでこちらから無理に交換をお勧めしない
無論コンディションによって交換しないと危険な場合は具申する
ただし、この錆び方はオーナーさんまたは前オーナーが磨いたんじゃないのかな?

ユニクロメッキがくすんだところを磨いてビカビカに
ところがそれが地が出て光ってるだけで湿気であっという間に赤錆が発生する
白いワックスらしきが残っているので研磨剤入りのケミカルで磨いたんじゃないのかな
ヘッドライトのLOビームが切れていた

ハロゲン球に交換して明るさUP
今回はフルメンテナンス

ブレーキ全バラ洗浄とスイングアームにガタがあるためセンターカラー、ブッシュ、キャップと全品交換
キャリパーのシール溝には白い結晶があり、きれいに掃除して組み立て
今週末の予約修理車両
事前の依頼事項は
フロントフォークのオイル漏れ、ダイナモカバー下からのオイル漏れ、ホーンの位置変更
最近では内容によっては無理にお待ちいただいて作業はせずに1泊させてもらうことにしている
なるべく来客や電話などが無い午前中に完了させたいがずれ込んで集中が出来ない状況になると時間が掛かっている焦りも合わせミスを発生するリスクが高まる
であれば土曜日朝一で預かり日曜日の午後までかけてじっくりやったほうが確実な作業が出来る
この時期寒い外でお待たせするのもどうかとも考えるからです
※当店はバイクショップというよりは整備工場
狭いためお客様がくつろいでお待ちいただける場所も無く屋外でお待ちいただいている
工場内は立ち合いはお断りしている、仕事に集中したいため
以前お客様から言われたことが有るが「しゃべりながらでも手は動くだろう」と
「いえ、私は出来ません!(きっぱり)」
もし立ち合いたいのなら、させてもらえるお店を選択願いたい
お客様はお店を選べるのですから
さて、当店で初めて診る車両ということもあり1泊コースでお預かり
積載してきた車から降ろして押して移動する時点でフロント周りの違和感を感じた
なんかガタガタなんですね
こんなにガタガタなのは見たことが無い
見た目はすごくきれいな車両...しかし
見回すとあちらこちらに...
キャリパーセッティングボルトが浮いている
フォークのオイル漏れは右側、池になっていますね

インナーチューブのオイルシールの摺動範囲に点錆があるのでインナーチューブの交換も具申
左側、画像じゃ分かり辛いがドレンボルトの頭が無い!折れている

リテーナーのカバーがなぜこっちに付いている?
驚愕の事実は後ほど
依頼事項のホーン、なぜかこんなところに
メインハーネスの取り回しがおかしい
左サイドカバー内もめちゃくちゃ
右サイドカバーを開けるとなぜかヒューズボックス様が寝ている

裏蓋は付いておらず、メインヒューズ部は発熱により溶けている
シートを開けエアクリーナーを見る....セットスプリングが居らずエアクリーナーがただ置いてあるだけ

インレットダクトも不在、スターターバッテリーケーブルがなぜこんなところを通っているのかな
サイドグリップが左右逆
ハンドル周りを見ると左スイッチの配線はハンドルパイプ内を通ているが右側はなぜか外出し
マスターシリンダーホルダーは向きが逆なので上側に隙間が出来ている
メータークッションは潰れ
メインスイッチには結束バンドが掛けられている

メインスイッチONの状態でキーをわずかに動かすとOFFになる
コンタクトベースの接触不良のお茶濁しの措置か
チェンジペダルのワッシャーも不在
また使われているボルト類はほぼホームセンターのもの
6カクボルトは頭にプラスがあるナンバー用のボルトみたいなもので機能面では問題ないがちょっと萎えてしまう
ざっと見てこんなだから作業始めるとどうなるか分からない
依頼事項を優先させ時間があればどんどん進めて行こう
まずはホイールから、こんな状態じゃ試乗も出来ないので先にやっつける
右側のアクスルホルダーはオイル漬け
なぜか左側もオイルまみれ

原因はこれ、ドレンボルトが折れて頭が居ないシールワッシャーでパッキングされていないのでねじ山を伝ってオイルが漏れる

折れボルトの除去も厄介だ
カバーがディスク側に付いているのでリテーナーが丸見え、ボルトも逆向きだ

ばらすとOリングが入っていない
左側のベアリング、指で動かす
すげ〜
外したベアリングは錆びて真っ赤っか

ハブ自体はバフ掛けされていてビカビカなのにベアリングは交換しなかったんだ
普通交換するだろう(俺だけ?)
内部も酷い

錆の混じったグリスが満遍なく塗布されている
もちろん洗浄します

うわ〜汚い
洗浄完了
ディスタンスカラーも磨きました
新品に交換

純正ベアリングはコストダウンのため片面シール
使うのは両面シールです。
ベアリングを打ち込み、リテーナー、オイルシールを組んで
シャフトを組んで動きを確認.....動きがおかしい...
メーターギアとリテーナーカバーが接触して擦れている

隙間が無いのが分かるだろう、リテーナーカバーを動かし良いところを探そうとするが無理
メーターギアを見ると原因が判明

割れてるよぉ
なぜこんなところが割れるか分かりますか?

スピードメーターケーブル抜け止めの皿ビスが緩まなくなり
潰れた頭を再生するのに叩く際や貫通ドライバーで叩く際に
何も考えずに叩くから
横着せずに外して裏当てをして叩けば割れることはない
スピードメーターギアはメーカー廃番壊したら中古で手に入れるしかないが
インターネットオークションでの購入は結構ギャンブル
また、CB500/550と見た目はそっくりで片やホイールサイズが19インチなので実際の速度と合わなくなる
今回は当店のストック品で対応

均等に隙間が出来て問題無し
車両に組んで試乗に出ます

フロントフォークやるのに二度手間にはなりますが、作業前の試乗は必須です。
リアブレーキのペダルの高さがおかしいのと効きが悪いことくらいで
エンジンの調子は良さげ
ステムの引っ掛かりも感じない
帰ってきてタンクを外し...
結束バンドか...

みると至る所結束バンド
気を取り直してフロントフォークをやりましょう
分解してみてまたもや驚愕の事実
今日は仕舞うので続く