2011年10月27日 木曜日
バチカンと言えばキリスト教カトリックの総本山です。ローマ市内にありながら、独立国家です。正式には「Stato della Città del Vaticano」バチカン市国です。国際連合加盟国であり日本国大使館も存在します(イタリア大使を兼任)。
現在の教皇はドイツ出身ベネディクト16世、ベネディクト16世の前教皇がポーランド出身のヨハネ・パウロ2世です。
TPPを考える国民会議代表の東京大学名誉教授・宇沢弘文先生は1991年ヨハネ・パウロ2世の作成したレールム・ノバルムの基本構想は宇沢弘文先生のご提言に沿って作られたものです。
レールム・ノバルム(Rerum Novarum)、というのはラテン語で新しいこと、という意味だそうです。固有名詞としては1891年にレオ13世が出された公開書簡です。
この書簡は副題に「労働者の状況について」とあるように、そのテーマは工業化を成し遂げた資本主義に対して社会主義が伸長していることに対してカトリックが社会原則に則って回答したものです。
〜〜今月の言葉抄 2010年5月〜〜
http://james.3zoku.com/kojintekina.com/monthly/monthly100505.html
宇沢弘文が語る ヨハネ・パウロ二世
1990年8月、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世から一通のお手紙をいただいた。1991年が、有名な回勅『レールム・ノヴァルム』が出されて百周年に当たるので、『新しいレーノム・ノヴァルム』を出すことになった。その作成を手伝ってほしいというお手紙だった。
1891年5月、法王レオ十三世が出された回勅『レーノム・ノヴァルム』は、ローマ教会の重要な歴史的文書である。レオ十三世は『レーノム・ノヴァルム』の中で、当時の状況を
「資本主義の弊害と社会主義の幻想」という印象的な言葉で表現された。
ヨハネ・パウロ二世からのお手紙に対して私は躊躇することなく
「社会主義の弊害と資本主義の幻想」こそ『新しいレーノム・ノヴァルム』の主題にふさわしいというお返事をさし上げた。
〜〜引用終わり〜〜
〜〜朝日新聞10月26日朝刊引用〜〜
債務危機 バチカンが提言
「利己心を超え、国のレベルでは守れない公共の利益を守る仕組みづくりが我々の世代の責務だ」。世界経済を揺らす債務(借金)危機に対して、カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)の「正義と平和協議会」が24日、「国際的な金融通貨システムの再編に向けて」とする書簡で提言を発表した。
具体的には、国際通貨基金(IMF)などに新興国の関与を強め、より効果的な調整や監督ができるようにすべきだとした。欧州中央銀行(ECB)をさらに強化したような「世界中央銀行」の設立も求められている、とも言及した。
また、「倫理的アプローチ」として、@金融取引への課税 A実体経済の発展に向けた銀行への資本増強 B通常の融資と投資の区別なども列挙している。
この協議会は、キリスト教の教義にあわせて社会問題の改善をはかる目的の組織。経済の分野で踏み込んだ提言をするのは異例だ。
グローバル化について「人々をより結び付けており、国を超えたレベルでの法治が求められている」と指摘し、「国同士が争う時代から、より団結した国際社会を生みだす移行期だ」と呼びかけた。(ローマ=石田博士)
〜〜引用終わり〜〜
バチカン市国のHPでは日本語訳がありません。原文は長すぎて和訳するには能力と時間がありません。
http://press.catholica.va/news_services/bulletin/news/28268.php?index=28268&po_date=24.10.2011&lang=it
アメリカとヨーロッパの金融危機、バブル崩壊の危機は一触触発の状態です。アメリカの投資銀行が販売した証券化商品の損失、スペイン・東欧諸国への不動産融資の不良債権化、各国の国債の格下げと損失の表面化、これらのために個別の金融機関は資金繰りが苦しい状態が続いています。1060億ユーロが必要だとの報道があります。
〜〜ロイター10月27日引用〜〜
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23841120111027
主要70行が必要な追加資本は1060億ユーロ=欧州銀行監督機構
[ロンドン 26日 ロイター] 欧州銀行監督機構(EBA)は26日、欧州の銀行が9%の中核的自己資本(Tier1)基準を満たすために必要な追加資本規模は、1060億ユーロとの試算を明らかにした。
ユーロ圏首脳は26日、欧州銀行の資本増強を決定。狭義の中核的自己資本の比率を9%と定め、域内の銀行に2012年6月までを期限に増資を求めた。
EBAによると、国別の必要な追加資本は、ギリシャの銀行が300億ユーロ、スペインの銀行が260億ユーロ、イタリアの銀行が148億ユーロ、フランスの銀行が88億ユーロ、ドイツの銀行が52億ユーロ。ギリシャの銀行の追加資本は既存の支援プログラムでカバーされるという。
EBAによると、求められる資本は「非常に高い質」だが、転換性の高い資本も受け入れられる。
EBAは声明で「銀行が妥当な条件で調達できるよう適切な支援」に向けた公的保証スキームを導入するとし、欧州委員会、欧州中央銀行、欧州投資銀行(EIB)に協力を要請していることを明らかにした。その上で「レバレッジ解消による悪循環と、実体経済に影響する信用ひっ迫を避ける」姿勢を示した。
EBAの試算は70行が対象。試算額は暫定的なもので、11月に詳細を公表する。最終的な不足額は個別各行による公表を求める。その上で各行は期限までの資本不足解消計画を、年末までに監督当局に提出する。2012年10月までに普通株に転換できない証券は算入できない。
〜〜引用終わり〜〜
バチカンの文書が指摘するように金融取引に課税をすればいいのですが、課税にはユダヤ金融は反発します。ユダヤ金融から多額の選挙資金を出してもらっているオバマにはできません。
しかし、人類の生活の向上や経済の改善に役立たないカネ、そのカネがカネを増殖させることじたいが人類への罪とも言えます。しかもカネがカネを増殖させる、ということの本質的な意味は個人投資家が得るべき利益を高速のコンピューター取引で行いユダヤ金融が利益を独占する、ということです。
いったん、コンピューターによる高速取引で間違いが起きれば想像できないほどの株価や為替の暴落が生じるでしょう。その暴落が金融機関を倒産させる、金融機関の倒産は国民経済にマイナスに働く、国民経済の窮乏、という因果関係は容易に想像がつきます。
金融取引に100%の課税をすればユダヤ金融は金融取引を行いません。利益を全部税金で持っていかれるからです。ここまで極端ではないにしろ課税を行うことは金融取引による経済危機を回避する有効な手段だと思います。世界の指導者はそろそろユダヤ金融に阿らず決断する時期なのではないでしょうか。ユダヤ金融と関わりのない野田佳彦内閣総理大臣におかれましては、日本では100%課税をすること、金融取引の透明化と厳罰化を行うことを世界に率先して決定すれば「世界の指導者ベスト10」に入れる可能性があります。
まぁ、オバマに気を使ってTPP協議参加を意思表示するような「ろくでなし」では無理でしょうが。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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