「バス事故災害は規制緩和と事後救済という枠組みの大失敗」
社会のできごと
2012年4月30日 月曜日
GW前半の最後の休日。昨日は一日中庭の手入れ、腰が痛い。
関越自動車道の居眠り運転事故詳報が流れるたびに悲惨な状況がわかってきました。改めて被害者のご冥福をお祈りし、一日も早い回復を願っています。
昨日の日記では、自動車保有台数が飽和状態にあるのにもかかわらず、漫然と産業優先、物流の効率化を優先する政策のミスマッチが交通事故に通底する原因である、と書きました。
新自由主義や構造改革というなにやら期待を持たせられる甘い言葉で行われたことで、日本人の利益になっていることは思い当たりません。悪いことをたくらむときに実態を知らせないようにすることは基本のキですが、ここまで酷いウソはあまり聞きません。
新自由主義・構造改革というのは「自由に競争させろや」「そのためには規制を取っ払って行政を効率化し、被害を蒙ったときには増えた弁護士に頼んで事後的にカネで解決してや」という考えです。ここまで書いても、まだ新自由主義・構造改革に期待を持つ人がいるかもしれませんが、今回の関越自動車道のバス事故そのものが新自由主義・構造改革の結果である、ということです。
もちろん、今後遺族はツァー会社及びバス会社に損害賠償を求める裁判を行うことになるでしょう。賠償責任保険の範囲ではおそらく納得できる金額など支払われないからです。
裁判をして勝訴したとしても、焼肉えびすの例のように会社は破産、代表者も自己破産ということになれば、被害者は結局死に損だった、ということにしかなりません。事後救済という意味はそういう意味です。死亡した原因を作った人間は会社も本人も破産してしまえば借金はチャラ賠償金は支払われない、これが事後救済ということの内容です。
さて、今回のバス事故がなぜ新自由主義・構造改革に基づく規制緩和と関係があるのか(?)
〜〜中日新聞4月30日朝刊引用〜〜
「安価ツアー」過当競争 関越道バス激突
規制緩和で中小乱立 国交省 対策着手の矢先
事故が起きた高速ツアーバスは、旅行会社が区間や日程を決め、運行を貸切バス会社に委託する形態だった。近年低価格で急成長を遂げる一方、過当競争で安全面の不安が指摘されており、国土交通省が制度改正に向けて動きだしたばかりだった。(東京社会部・早川由紀美、社会部・鈴木隆司)
潜在的リスク
(略)
高速ツアーバスが増えた背景には、2000年の貸切バス事業での規制緩和がある。新規参入や、既存の業者バス増便が容易になった。「受託している貸切バス事業者の多くは中小企業。規制緩和で新たな仕事を求めて参入した」(高速ツアーバス連絡協議会)という。
新規参入が相次いだことで価格競争も活発に。高速ツアーバスの利用者は、10年は600万人で3年で倍以上になっている。
大手バス会社が運行する従来の乗り合いバスは、便数や価格を変更するのに原則30日前の届け出が必要となるなど、道路運送法上のさまざまな制約がある。一方、高速ツアーバスは、旅行業法が適用され、道路運送法の制約は受けない。価格も柔軟に決められ、停留所の設置も必要ない。
(以下略)
〜〜引用終わり〜〜
他紙もこの問題に触れてはいますが「規制緩和」の文字を使っていません。中日新聞(東京新聞)は本質的な視点で問題をきちんと整理しています。
そして、同時に想像力を巡らせていただきたいことは弁護士数の増加です。新自由主義・構造改革では、規制を緩和して自由に競争させることで仮に損害を蒙っても弁護士を使って損害賠償すればいい。そのためにはアメリカ並みの弁護士数が必要だ、と言ってきました。
その結果が試験に合格しても失業状態の弁護士が多くいるといいます。また、食えずに弁護士会を退会する方も特に新司法試験になった後の弁護士に多いとも聞きます。そのようなデータを探すことができませんが、深刻な問題です。
いくら優秀な弁護士を雇って訴訟をして勝訴しても会社も代表者も破産してしまえば意味がありません。
さらに事後救済=カネによる解決では残念ながら亡くなった命は戻りません。
これから行政がどのような制度改革をしようとするか注視しなければなりませんが、国民の側から新自由主義・構造改革による規制緩和が何だったのかを理解しておく必要があります。
まあ、それにしても小泉純一郎・竹中平蔵は国賊だということが日を追ってはっきりしてきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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