2012年8月28日 月曜日
アップルとサムスンの争いについては、経緯・技術・論点についてよく知りませんがわたしはTPPとの関係で関心を持っています。
アメリカの陪審制度は刑事事件だけではなく民事事件にも導入されています。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/column1.html
民事事件における陪審制度は原告が陪審制によることを請求すれば被告はそれを拒否できない、ということです(すいません、ネットで拾った知識です)
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/4117/lawA-1.html
〜〜YAHOOニュース8月28日引用〜〜
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120828-00000069-reut-bus_all
焦点:特許訴訟に敗れたサムスン、誤算が招いた最悪の結末 ロイター 8月28日(火)12時10分配信
8月27日、米国で争われていたアップルとサムスンのスマホ特許訴訟はアップルに軍配が上がったが、裁判ではサムスン側の弁護人に読み違いがあったという。写真はサムスンの端末。ソウル市内で撮影(2012年 ロイター/Lee Jae Won)
[サンフランシスコ 27日 ロイター] 2010年8月、韓国サムスン電子<005930.KS>がスマートフォン「ギャラクシー」を発売したわずか数カ月後、米アップル<AAPL.O>の弁護団は韓国へと飛んだ。
アップルの前最高経営責任者(CEO)、故スティーブ・ジョブズ氏は当時すでに、米グーグル<GOOG.O>の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したギャラクシーが、iPhoneを違法にコピーしたものだということをサムスン幹部に伝えていた。一方でサムスンはアップルにとって重要部品の供給メーカーでもあり、両社の関係を考えると、交渉による解決が最も可能性の高いシナリオとみられていた。
だが、事情に詳しい関係筋によれば、交渉は不調に終わった。サムスンの弁護団は、ギャラクシーをコピーと呼ばれて猛反発し、逆にアップルがサムスンの特許を侵害しているという主張を展開するようになった。
結局、2年前の両社のミーティングで双方の溝は決定的となり、世界各地での特許訴訟という泥沼に向かい、米国の裁判所でアップル勝訴の評決が言い渡されるという結末を迎えることとなる。
カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は24日、アップルの一部の特許が侵害されたと判断し、10億5000万ドルの損害を認定。週明けのソウル株式市場ではサムスンの株価が約7%急落した。
特許をめぐる争いは、訴訟に発展する前に当事者間の話し合いで解決する場合が多い。しかし今回の場合は、勝つか負けるかで天と地の差が出る争いであり、両社の間には法律問題の捉え方にも大きな違いがあった。
関係筋によれば、サムスンは自社の無線通信に関する特許が強固かつ価値あるものと信じて疑わず、裁判ではアップル側の訴えを食い止める防波堤的な役割を果たすと考えていた。また、アップルは「角が丸い長方形の外観」などをデザインの盗用として訴えていたが、サムスンはそんな主張が認められるはずがないとも踏んでいたという。
一方、アップル側は、製品の特徴やデザインに関する特許こそ、知的財産の「食物連鎖」の頂点にあると考えており、アンドロイド勢と戦っていくためにも、その正当性を証明することが極めて重要だとの認識を持っていた。
カリフォルニア州連邦地裁の法廷でも、両社は互いに一歩も譲らず、その溝が埋まることはなかった。
裁判に関して言えば、サムスン側の弁護人には読み違いがあった。アップル寄りの評決は市場競争に悪影響を与えると読んでいたが、実際に陪審員たちが重視したのは、アップルが訴えていた「イノベーションの保護」。結果的に陪審団は、ほぼ全面的にアップルの主張を認める形となった。
<深まる亀裂>
アップルが初代iPhoneを発売したのは2007年。携帯電話の市場に革命をもたらす存在だった。しかし同じ年、グーグルは「オープン・ハンドセット・アライアンス」を立ち上げ、その後のアンドロイド開発の動きを本格的に見せ始めた。グーグルはアップルとは違ってオープン路線を採用。アップル追い上げを模索していたメーカーの賛同を得るのに時間はかからず、こうした戦略がジョブズ氏を憤慨させ、その後の2年間でアップルとグーグルの関係は冷え込んでいく。
ジョブズ氏の伝記の中でも、同氏がグーグルを「壮大なこそ泥」と呼び、この問題に関して「核戦争を仕掛ける」とも語っていたことが記されている。
2010年8月のミーティングが失敗に終わった後も、アップルとサムスンの弁護団は、韓国や米国で何度も交渉を重ねてきた。
アップル側は同年10月までに、サムスンがスマートフォン1台あたり24ドル、タブレット型端末1台あたり32ドルのロイヤリティを支払うべきだと結論付けたが、結局折り合いはつかなかった。
そして年末までには、両社が顔を合わせて話し合うことはなくなり、亀裂は決定的となっていった。
<泥沼への道>
アップルはサムスンとの法廷闘争は必要ないと考えていた。だがアップルの考えをよそに、サムスン側は自社の特許に関する強硬姿勢を強めていき、最終的にはアップルに対し、モバイル機器1台につき約14.4ドルをロイヤリティとして支払うよう求めたのだった。
2011年に入り、サムスンはタブレット端末「Galaxy Tab(ギャラクシータブ)10.1」の発売を開始。アップルにとってみれば、それは完全にiPadの盗作であり、サムスンが自社製品に独自の手を加える意図がないということを示す証拠でもあった。
アップルがカリフォルニア州の連邦地裁にサムスンを訴えたのは同年4月。訴状には、サムスンがアップル製品を「猿まね的に」盗んだと厳しい言葉が並んでいた。その後サムスンは逆提訴し、世界10カ国以上での訴訟合戦に発展していくことになった。
その後1年をかけ、両社は訴訟を続けたものの、どちらかに致命傷を与えるような決定的な司法判断は出なかった。ジョブズ氏が2011年10月に死去し、後任となったティム・クック新CEOも訴訟を続けたものの、「サムスンへの法的措置は不本意だった」と振り返っている。
アップルにとって、サムスンを相手取ったカリフォルニア州での訴訟は、iPhoneとiPadの特許に関する正当性を証明するための試金石となる裁判だった。
今年6月、米連邦地裁はサムスンのタブレット端末「Galaxy Tab10.1」とスマートフォン「ギャラクシー・ネクサス」の販売差し止めの仮処分を決定。連邦地裁の判事は、繰り返し双方に和解を勧め、先月も法廷闘争を回避するための調停の場を設けたが、結局合意に至ることはなかった。
<サムスンの敗因>
冒頭陳述が行われたのは7月末。アップルは幹部デザイナーなど多くの証人を呼び、サムスンの内部文書も引用し、同社が意図的にiPhoneを模倣したと主張した。
対照的に、サムスン側の手際は悪かった。判事は双方に25時間ずつを与えたが、サムスンの弁護人は裁判の序盤に多くの時間を割き過ぎたため、裁判後半で反対尋問の時間をうまく作れなかった。また、サムスンの従業員の証言は、通訳や映像を介して行われたため、陪審員の心をつかむことができなかった。
サムスンはアップルの特許6件を侵害した───。これが今月24日に陪審員が下した判断だった。サムスンの主張はほぼ何一つ聞き入れられなかった。
同社はすでに、訴訟を継続する意向を示している。控訴すれば、仮に製品の販売が差し止められたとしても、それを遅らせることができるかもしれず、新製品を販売するための時間稼ぎもできるだろう。
だが、アップルは今や明確な司法判断を得たのだ。今回の評決は、同社が何よりも重要視している知的財産の価値を司法も認めたということに他ならない。
(原文執筆:Dan Levine、Poornima Gupta記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)
〜〜引用終わり〜〜
陪審裁判で行われたアップル勝訴の判決です。陪審員アメリカ人の法律の素人12名が判断した結果です。誰でも愛国心はある、普通に愛国心を持っていればアメリカに都合のいい陪審員の判断になります。
これまでアメリカ企業との法廷闘争において日本企業が莫大な賠償金を支払わなければならなかった事例はたくさんあることを思い出しませんか。
日本の裁判員裁判は今のところ刑事事件だけです。裁判員裁判の本国アメリカでは民事裁判でも陪審員裁判です。
なぜ日本は刑事裁判だけに裁判員裁判が導入されているのか(?)民事事件に裁判員裁判が導入されなかったのか(?)
仮に日本の民事事件に裁判員裁判が導入されると日本に進出したアメリカ企業は、日本の民事裁判員裁判で、アップルとサムスンの特許訴訟においてアメリカの陪審員が行ったような結果を恐れたからです。
日本国内でアメリカ企業が日本の企業との民事裁判になったとき日本人の裁判員が判決を出すことになればアメリカ企業にとっては決定的に不利だからです。
TPPに参加し弁護士のクロスライセンスが参加国で認められればカネにものを言わす弁護士ファームが日本に乗り込み地ならしをしてから民事事件を裁判員裁判を導入しようという戦略でしょう。長期的に戦略を立てることに長けているのがアングロサクソンです。
その意味で今回のアップルとサムスンの法廷闘争は裁判をアメリカ流にする日本の未来の姿です。
もうひとつはアメリカの知的財産権の保護についてです。アメリカは今でも、特許については日本のような先願主義(先に特許として申請した方が権利を取得できる)のではなく、先に発明した方が権利を取得できる、という先発明主義を採用しています。
ただし、先願制を含む改革法案が可決され2013年3月16日以降の特許については先願主義により先に特許申請をしたものが優先されます。
〜〜Wiki引用〜〜
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%88%B6%E5%BA%A6
アメリカ連邦議会では長年にわたり、先発明主義から先願主義への移行のための特許法改正が検討されてきた。
2006年9月にジュネーヴで開催された「特許制度調和に関する先進国会合」では、米国は、日本、欧州諸国など41カ国と共に先願主義方式を採用することを同意しており、連邦議会では先願主義に関する改正を含む特許法改正案が審議されてきた。
2011年9月8日、先発明制度から先願制度への変更を含む特許法改正案「リーヒ・スミス米国発明法案」(Leahy-Smith America Invents Act)が米上院において可決された。先の6月に下院でも可決されていたもの。法案の施行日は2013年3月16日で、この日以降の有効出願日を有した特許の出願に適用される。
〜〜引用終わり〜〜
とにかく先に発明した方が権利を取得するというアメリカだけのルール(先発明主義を採用しているのはアメリカのみ)、それがさらにアメリカ人陪審員によって判断される、という不平等な立場を外国企業は強いられるわけです。これが自由な国アメリカの知的財産保護の実態です。アメリカにとっての自由は他者にとって不自由です。
備忘的にアメリカの著作権についてまとめておきます。
その前に少し知的財産権についておさらいです。
知的財産権とは人が作ったものをパクッてはいけないということ。知的財産権を持っているのは作った人であり、そのパクられない権利を知的財産権といいます。3つ種類があります。著作権、産業財産権、その他の知的所有権です。産業財産権は特許・実用新案・意匠・商標です。最近は新種のタネなど登録をすることが増えています。近くにすぐにパクる人たちがいますから日本で開発されたタネは重要な産業財産です。がんばって頭を使って創出したものはきちんと保護していこうということです。量の勝負で日本は中国などの後進国に対抗できません。日本は後進国に作れないものを作るしかないわけで日本はこちらにいかざるをえません。しかし、日本の行政はこういうことにはあまりカネを使いたがりません。
さて、先進国の中で一番著作権を大事にしていないのはアメリカという国です。著作権の世界ではベルヌ条約(万国著作権条約)が基本になります。著作権は特許などと異なり著作物が世間に発表された時点で著作権が成立する、というものです(無方式主義)。
ベルヌ条約に、日本は明治32年(1899年)に加盟、アメリカは平成元年(1989年)の加盟です。日本より90年も遅いわけです。
著作権の特徴はこの無方式主義、著作権を主張するにはたとえば文化庁に登録するとか法務局に登録するなどの登録手続きは不要だということです。
アメリカはあるときからコンピュータプログラムは著作権である、と言い出しました。政府に持っていって登録する必要はありません。つまり著作物が出現したときが著作権発生です。そしてコンピュータープログラムは著作物であり著作権の保護を受けられる、ということです。
一方で通常の著作権、例えば書籍の奥付にマルシーマーク(丸の中にCが入っているマーク)がついているのをご存じの方が多いと思いますが、あれが著作権の証拠だと勘違いしていませんでしょうか。アメリカは著作物として保護されるためには政府に持って行ってマルシーマークを付けてもらわないと著作権は認められません。書籍は自由にパクっていい、自由にパクってもお咎めなし、ということです。日本のマルシーマークは慣習的に付けているだけの意味がないものです。
コンピュータープログラムは著作権だといいながら、書籍については登録をしなければ著作権が認められないのに、プログラムについては登録をしなくても著作権の保護を要求する、と。これっておかしいと思いませんか(?)アメリカは自分の得意なところは保護を要求するのにそうではないところでは著作権などどうでもいい、パクリ放題の国だったわけです。日本に90年遅れてベルヌ条約に加盟しましたが、著作権保護が世界で最も遅れている国がアメリカであるという実態は変わりません。
アメリカがたくさんつくっているもの(コンピュータープログラム)は外国でコピーできない、外国でたくさん作っているもの(書籍)はアメリカで自由にコピーできるというルールにしているわけです。わかりやすいがイヤなヤツです。
こういうダブルスタンダードをどの場面でも出してくるのがアメリカという国です。人間どうしなら付き合い止めてますね、自分勝手すぎる、と。
でも、小泉純一郎以後、日本の守旧派の土木利権に代わり、新自由主義のアメリカ利権が幅を利かすようになった、結局利権を得る構造が代わっただけで国民に利益は落ちないのです。
スマホを使っていないわたしはサムスンのことはどうでもいいけれどこの事件を通じて改めてTPPには反対であることを表明しておきます。守旧派土木利権も含めてTPPに反対しましょう(笑)。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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