2012年11月7日 水曜日
アメリカ大統領選挙でオバマが勝利、さらに4年間大統領を続けることが決まったようです。今の時点ではフロリダのみが決まっていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/us_election_2012/
投資会社経営により巨万の富を得たロムニー(ロムニーが得たカネのなかには日本から流出した100兆円も含まれているはずですが)か、金融規制を(中途半端だが)続けるオバマか、という闘いになりましたが、アメリカ金融業界はロムニー支持が鮮明でした。前回金融業界はオバマへの献金が圧倒的に多かったのですが、今回はほぼロムニーへの献金です。
それはロムニーが金融業界出身者だからでしょう。同業者に救済を期待する、どこにでもある構図です。
オバマとロムニーの政策の対立点は以下のHPにあります。
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20121031-02.html
オバマが金融規制を行うとしているのに対してロムニーは金融規制を撤廃する、としています。ドッド・フランク法に対する態度です。これは金融規制といってもアメリカの金融を抜本的に変革するものではない、と評価されています。
〜〜米国の新たな金融規制ドッド=フランク法の日本への影響は?松尾直彦氏引用〜〜
、(1)システム上重要な金融機関の規制監督の強化、(2)システム上重要な金融機関の破綻処理法制の整備、(3)店頭デリバティブ規制の強化、(4)ヘッジファンドなどの私募ファンドの助言業者の規制強化、(5)上場会社の規律の強化など、包括的かつ大幅な改革を行う内容となっている。
〜〜引用終わり〜〜
さて、
わたしは金融帝国主義が世界経済を破壊しつつあると判断しているので、金融に対する規制は絶対に必要だと考えています。新自由主義の核心は世界的規模での金融の自由化です。不動産や原油や二酸化炭素取引等、何でもいいのですが、いろいろなものでバブルを発生させ、金融の仕組みを通じて利益を取る、そのためには各国で金融制度がバラバラではやりにくくてしょうがない、だから金融取引に関する規制を撤廃する、と。
かつて戦争は「正義」の名のもとで行われましたが、その本質は経済的利益を求めるものです。資源、領土、労働力=奴隷や国民、市場の獲得をめぐって戦争をしました。今もそれは変わりません。
しかし、経済取引における国境をなくすことで、かつて戦争を行ったのと同じ効果がある、それが現代の金融戦争であり、経済戦争です。戦争は動的な破壊的な戦争から、静的で非破壊的な戦争に変わったのです。
金融は経済においては主役ではありません。カネのないところへ貸し出しや出資という形でカネを仲介する機能、信用で売買したものの代金を決済する機能、手元の資金の何倍ものカネを市場に提供することによる信用創造機能が金融の3つの機能と言われますが、金融事態で社会に価値を提供するものではありません。
なぜなら金融はゼロ・サムゲームだからです。誰かの損が誰かの利益、株を200円で購入し300円で売れば100円の利益が出ます。この100円の利益は200円で売った人の損失に源泉があります。つまり100円の利益は100円の損失に原因があります。差し引きゼロです。机の前でパソコン叩いてバーチャルな取引を繰り返すことには社会に何らの価値も提供していません。
金融の正常な姿は工場等の投資資金を貸し出したり出資したときの金利や配当が利益です。ところがカネがカネを生むようになると信用創造機能が大きくなります。そこでは実体経済よりも金融が主役になります。
金融帝国主義は規制されなければなりません。
今のままいけば、次に世界のどこで金融危機がぼっ発するか、誰にもわかりません。世界の金融資産は167兆ドル(1京4000兆円)だそうですが、金融取引を含めた世界のGDP合計は30兆ドル(2400兆円)、実物の取引に必要な決済資金は8兆ドル(640兆円)、つまり実物に基礎を置かない信用が金融機関によって創造されているということです。信用創造とはレバレッジ、テコの原理です。小さな資金で大きな利益が得られる(逆にいえば大きな損失を生むこともある)。
リーマンショックで明らかになったのは世界の金融機関だけではなく多くの経済主体がアメリカのサブプライムローン組成商品を購入したものの、価値がほぼゼロとなったことです。そしてこともあろうにそれをパチモンを販売した金融機関を救済するために国家が国債を発行して金融緩和することが世界経済危機対策の定石となっていることにあります。
国債を発行し、財政支出を抑え、税金を上げる、すべて金融機関を救済するために世界で行われていることです。これを避けるためには潰すべき金融機関を潰し、実態経済の規模に合わせた本来の金融機能に戻さなければならないのです。金融取引じたいは認めるとしても金融取引に対する適正な課税が不可欠です。たとえば金融取引に80%の課税をすればいい、その税を国家としての研究開発等に再配分すればいいのです。金融取引は大きく減ると同時にそこから得られる税収が国家や社会のために使われることになります。
世界経済はこのようなドラスティックな改革が必要なのですが、ロムニーはその金融に対する規制を廃止する、と主張したアタマのおかしい人です。つまり金融によって利益を出せるユダヤ金融屋に都合のいい候補者でした。
そのロムニーが全米の金融屋の支持を得るのは当たり前です。
もっとも日本にとってはどちらが大統領になっても大して変わりません。カネのなくなったアメリカはさらに国債を日本に買わせようとしているからです。
「自分の過去と他人は変えられない、自分の未来と自分は変えられる」日本人はこのことを肝に銘じてわたしたちの子子孫孫のために行動を起こさなければいけない時代なのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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