2009年2月28日 土曜日
昨日の舌先三寸の続きです。要約します。
昔の営業と今の営業は違ってきています。理由は世の中の成熟にしたがい、新規需要より買換え需要中心になっていること、商品の機能そのものより精神的・内面的な効用が求められることです。
そこで、企業は従業員じしんの感性を参考にしてサービスや商品を開発することで、このような十人十色の精神的・内面的な需要に応えていくことができる、そうすることが一番身近でかつ一番最初にやらなければいけないこと。それを実効あるものにするためには従業員の知識を高めることが必要です。知識を高め感性を言葉で表現したり、形にすることが可能になります。
と、こんなところまで書いたような気がします。
さて、毒米・飛騨牛・うなぎ・タケノコなど食品偽装が相次いで発覚、事業者は刑法の詐欺罪、不正競争防止法違反など刑事責任を問われています。こんなことは当たり前に行なわれていたと誰もが思っています、それが今になって明らかになる。その背景には内部告発があります。
しかも特殊な仕事をしている特殊な従業員による内部告発ではなく、一般の従業員による内部告発です。
つまり、これらの企業は逆のことをやっているわけです。本当は消費者目線に立ってどうしたら消費者が安全でおいしいと好んで自社の食品を購入してくれるか、商品のあり方や売り方を従業員を参加させて考えていくべきなのに、逆のことをしている、そして外部の機関に内部告発をする前に企業のなかで、たとえば「偽装」を止めるようになんらかの意思表示や努力をしたはずです、それがかなわなかったからやむなく企業外部への内部告発を行なった。
本来は味方にしておくべき従業員を敵にする、こういう事例はあちこちで見られます。従業員の消費者としての感性をもっと大事にした企業経営が必要な理由です。
さて、対人関係における言葉は重要です。言葉以外の表情やしぐさももちろん重要ですが、ビジネスにおいては言葉というコミュニケーションツールの力が圧倒的に大きいわけです。
一つはお客さまとの関係、もう一つは従業員との関係です。従業員を味方にするための「舌先三寸」が大事です。
カリスマという言葉がときに流行ります、ウェーバーは支配や権威を正当化するもののうちで「超自然的資質」などといいます。ウェーバーの概念と今の流行りの使い方は違いがあります。しかしウェーバー的にみれば現代においてはカリスマは基本的に存在しません。カリスマ美容師などカリスマ〜は存在しても「絶対的権威の権化」という意味のカリスマはありません。一部新興宗教にはあると思いますが、一般的ではありません、とくにビジネスの世界では。
現代はカリスマ的支配ではなく理論による支配に変わりました、相手を説得・納得させることと言ってもいいでしょう。一方的な支配・被支配の関係ではお客さまとの関係も、従業員との関係も築けません、支配される側から見ればそういう関係は心地よくないですからね。
ということは対等で双方向の関係が求められることになります。自分と同じように家族のある、同じ感情を持った、人間、ただ違うのは責任の大きさだけ。このような関係のなかでお互いが配慮できることが必要です。ただ、上に立つものは往々にして上に立つことで自分が大きくなったような錯覚に陥ることがあります、あるいは身分的に上位に立ったように振舞うことがあります、残念です。より謙虚にならなければいけない、より他人を配慮しなければいけない、のです。
さて、上司と部下の関係で部下のやる気を出す言葉のいくつかをあげてみましょう。
〜〜日経産業新聞2月18日「部下のやる気生むキーワード」参考〜〜
これやっといて 君ならできるだろう
この仕事よろしく 君にしかできない、頼む
失敗したら責任重大 オレが責任持つからやってくれるか
うん そうなんだ
ふ〜ん なるほど 確かに
それは違うだろ なるほど、そのココロは
オイ、なんでできない 君らしくないなぁ
なにやってるんだ 君ならできると思ったのに
なんでできないんだ どうしたらできると思うかい
君、今回の仕事はダメだ 君だからあえて言うけど
みんなの信頼を失うぞ みんな君を頼っているよ
このように部下であっても「相手を認める」「相手に関心を寄せる」「相手の言葉をまず肯定する」「相手の行為を第三者の言葉で賞賛する」訓練をしなければいけません。
〜〜以上終わり〜〜
単純な従業員どうし挨拶をきちんとする、名前で呼びかける、などもこの効果を期待するものです。そのうえで他人への役立ち感を醸成してあげることが重要です。
誉めるときは他人を介して、叱るときは直接ということも同様です。例えば誉めるとき、「社長が君の働きを高く評価しているよ」と言われたほうが嬉しいものです。逆に「社長が君の発言に怒っていたよ」と言われると不安になります。社長から直接に誰もいない場所で「あの発言の真意はなんだったの?」と訊かれたほうがショックは少ないでしょう。
このように他人を認知すること、肯定すること、関心を持つこと、賞賛することは人間関係のなかで非常に重要なことです。
威張り散らす上司は結局対人関係能力の欠如として部下の協力が得られず、実力のない人間と烙印を押されかねません、少しの努力で大きな効果、ぜひやってみませんか。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

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