2013年10月29日 火曜日
毎日福島第一から汚染水漏れなどのニュースが流れてきますが、今からでも国が全面的に被災者と被害者への損害賠償を含む生活の支援、そして原発事故の廃炉に向けた処理を行うべきであり、形として残してもムダな東京電力は破産処理をすべきでしょう。
東京電力には自由に行えることは何もないのですから形を残すことは被災者と被害者の被害を拡大させるだけです。
福島第一原発にはジャーナリストも住民も近寄れない、何が起きているのかわかるのは現場の作業員だけ、という状況があります。
その現場の作業員が一つ一つ重要なことを話してくれています。こんな状況でコントロールできていることにする政治家も行政もアタマがおかしいのではないか、と思います。
そして日本国民も、「カネのためなら原発稼働させる」と考えているのか、自民党は再稼働を積極的に進めようとしています。
こうして現場の危惧は東京電力にも政府にも無視される、というのが実情なのでしょう。
〜〜現代ビジネス 経済の死角引用〜〜
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37310
福島第一原発作業員 緊急座談会「汚染水処理の現場はヤクザとど素人だけになった」
毎日のように、ニュースを賑わせる原発汚染水問題。安倍首相の見解とはまったく逆だが、ほぼ、アンコントロール状態にあると見て間違いないだろう。最前線で闘う男たちにイチエフのいまを聞いた。
間抜けなことばかり起きる
作業員A 先日もホースの交換中に汚染水が漏れて作業員6人が被曝するトラブルがあったけど、原発汚染水漏れはほとんどが初歩的なミス。8〜9割がヒューマンエラーだと思う。
作業員B 作業員の士気、相当低いからね。とにかくコロコロ人が替わるから、責任感みたいなものがない。いま一緒に作業しとる仲間の前職は新宿の居酒屋店員、プールの監視員、塾の講師、トラック運転手と、ど素人ばかり。熟練さんがおらん。
作業員C 僕はフリーターでした。原発内の前線基地である免震重要棟と隣接するプレハブ小屋に出入りする作業員たちの、備品や汚染度の管理をする仕事をやっていまして、同僚は10代後半から60代まで数十人。北海道から九州まで全国から来ていますけど、地元の福島の人が一番多いかな。
それはいいんですが、とにかく現場がいい加減。被曝講習がJヴィレッジ(福島第一原発から20kmの距離にある東電の後方拠点)で行われたんですが、ビデオを観た後にテストがあって、それをクリアすると講義を受けてまたテスト。中には居眠りしている同僚もいたんですが、全員合格。ようは形だけなんです。
作業員B 現場でも東電が作業員に直接指示を出すことは、ほとんどない。あっても「早くしろ」「時間がない」くらいやね。こないだ安倍さんが視察に来たけど、ホンマ、大迷惑でした。というのも「安倍さんに汚いところを見せられない。ガレキを片付けろ!」と東電に言われ、1週間もかけて現場の掃除をやらされたんです。掃除で作業が滞るというアホらしさ。安倍さんが見たのはほんとのイチエフ(福島第一原発)の姿やないですよ(笑)。
俺たちは何が起きてるんか、これからどないなるんか、何もわからん。毎日毎日、自分の作業が何のためになるんかもわからず、ただ言われたとおり動いとる。
作業員A だから、ゴムシートを現場に置き忘れて、それが排水口に詰まるなんて、初歩的なミスが起きる。「それぐらいで?」と思うかもしれないけど、原発ではちょっとした落とし物でも大事故につながる。構内には「ゴミを落とすな」という張り紙があちらこちらにあるくらい。私からしたら、ゴムシートを放置するなんて考えられない。原子炉からALPS(放射性物質除去装置)へ汚染水を注ぐホースにゴムのカスを詰まらせたときは、原子炉の冷却ができなくなって、温度が上昇。「何があったんだ?」と大騒ぎになった。
作業員D 汚染水タンクの配管も、どれだけ傷んでいるか想像もつかないですよね。
とにかく「急げ、急げ」と急かされて作ったから、純正品ではなく、既製品を組み合わせている。配管として使っていた市販のホースがチガヤという雑草のせいで穴があくというマヌケな事故もありましたよね。
作業員C 汚染水タンクの設置当初から水漏れは懸念されていましたけど、そうした声は東電に伝わらない。東電はタンクをパトロールしていると言ってますが、
1000基あるタンクを二人で2〜3時間で見るわけでしょ? 長く見積もっても1基あたり30秒弱。連結部分は数万ヵ所あるわけで、とてもチェックできない。
自分も海に汚染水を流した
作業員B だいたい、タンクから漏れてる汚染水なんて、雨が降ったら確認は不可能。漏れてるのか雨なのか区別がつかん。地下水に至っては、想像もつかんよね。側溝にも明らかに汚染水と思われる液体がたくさん流れとるけどパッと見、普通の水。よく「今日は何tの汚染水漏れが見つかりました」とニュースでやっとるけど、報道される数字は少なすぎる。ハンパやない量が流れてますよ。せんだって、台風が上陸したときなんて、大雨で側溝の水が溢れそうになったので、海に捨てました。
流した水の放射線量を測定しなかったことを責められましたが、あえて測定せんのですよ。数値によっては犯罪になってまうから。
作業員A ただ、外部被曝に関しては、多少はマシになった。東電がサーベイマップを公開していて、高線量の場所がわかるから。毎時70〜80シーベルトという超高線量のところは鉄板で覆ったうえで、張り紙をして、注意喚起している。
作業員B でも、
福島第一原発には、地雷みたいに、とんでもない高線量のところがまだまだある。原子炉建屋の山側の道を車で走ると、いまもピューッと線量があがりますよ。特に2号機と3号機の間。あそこは加速して突っ切ります。
3月にネズミが仮設の配電盤をかじって停電したよね? どこが停電したか、みんなわかっとったけど、線量が高いと有名なところだったから、誰も現場に行きたがらんかった。
作業員A 熟練作業員の不足は深刻。素人が10人いるより、技術を持った一人のほうが仕事は捗る。震災後、原発作業員の年間被曝量の上限が50から250ミリシーベルトに上げられたけど、福島第一原発ではそれでもすぐ、被曝限度を喰ってしまって、働けなくなる。熟練工は『高線量部隊』と呼ばれる、原発により近い現場で働くので、だいたい1~2週間で限度オーバーになってしまう。
作業員B そんなリスクをおかして、手当もピンハネされてロクにもらえんなら、イチエフを選ぶ理由はない。
作業員C 作業員には通いと泊まりがありますが、小さい下請けに入ってしまうと、16時間も拘束されることがある。長時間労働、低賃金、残業手当なしの世界。
作業員B ウチの会社はプレハブの寮に住んでいる人が多いかな。事故直後は地元の温泉街の宿やったから、ランクは相当落ちた。それにこの寮というのが、メシがまずくてね。「東電が全然、お金をかけてくれない」って食堂のオバちゃんが嘆いてた。
作業員D
作業員の装備が野田政権の収束宣言('11年12月)以降、ずいぶんと軽くなりましたよね。東電が予算を削っているからでしょう。性能のいいチャコール(活性炭)フィルター付きマスクから市販の使い捨てマスクになった。それどころか、マスクなしで作業するエリアもできた。作業員を運搬する車両で汚染物を運ぶこともあるんだから、マスクなしのエリアなんてありえないのに。
作業員B メディカルチェックは受けとる?
作業員C 3ヵ月に一度、ホールボディカウンターで内部被曝の検査をしてます。その他、契約している総合病院での定期検診が3〜4ヵ月に1回ありますね。
作業員B 一緒に働いていた人で、東京の人と広島だか山口だかの人が突然死しましたわ。被曝とは関係ないって言われとるけど……。ただ、労働条件が過酷なのは間違いない。夏なんて、シャワー浴びたのかってくらい、汗をかく。
作業員D ケアの面もどんどん悪くなってます。
以前は線量オーバーで離職した人間は、半年か年に1回は人間ドックを受けられたり、無料の健康相談があった。それがいまはよほど高い線量で被曝したケースじゃないと、そういうケアはない。私は最近、すごく風邪をひきやすくなった。過労のせいもあるだろうけど、すごく不安です。
作業員C 使い捨てにされてる感がありますね。作業員は原発内のプレハブで休憩したり、食事をしたりするんですが、誰がどこで何の作業をしていたか、一切知らされない。僕はそんな作業員たちが着ていたものの廃棄や処分をやるんです。ハサミを入れて脱がせるんですが、下手したらこっちも被曝する。なのに東電は放射線測定時間の短縮を求めてくるからチェックが甘くなる。一番ヒヤリとしたのは、作業中に何かが指に刺さって血が出たとき。
トラブルが表沙汰になれば現場責任者も咎められるから、黙ってました。
毎日、放射能を浴びている
作業員B 汚染水処理にしたって、いまはそれを最優先にしているけど、肝心の
汚染水を流すホースさえ、事故当時のまま使っているから、劣化が激しく、あちらこちらから水漏れする有り様。原子炉建屋もボロボロのまま。満身創痍ですわ。
3号機なんていまも、原子炉の中がどうなってるかわからないですからね。放射線量が高すぎて、ロボットも入れない。
作業員D
汚染水以外のことが後回しになっています。たとえば1号機、2号機の排気筒のヒビ。崩壊すれば毎時10シーベルトの放射性物質が放出されかねないのに、まったく報道されない。これ、1時間浴びれば死んでしまうレベルの線量です。ヘドロ化した汚染物や、原子炉建屋が水素爆発した際に飛び散った燃料棒の欠片が海に流れる可能性だってある。
作業員A 余震も怖い。地震が発生したら、免震重要棟へ逃げるようになっているけど、指示がおおざっぱ。
作業員B 地震が起きると構内放送で知らせてくれるんやけど、マスクをかぶっとるから、なかなか聞こえへん。しかも、防護服を着ていては機敏に動けない。震度4くらいの揺れでも「うわ!」ってみんなパニックになっとるもんね。ずっと原発で作業しとれば慣れるんやろうけど、人がコロコロ替わるから。そういえば、「現場で大ケガしても、ドクターヘリが来ますから」なんて東電は胸を張ってたけど、実際にケガ人が出たときにヘリが来るまで1時間以上もかかって、「救急車のほうが早いわ」と怒られとったな(笑)。
作業員C 私の所属する下請け会社には保安担当者がいて、地震の際は彼らの指示に従うよう言われています。地震が起きると、保安担当が現場を見まわって、異常の有無を確認して会社へ報告していますね。
作業員D 浜岡原発は防潮堤のかさ上げをしているけど、イチエフにはお粗末な、石を金網で包んだ仮設防潮堤しかない。順番が逆でしょう。
作業員A 東京オリンピック招致に際して、安倍首相が「状況はコントロールできている」と安全宣言したけど、あれはどこの話なんですかね。それどころか、ゼネコンが集めてくる作業員たちはいずれオリンピック関連工事に取られると思う。安倍は無責任すぎるよ。
じきにヤクザも逃げ出す
作業員D もちろん、我々にもやらなくちゃいけないという思いはあるんですが、正直キツい。作業員の数は変わらないのに、仕事は増えていくばかり。
トラブルが起きれば、その対応でまた仕事量が増える。キャパシティを超えて、みんな疲れきっています。「汚染水を処理する」ことばかり注目されていますが、現場の感覚からすると、
放射性物質を取り除いた低濃度の汚染水を海に流せるように政治の力で話をつけてもらわないと意味がない。処理後の汚染水が貯まる一方で、いまでもタンク工場みたいになっている。
作業員B あとは作業員を増やすべき。特に熟練工を福島に戻さんと。
作業員D
東電は、最初は威勢のいいことを言うんです。『お金がかかってもいいから、ちゃんと収束させましょう』と。ところが、実態が伴わない。これから廃炉まで30年も40年もかかるのに、作業員の詰め所はプレハブにクッションシートを敷いた簡素なもの。汚染水用のタンクもそう、「カネがないカネがない」でも「急げ急げ」で造ったから、トラブルが絶えない。
作業員C 一部の東電の協力会社がバカみたいな安い値段で入札して、イチエフの労働価格のデフレを引き起こしたのも問題。労働者の中には借金などでヤクザに送り込まれた人や食い詰めたヤクザ本人がいる。現場はヤクザとど素人ばかりです……。
作業員B 原発に潜入したジャーナリストが「作業員の1割はヤクザ」と本で書いとったけど、たしかにヤクザ者は増えた。刺青入れた作業員にも会ったことあるわ。安く人を派遣して中抜きしたり、単純にシノギとして若い衆を派遣したりしとるんやろね。
一方でヤクザに頼りでもしないと、人が集まらんのも事実。
作業員D そもそも事故対策を考えてなかった会社に事故対応をやらせることが間違い。しかもプライドは高いから「このままでは無理です」と頭を下げることもできない。
汚染水はどんどん増えるのに、作業員はどんどん減っていく。それなのに子ども・被災者支援法はあっても被曝労働者の支援法はないというんだから、そのうち素人もヤクザもイチエフからいなくなってしまいますよ。
作業員A/神奈川県出身の30代男性。事故直後、自ら志願して福島へ
作業員B/大阪府出身の40代男性。いわき市の寮から、原発に通う
作業員C/東京都出身の20代男性。街中で声をかけられ転職を決意
作業員D/事故前から福島第一で働く地元・福島県出身のベテラン
「週刊現代」2013年10月26日号より
〜〜引用終わり〜〜
〜〜東京新聞10月29日引用〜〜
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013102902000116.html
東電社長 作業員不足認める 規制委員長と面談
2013年10月29日 朝刊
単純ミスによるトラブルが続く東京電力福島第一原発の現場環境の改善に向け、原子力規制委員会の田中俊一委員長と東電の広瀬直己社長が二十八日、初めて面談した。東電側が作業員確保が難しくなっていることを率直に認めるなどいくつか前進はあったが、面談が本当に改善のきっかけになるのかどうかはまだ分からない。 (岸本拓也、片山夏子)
これまで東電は、福島第一の作業員は基本的に足りていると強調してきた。東電社員も退職者が増え、下請け作業員も長引く収束作業で、被ばく線量が増え、原発を離れる人が増えてきたのに、ずっと「足りている」を繰り返してきた。
この日、広瀬氏は一転して「作業員の確保が非常に困難になっている」と認めた。敷地全体の放射線量をもっと下げ、全面マスクなしに過ごせる場所や休憩場所も充実させることなどを約束した。
ただ、作業員が集まらない理由は、線量だけでなく、コスト削減で作業員の待遇が悪化していることも大きな原因だ。広瀬氏は、東電全体で社員を福島第一に回し、人員を確保する対策も明らかにしたが、下請け作業員を含めた長期的な人材確保、待遇改善に向けた具体論までは話し合わなかったようだ。
一方、規制委にとって、面談のもう一つの大きな目的は、福島第一の収束もままならぬ東電が、果たして柏崎刈羽原発(新潟県)をきちんと運用する能力があるかどうかを確かめることだったはず。
しかし、再稼働問題について「話は出なかった」(広瀬氏)というばかりで、密室の場で、どういう話になったのかははっきりしない。同席した規制委事務局の池田克彦長官は「まず福島第一をどう改善するか、結果で示してほしい。それを見て考える」と述べるにとどめた。
今後、福島第一の現場の環境改善をどうチェックし、どう判断されれば柏崎刈羽の審査を進めるのか。両トップの面談からはうかがい知れなかった。
〜〜引用終わり〜〜
結局東電は人手不足を認識しているのです。ヤクザを使っても作業員が集まらないときには60歳以上の男子は1年間国家のために福島第一原発で作業をする、という徴兵制が決められるかも知れません。
しかし、わが優秀な防人を原発に派遣せずに済むなら私は潔く赴任します。ただし、原発はすべて廃炉にしてもらわなければいけません。今ですら収束にはほど遠い現状なのに、「カネのためならガマンしろ」と堂々と原発再稼働を発言する政治家ばかりでは無駄死にとなるので行けません。
いずれにしても、メルトスルーしている可能性が高いといわれる福島第一原発、その事実すら確認できていないわけで、弥縫的に行っている汚染水処理ですら「見ないことにする」ために線量を測定していない、という現状を日本人はよく見るべきなのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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