2014年6月1日(日曜日)
残業代を払わなくていいというホワイトカラーエグゼンプションの導入が話題になっていますが、制度化されるのは間違いないでしょう。「アリの一穴」、最初は対象を限定しておいて、やがて全面的に導入する、という戦略です。
基本的に労働者に専門職性はありません。代替できるから労働者なのです。だから、専門職には残業代を払わないという制度じたいが言葉遊びです。
派遣労働も最初は専門職に導入され、やがて代替労働に全面的に拡大しました。もう忘れてしまっていませんか。
世界はブラック国家を競いあっているような状況です。新自由主義という美しい言葉に騙されて。
「新しい」「自由」を基調とする考え方(主義)なら良いに違いない、って考えてる人たちも多いのでしょうね。
行き着く先がブラック国家であっても「新自由主義」に向かおうとする国民・国家にはしたくありませんが、それも国民の選択なら逃れようがありません。
欧州議会選挙では、ドイツ・フランスで反ユーロ政党の躍進が目立ちました。ドル経済圏に対抗するユーロ経済圏に反対と考える人たちが多くなっている点で注目しています。排外主義的政策が受け入れられているだけかも知れませんが。
新自由主義というのは、労働現場でいえば「ヒトのモノ化」に過ぎません。「24時間365日、死ぬまで働け」(ワタミ企業理念)という言葉に見事に集約されています。
モノ(設備)は減価償却ができますが、ヒトには減価償却がありません。だからモノで代替できることはモノで代替すべきでありヒトにやらせてはいけない、という考え方を一歩前に進めれば、ヒトにかかるカネの変動費化になります。
変動費とは材料費のように売上が増えれば比例して増える費用のことをいいます。財務上の費用とは異なる概念です。
これが派遣労働でした。そして次が残業代不払い。つまり、売上の増減に対して労働者も残業代も自由にコントロールできる制度づくりが国家単位で行う、ということが新自由主義の到達点です。つまり国家の政策で企業により多く分配することが合法化されている、あるいはされつつある、わけです。
そんななかでブラック企業の代表格であるワタミが脱ブラック「宣言」をしました。しかし、ブラック企業が脱ブラックしたらどこで利益を出すの(?)と思います。もういっそのこと特別精算してしまったらいいのに、と思います。
同様にブラック国家化にも躓きが顕在化することは間違いありません。
〜〜YAHOOニュース5月31日引用〜〜
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140531-00000552-san-bus_all
「もうブラックと呼ばせない」ワタミ、労働環境改善、新業態で再成長目指す
産経新聞 5月31日(土)18時0分配信
決算会見で労働環境の改善策を説明するワタミの桑原豊社長=5月8日、東京都千代田区(写真:産経新聞)(省略)
ワタミが深刻な業績低迷に苦しんでいる。居酒屋チェーンを中心とする主力の外食事業の売上高がピーク時の8割まで落ち込み、平成26年3月期の連結決算は上場以来初の最終赤字に沈んだ。今期は安価な大衆店から高収益の専門店業態への転換に本腰を入れる計画だが、一方で、サービス業の「要」である人材の確保難が行く手に影を落とす。業績を回復軌道に乗せるためには、デフレ環境下で成功した事業モデルから脱却するだけでなく、従業員の労働環境や「ブラック」の評価が根付いた企業イメージの改善も急務だ。
「365日24時間死ぬまで働け」という表現を改めた−。
ワタミは今月19日、ホームページ上にこうした「お知らせ」を掲載し、社員6000人余りに配布している「グループ理念集」の改訂を明らかにした。理念集は創業者・渡辺美樹氏のメッセージをまとめた内部文書で、その激しい文言が、社員に過酷な労働を強いるブラック企業の証左だとみられてきた。
同社は「言葉が一人歩きし、誤解された」(広報)と釈明しつつも、批判が高まる発端となった6年前の過労自殺事件にふれ「ご遺族の心情を察し、表現は慎重であるべきだった」と、改訂理由を説明する。
「長時間労働の慢性化」
「勤務時間の不適正管理」
ワタミの労働環境をめぐっては、昨年設置した外部有識者委員会の調査報告書にも、その過酷さを厳しく指弾する言葉が並んだ。
これを受け同社は3月、運営する居酒屋の約1割に上る60店舗を今年度中に閉鎖する苦渋の決断に踏み切った。4月以降20店舗余りを閉じ、社員の別店舗への再配置を進めている。
従来は1店舗平均1.86人と少なかった社員数は今年度末に同2.2人まで増え、一人当たりの負担が軽くなるという。店長ポストが減ることで、社員のモチベーション低下という副作用も懸念されるが、桑原豊社長は「今年度の重点目標は、まず第一に労働環境の改善だ」と決意を語る。
雇用環境が好転する中、人材確保の上で、働く側から「選ばれる」取り組みも重要性を増してきた。
今春のワタミの新卒入社人数は120人と、当初予定のわずか半数止まり。景気回復に伴って4月の有効求人倍率は1.08倍まで改善し、外食や小売り各社で広く人手不足が生じていることは事実だが、同社の採用難には低下した企業イメージも影響したようだ。
それを裏付けるかのような出来事が、3月に名古屋で起きた。同社が新規開店した米国風レストラン業態「TGIフライデーズ」のアルバイト募集で、70人の採用枠に約200人もの応募が殺到したのだ。
「若者向けの新鮮なイメージが『働きたい』という人気につながっている。残念ながら、同条件でも居酒屋『和民』の募集では5人くらいしか集まらない」。担当者はそう打ち明ける。
このためワタミは人材確保に向け、転勤がない「エリア限定社員」の福利厚生を充実させるなど、雇用条件の改善にも取り組む。
外食産業に詳しい野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは「『ブラック』の悪評は払拭に時間がかかり、経営上の大きなリスクになる」と、地道な改善の必要性を指摘する。
コストを抑えて手頃な価格の酒食を提供し、店舗網の拡大へと突き進んできたワタミ。そうした過去の戦略と決別して雇用環境を改善した先に、どんな再成長の青写真を描くのか。カギとなるのは、「総合居酒屋から専門店への転換」だ。
桑原社長は「総合居酒屋の価格の安心感とブランド知名度を武器にした成長戦略は、すでに曲がり角を迎えた」と分析。今後は専門店の比率を高め、1店舗当たりの収益力を最大化していく戦略を基本にすえる。
同社の居酒屋の既存店売上高をみると、全店舗の9割を占める「和民」と「わたみん家」で前年実績を割り込む低迷が目立つ一方、炭火焼き店「炭旬」やワインバル「GOHAN」といった客単価の比較的高い新業態は、好調なプラス成長を続けている。
2月に開いた初の本格中華店「ワンズガーデン」(川崎)をめぐっては、これまでワタミが苦手としてきた駅ビルや商業施設への出店要請が相次いでいる。初めて外部コンサルタント会社と共同で店舗開発した「炉ばたや 銀政」(銀座)は3月の開店以降、女性客が約半数に上り、客単価も4000円弱と、2500円前後の「和民」と比べ高い水準を維持している。
今後も総合居酒屋のような数百店規模の展開は前提とせず、毎年新たに1〜2業態を開発、平成29年には全650店のうち4割まで比率を高める計画だ。
居酒屋の市場規模は平成4年の約1兆5000億円をピークに減少が続き、23年には1兆円を割り込んだ。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主任研究員は「店での飲酒機会が減る中、『せっかく行くならいい店に』という志向が高まっている。『デフレ型成長モデル』からの素早い転換が必要だ」と指摘する。
「ワタミ創業の原点に立ち返り、ゼロからの再出発を図りたい」と誓う桑原社長の手腕が注目される。
〜〜引用終わり〜〜
最後までお読みいただきありがとうございます。

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