2009年6月26日 金曜日
〜〜中日新聞6月25日朝刊引用〜〜
農協5割が非農家 規制逃れの登録 中部9県 事業多角化で急増
農業協同組合(JA)が非農家の顧客の組合員化を急速に進め、中部9県では組合員に占める割合が半数に及び、都心部や近郊で7割を超えていることが、中日新聞の調べで分かった。
金融や不動産事業などで拡大した非農家との取引が法規制を超えたことから、規制逃れのために「准組合員」という形式で組合員登録を進めたことが原因。
本業以外の事業拡大で脱農業が過度に進んだことを裏付けており、制度のあり方が問われそうだ。
中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・滋賀・福井・石川・富山)への取材を集計したところ、農協の組合員数は208万5千人で、このうち非農家の准組合員は103万千人。5割を超えたのは愛知(57%)、岐阜(55%)、静岡(62%)、滋賀(53%)の4県。
個別農協では、なごや、天白信用、みどり(名古屋市)、蒲郡市(愛知県蒲郡市)、あいち知多(同県常滑市)、とうと(岐阜県多治見市)、富士市(静岡県富士市)などで7割を超えていた。
農協は農家の相互扶助という趣旨から法人税が約3分の1軽減されるなど優遇される一方、農業協同組合法では貯金や融資(個人・団体)について非組合員の利用総額を組合員の利用総額の25%以下に抑えるよう定めている。
しかし、農業の衰退が進んだ都市部を中心にJAバンクの貯金、住宅・自動車ローンなどの共済、農地転用を仲介する不動産事業など経営を多角化するなかで、非農家の利用者が急増。そのほとんどが非組合員だったため、比率が25%を超える法令違反が各地の農協で常態化した。
農林水産省は2003年、監督する都道府県に実態把握と法令順守を指導。この際、各農協は農家でなくても一定額の出資金を払えばなれる「准組合員」への登録を進めた。
全国農業協同組合中央会(JA全中)は「法的問題をクリアするため、非農家の利用者に准組合員になってもらった」と認めている。
法人税の軽減以外にも独占禁止法の適用除外、金融業と他の事業の兼業を認めるなど、農協には法的な優遇措置がある。
その一方、農協法には非農家の出資比率や農外事業への歯止めがほとんどなく、脱農業を加速させる要因になっている。
〜〜引用終わり〜〜
農地改革という名の富裕農家から土地をほぼタダで取り上げ、そしてそれをいわゆる小作農だった農業従事者に配分し、零細な農家を増やしたのが戦後の農業政策の基本です。
同時に農業の資材販売から生産物の出荷、そして利用代金の入出金を行なうということで農業に関する総合的なサービスを行なってきた農協という戦前から続いた組織を存続させました。
農協と農水省を中心とする日本の農業政策とその展開は、小規模農家の所得保障をすることで政権党である自民党の票田として育て維持をしてきたことに尽きます。
体系的にも個別の問題としても理解できていない農業・農協の問題ですが、体験的に感じていることを備忘的に書き留めておきます。
農業予算というと農業のために使われると想像している方がほとんどだと思います。
しかし、本来の農業のために使われるよりはるかに多額のカネが農地の造成に使われ(土地改良事業)ていたことをご存知でしょうか。それは農業に利益をもたらさず、ゼネコンに利益をもたらすものでした。
今はどんな田舎にいっても整然とした区画の農地を見ることができます。棚田という日本の自然遺産、なんとか百景の場所ではそういうわけにはいきませんが、それらの山間地を除く多くの田畑が耕地整理という形で整地されました。
耕地整備の仕事は農業従事者が行なうわけではありません。大手測量会社やゼネコンが請け負ってこれを進めたわけです。多くの「建設コンサルタント」会社は、公務員を定年退職して会社を設立して地方自治体や整理組合と測量会社やゼネコンの橋渡しをするだけで利益が出た時代に創業しているのではないでしょうか。
その莫大は富は税金の再配分を通じてゼネコンに流れました。最初は役所OBのコンサルタント会社、それが天下りをした測量会社に流れ、施工を通じてゼネコンと政治家が潤ったのです。
天下りや利権談合がまだまだまったく社会問題にならなかった頃の話です。やりたい放題、できた時代です。
こうして国の予算で日本の国土のほとんどすべてが耕地整理され、機械化農業には都合のいい形の田畑が出来上がったのです。
しかし、同時に米余り減反政策が始まります。カネかけて耕地整理を行い、ゼネコンや政治家や元公務員が儲けた後は、整地した農地を利用して農業を継承する人材がいなくなったのです。
その結果が中日新聞のいう「優良農地」といわれる耕地整理をした後の農地です。全国でほぼ同じように農地整理を行なっているわけですから、工場をどこに誘致しても農地整理をした場所にかかるわけです。
地方自治体にすれば耕作放棄地もある「優良農地」では固定資産税も低いままで、税収も伸びません。工場に転用すれば固定資産税は増加し、財政的に豊かな自治体になることができます。農地転用してでも税収を確保する道を選択するのは当然の結果です。
しかもほぼ整地されている。曲がりくねった耕作のしにくい土地ではなく、測量も行なわれた整地された四角の土地です。転用するにも都合がいいのは当然です。
こうして日本の農業は小規模を残し、したがって、一人当たりの生産性が低いことには手をつけず、農地整理などカネを使うだけの施策を行なった結果、食料自給率をどんどん落としていきます。
農業の基本は食料確保です。この基本を忘れて票とカネを優先した自民党の農業政策が農協を使って行なわれ、農業をダメにした、と考えています。
まとまらない文章で申し訳ありません、疲れではありません、自分自身でまとまっていないだけです。
あらためて、農業に関する問題をまとめようと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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