2009年6月27日 土曜日
介護現場の人手不足は今も続いています。ただ1年前に比べれば「いい人材」を採用できるようになった、つまり選択肢ができたことは事実のようです。
かっては、求人を出しても応募がありません。どうしても人材を確保しなくてはならない場合には、目をつぶって採用を決めた、それが大当たりになるわけはなく、会社とのトラブルや従業員同士のトラブル、お客様とのトラブルの中心になっていく構図です。
そこで、外国人の介護労働者が注目されたのです。日本に自国民を「派遣」して、労働をさせたい国はすでに受け入れているフィリピンやインドネシアだけではありません。日本がODAで援助する諸外国はすべてが日本への自国民の「派遣」を希望しているでしょう。
すでに行なわれているインドネシア・フィリピンの介護人材受け入れは、どのように評価されているのでしょうか。
そのような環境にありませんからわかりませんが、TVの報道などによると、利用者からの評判は悪くない、のだと思います。
わたしは、外国人の介護人材を活用するよりもすでに日本で資格を持ちながら、低賃金や福祉の人間関係に疲れたり嫌気がさして他の産業で働いている日本人の介護現場への異動が優先するだろうと思います。
日本には64万人の介護福祉士がいます。そのうちの他分野で就労している人55000人、就労していない人95000人、合計15万人の介護福祉士が介護の現場に戻る施策をとるならばとりあえずの人材不足は解消するのではないでしょうか。
年間1000人に満たないインドネシア・フィリピンからの介護士受け入れ、しかも3年の滞日期間のうちに日本の介護福祉士の資格試験に合格しなければならない、合格しなければ強制退去になります。
インドネシア・フィリピンからの介護士の受け入れの仕組みは次のようになっています。
日本とインドネシアまたはフィリピン両政府が結んだ経済連携協定(EPA、FTP)に基づき来日し、半年間日本語の学習をする。2008年8月インドネシアから来日したのが日本では最初の介護分野での外国人労働者受け入れです。
その後就労先を斡旋する厚生労働省関連の財団法人国際厚生事業団から斡旋を受けて就労先へ赴任します。就労先は外国人介護士1人につき60万円の負担がかかるといいます。
その内訳は斡旋手数料16万円、配属前研修費36万円、交通費など諸費です。順番に見ていきます。
国際厚生事業団(JICWELS)斡旋手数料1人あたり16万円が必要です。コンピュータによる名前その他個人を特定できる情報のないマッチングのみで面接も不可であるといいます。
これらの外国人介護士等の受け入れには外務省・経済産業省のODA予算からおよそ20億円の予算が使われるようです。外国人介護士等の日本語研修費として1人あたり36万円かかる来日後の研修費用もここに含まれます。
〜〜外務省ホームページより引用〜〜
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/pdfs/seikyo_08_0309.pdf
(外国人介護士等は)「基本的には来日後に6ヵ月間の日本語研修(675時間)、および日本の生活習慣・職場適応研修、看護あるいは介護導入研修を受け」て配属される。
(略)
来日後 6ヵ月間の「日本語研修等」は経済産業省所管の(財)海外技術者研修協会(AOTS)と外務省所管の国際交流基金などによって行われる。その経費には、候補者が6カ月後に就労する病院などの施設による一部負担(1人当り約36万円)以外の大半は両省のODA予算があてられる。
〜〜引用終わり〜〜
厚生労働省は外務省・経済産業省のこれらODA予算とは別に、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士の円滑かつ適正な受入れ 83 百万円が計上されています。
http://www.geocities.co.jp/SweetHome-Ivory/9660/jpepa/budget.html
国際厚生事業団(厚生労働省)
http://www.jicwels.or.jp/
海外技術者研修協会(経済産業省)
http://www.aots.or.jp/
国際交流基金(外務省)
http://www.jpf.go.jp/j/
これらは各省庁の天下り先であり、何のことはない介護人材の不足を理由にしてODA予算、固有の予算を事業として認められた後は、自分たちの省庁の天下り先に仕事を割り振り、補助金を食べてしまう仕組みだったのです。
軽い気持ちで書き始めたのですが、実は外国人介護士の受け入れは日本国内で不足する介護人材の確保が目的ではない、のです。配分された予算を自分たちの省庁の天下り先に補助金を出して、仕事を請けさせる、デキレースの仕組みでした。
仮に現在の外国人介護士の受け入れを行なうにしても現地で日本語教育や日本に赴任するための教育を行なうならこの予算の10分の1で可能でしょう。また、これらの事業を民間が行なえばさらにコストを下げられ、もっと幅広い援助ができます。
むしろ、これらの予算を日本人の介護福祉士というプロに使えば効果的な人材確保ができるはずです。
たまたま、介護人材についてはこのようなことになっていることがわかりましたが、それ以外の多くの部面で多くのデキレースが行なわれ、本来の目的に反することが当たり前のように行なわれていることでしょう。
橋下さんや、東国原さんのニュースに騙されない透徹した見方を提供したいと思います。自分の安定を確保するためにチェンジ!です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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