2009年9月27日 日曜日
死者107人、鉄道史上最大の事故。JR福知山線脱線事故です。あらためて犠牲者のご冥福をお祈りします。
飲食の接待による情報の聞き出し
土屋隆一副社長 → JR西日本鈴木喜也東京本部副本部長 → 佐藤泰生元委員
JRに有利な発言と報告書漏えい
山崎正夫・JR西日本前社長 → 山口浩一委員
でも、事故報告書は正しい報告書である、というのが現在までの報道です。
んなわけないでしょう、常識から考えて。
新しい主人に変わったので官僚が自ら情報を出し始めたのではないか。ここに官僚のペットのような習性を垣間見るのです。
飼い犬は飼い主が弱いと見るとやりたい放題をするらしい。逆に、飼い主が厳しいと従順に従うものらしい。
自民党はナメられていたのですね、官僚に。で、政権交代し新しい主人が来たので官僚がみずから情報を出し始めた、政権交代のプラスの側面です。
JR福知山線脱線事故の調査報告書が当事者であるJR西日本に事前に漏れていた、という。
しかも、昔は同じ会社の上司と部下の関係。同じ企業文化で育った仲間、事故起しました、調査します、調査結果でました、という一連の進展のなかで調査内容と調査結果の発表までが人為的に操作されていた可能性が大きいということですね。
これは今まで起きた事故と事故の調査報告書すべてに存在する疑惑かもしれません。いや、そうに違いありません。鉄道・船舶・航空機事故のすべて、です。
〜〜東京新聞9月27日引用〜〜
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009092702000100.html
JR西 事故調と組織的接触か 幹部が部会長と飲食
尼崎JR脱線事故の報告書漏えい問題で、二〇〇七年六月の報告書公表前、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)鉄道部会長だった佐藤泰生元委員に対し、JR西日本の技術部門幹部を歴任した鈴木喜也東京本部副本部長(55)が会社の指示で十回前後、東京都内で接触していたことが二十六日、明らかになった。
同日夜、記者会見した鈴木副本部長によると、土屋隆一〓副社長が室長を務めるJR西の福知山線列車事故対策審議室から依頼を受けて、接触したという。
佐藤元部会長は、鈴木副本部長が旧国鉄構造物設計事務所に勤務していた当時の上司。JR西は国鉄時代の先輩、後輩関係を使って組織的に委員に接触を図って情報収集していたことになる。
鈴木副本部長は「審議室の打ち合わせの中で、『(調査内容について)何か聞けないか』という話になり、私から佐藤さんに連絡した。旧国鉄の元同僚と三人で、新宿の中華料理店で十回ぐらい会った」と説明した。
佐藤元部会長には、事故調での議論の内容や意見聴取の日程などを質問。社員の日勤教育が議論の対象になっているか確認した際には、佐藤元部会長が「出ているよ」と答えたという。
聞き出した内容は逐一、審議室に報告。鈴木副本部長は「少しでも聞くことができたらと思ったが、アバウトなことしか答えてもらえなかった。報告書についても教えてもらっていない」と話した。金品を贈ったことはないという。
佐藤元部会長は、JR西の山崎正夫前社長に最終報告書案を手渡した山口浩一元委員と同様、国鉄出身。
安全委によると、今年八月に山口元委員の情報漏えいが判明した後、安全委は調査にかかわった全委員と調査官に聞き取りし、佐藤元部会長は「JR西側から連絡を取ってきたので、同社の安全対策などを聴くいい機会と思った」と説明。
すでに公表されていた経過報告書などの内容には触れたが「最終報告書で明らかになる、事故原因や分析に関する内容は話さなかった」と釈明したという。
安全委は、報告書の作成過程で佐藤元部会長がJR西に有利に働くような言動はしなかったとしているが、後藤昇弘委員長は「利害当事者と個別に会うことはまずいという意識は以前からあり、できるだけ避けてほしかった」としている。
またJR西の山崎前社長が山口元委員に「報告書では、担当者ができるだけ特定されないようにしてほしい」と働き掛けたことも判明した。
〜〜MSN産経ニュース9月25日引用〜〜
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090925/dst0909252130007-n1.htm
先輩後輩の馴れ合い、見返りは鉄道模型やチョロQ 福知山線脱線情報漏洩
JR西日本の福知山線脱線事故調査情報漏洩問題では、航空・鉄道事故調査委員会(当時)の元委員、山口浩一氏(71)は当事者から、鉄道模型やチョロQをもらう一方、調査進展状況を漏らした上に、求めに応じて有利な書き換えまで進言していた。山口氏は国鉄出身で、JR西の山崎正夫前社長(66)と「先輩後輩」の関係。なれ合いが産んだ末の漏洩だった。「何を信じればいいのか…」。関係の深い人物が調査委に名を連ねていた事態に、遺族からも報告書の信頼性に疑問の声が漏れている。
山崎前社長が山口氏に、最初に接触を図ってきたのは平成18年5月。事実認定を積み重ねている段階だった。その後も、分析に入った19年4月など「時機を見計らい接触してきた」(運輸安全委幹部)という。
その度に、山口氏は説明し、報告書案の一部コピーを渡していた。要求は面会を重ねるごとにエスカレート。最終報告書に盛り込ませないため、委員会での「有利な書き換え」の発言まで求めた。その見返りは、調査報告書公表後の夕食接待だった。菓子や新幹線「500系」模型、チョロQ3個の手土産も受け取っていた。
専門的知識が必要な鉄道や航空事故の調査では、鉄道や航空各社の関係者が委員に名を連ね、自らの経歴に関連する事故を担当するケースもある。今回も「別の委員にもJR西側から接触があった」(同)という。調査の信頼・中立性に疑問が生まれ、前原誠司国交相は「今後は密接関係者を審議から外し、再発防止を図る」と話した。
金銭は否定
山崎前社長は25日、大阪市北区の本社ビルで会見し、「情報を早く知りたいの一念でやった」とし、何度も反省の弁を述べた。
会見の冒頭、深々と頭を下げた山崎前社長は「軽率な行為だった。多くのみなさまに深くおわびします」と陳謝。山口氏は「尊敬する国鉄時代の先輩の1人」で夕食や昼食を一緒にしたが、「赤ちょうちんに近い店。供応のイメージとは違う」と話し、金銭の授受も否定した。
また、山口氏には報告書の自動列車停止装置(ATS)に関する記述のほか、日勤教育についても意見したとした上で「守秘義務違反の認識が薄かった」と釈明した。被害者遺族から辞任を求める声が出ればどうするかと聞かれると一瞬沈黙し、「ただただおわびするだけ」と明言を避けた。
氷山の一角
長男を亡くし、遺族らでつくる「4・25ネットワーク」の世話人を務める木下廣史さん(51)は、19年2月に事故調が意見聴取会を開いたころから、国交省内に設置され、同省から調査官が派遣される事故調の独立性に疑問を感じ続けてきた。
「調査結果に影響がなかったと言われても、出来レースだったのではとの疑念は深まるばかり。まさか推測が現実になる日が来るとは」としており、すでにJR西の担当者を通じ、山崎前社長に経緯を説明するよう申し入れたことを明らかにした。
被害者の中では今回のケースを「氷山の一角」と懸念する声も。三男を亡くした下浦邦弘さん(61)は「この事故以外の事故調の報告も信じられなくなった。政権交代でもっとひどいケースが暴かれるのではないか」と指摘。
娘が負傷し、「負傷者と家族等の会」のメンバーでもある三井ハルコさん(53)は「これを機にほかにもあるかもしれない不正を洗い出してほしい」と話った。
(略)
〜〜引用終わり〜〜
こういう報告書が意味のないものであることは当然ですが、一番大きい問題は報告書は何のために作られるか、こんな報告書ではその目的が達成できないではないか、ということです。
当然事故再発防止、が第一です。
昔の仲間だからと接待を受け、有利な発言をし、出来上がった報告書。
事故は技術的な側面だけで起きるのではありません、技術を基礎とし、それを支えるシステムの適正、システムを運用する組織の適正など、数値以外の要因もあるはずです。
専門家でもなく、報告書も読んでいませんが、このなかの一つでも欠けていれば再発防止は達成できません。
わたしはこれまで何回も同じ事例があったのに、それを見すごし、適正な対応をしてこなかったJR西日本の鉄道の運営全体に過失があると思います。
たとえばハインリッヒの法則では1つの事故の背後にはたまたま大きな事故にならなかった同じような事故が29個の事故がある、その29個の事故の背後には300個の異常がある、というものです。
事故を鉄道運航全体のなかで位置づけてみればこのような300個の事故とその対策がどのように取られたか、を検証することは不可欠です。
刑事事件にならない軽微なものかもしれませんが、この事故に関する刑事責任をとるかとらないかとは別の事故再発防止の観点から、過去にどんな類似の事故があったか、それに対して適切な対応をしたか、について明らかにすることは絶対に必要なことだと思います。
技術や技術の導入の遅れといえば、しょうがない、誰の責任でもない、ということになりがちです。設備投資をすべきだったのにできなかった、のだからしょうがない、と。
しかし、類似の事故があるのにそこから学ばずに漫然と運航させていたとしたら、過失の有無にかかわらず、事故再発防止の観点からは指摘すべき課題です。
技術的な問題に矮小化させた報告書であった可能性を考えます。つまりわざわざ論点を落とさせた、論点にならなければ調査により指摘されることもありません。
国交省だけでなく、すべての省庁で進んで情報公開が行われることを強く期待します。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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