2009年11月13日 金曜日
平成21年11月12日、即位20年、天皇陛下のこれからのご健康を心から祈念いたします。
それぞれの時代の天皇陛下象があるのだろうと思います。歴史のなかでは、かっては、天皇陛下みずから政治を行い、政治的な決断をすることもありました。また、みずからの権力に権威がほしい新興勢力は天皇を利用しました。
武士階級が権力を掌握する鎌倉幕府から徳川幕府まで、天皇から征夷大将軍を与えられ、自らの権力を天皇によって権威づけたのです。
明治政府も、徳川幕府に対して明治天皇を前面に出すことにより、武士階級の権威を否定し、市民階級を権威づけたのです。
〜〜47ニュース11月12日引用〜〜
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111201000528.html
天皇陛下のお言葉全文
即位20年に当たり、政府ならびに国の内外の多くの人々から寄せられた祝意に対し、深く感謝します。
今年は平成生まれの人が成人に達した年で、スポーツその他の分野でも、既に平成生まれの人々の活躍が見られるようになりました。20年という時の流れを思い、深い感慨を覚えます。ここに即位以来の日々を顧み、私どもを、支え続けてくれた国民に心から謝意を表します。
この20年、さまざまなことがありました。とりわけ平成7年の阪神・淡路大震災をはじめとし、地震やそれに伴う津波、噴火、豪雨など、自然災害が幾度にもわたりわが国を襲い、多くの人命が失われたことを忘れることはできません。あらためて犠牲者を追悼し、被災した人々の苦労を思い、復興のために尽力してきた地域の人々、それを全国各地より支援した人々の労をねぎらいたく思います。
即位以来、国内各地を訪問することに努め、15年ですべての都道府県を訪れることができました。国と国民の姿を知り、国民と気持ちを分かち合うことを、大切なことであると考えてきました。それぞれの地域で、高齢化をはじめとしてさまざまな課題に対応を迫られていることが察せられましたが、訪れた地域はいずれもそれぞれに美しく、容易でない状況の中でも、人々が助け合い、自分たちの住む地域を少しでも向上させようと努力している姿を頼もしく見てきました。これからも、皇后と共に、各地に住む人々の生活に心を寄せていくつもりです。
先の戦争が終わって64年がたち、昨今は国民の4人に3人が戦後生まれの人となりました。この戦争においては、310万人の日本人の命が失われ、また外国人の命も多く失われました。その後の日本の復興は、戦後を支えた人々の計り知れぬ苦労により成し遂げられたものです。今日の日本がこのような大きな犠牲の上に築かれたことを忘れることなく、これを戦後生まれの人々に正しく伝えていくことが、これからの国の歩みにとり、大切なことではないかと考えます。
この20年間に国外で起こったこととして忘れられないのはベルリンの壁の崩壊です。即位の年に起こったこの事件に連なる一連の動きにより、ソビエト連邦からロシアを含む15カ国が独立し、それまでは外部からうかがい知ることのできなかったこれらの地域の実情や歴史的事実が明らかになりました。より透明な世界が築かれていくことに深い喜びを持ったことが思い起こされます。しかし、その後の世界は人々の待ち望んだような平和なものとはならず、今も各地域で紛争が絶えず、多くの人命が失われているのは誠に残念なことです。世界の人々が、共に平和と繁栄を享受できるようになることを目指して、すべての国が協力して努力を積み重ねることが大切であると思います。
今日、わが国はさまざまな課題に直面しています。このような中で、人々が互いにきずなを大切にし、叡智を結集し、相携えて努力することにより、忍耐強く困難を克服していけるよう切に願っています。
平成2年の即位礼の日は、穏やかな天候に恵まれ、式後、赤坂御所に戻るころ、午後の日差しが、国会議事堂を美しくあかね色に染めていた光景を思い出します。あの日沿道で受けた国民の祝福は、この長い年月、常に私どもの支えでした。即位20年に当たり、これまで多くの人々から寄せられたさまざまな善意を顧み、あらためて自分の在り方と務めに思いを致します。
ここに、今日の式典をこのように催されたことに対し、厚く感謝の意を表し、国の繁栄と国民の幸せを祈ります。
〜〜引用終わり〜〜
新しい時代に入った日本における天皇陛下の権威はこれまでの武士階級の権力下における天皇陛下の権威、そして市民階級の権力下における天皇陛下の権威とも異なるものになっていくでしょう。
しかも、それは特定の権力を代表するものではなく、民意を反映したものになるはずです。
わたしは、天皇制について、歴史に明らかなように日本国の政治文化として重要であり、守り続けなければならないと考えています。それは憲法に定められているからという消極的な理由ではありません。
かくも長きにわたる伝統的な政治文化は世界にはありません。
左翼や右翼の言う絶対君主ではなく、法律でもありません。日本国の政治文化そのものです。どのような立場であろうが、日本という国の統合の象徴なのです。
もちろん、天皇陛下は政治的に中立、というか選挙権がありません。だから日本国の進歩・未来の方向からものごとをみることができるのです。
これを具体的に見てみると、
天災に対する復興と支援、地域の助け合いと向上への努力、戦争の犠牲を顧みること、直面する問題に忍耐強く困難を克服していけるように願っている、というのです。この国民への目線を意識しないといけないのです。
天皇陛下は、行いではなく、言葉でもってこのように明確に国民の希望とそれにむけての課題を明言されておられる、ここにこそ、日本国民の総意を集めなければいけないでしょう。
利権談合による政治や行政の歪曲、天下りによる不労所得、誰かを騙して自分だけがいい思いをする、こういうものを排除し、日本人同士が助け合っていく社会こそが、世界がどのように変わろうとも、日本人が守り作り上げていくべき社会です。
天皇陛下が在位されたこの20年は、ベルリンの壁がなくなりヨーロッパがひとつに向かって動き出す半面、アメリカの世界貿易センターへのテロ、それに続くアフガン・イランへの戦争がありました。
国内では阪神大震災もオウム事件もこの20年に起きています。
そして、ソ連崩壊に匹敵するような大きな変革を日本人は成し遂げました、しかも無血で。
まだまだ日本国の政治・行政の課題は山積しています、また経済も拡大一辺倒の行き詰まりは当然予測されたこととはいえ、国民を不安にさせる要因になっています。
天皇陛下のお言葉のとおり日本人はお互いに助け合っていく、ことでこの課題を解決できると信じています。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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