2009年12月31日 木曜日 晴れ
2009年も今日で終わり、明日から2010年、平成22年。時計が一瞬のうちに12を通り過ぎるだけで2010年になる、生活は昨日の続きの今日、今日の続きの明日、何も変わることはありません。
しかし、日本人は初めと終わりをきちんと区別してきたし、区別したい民族なのでしょう。収穫の始めは種まきであり、収穫の終わりは刈り取りです。それぞれ始めと終わりに祭りがあります。
〜〜朝日コム12月30日引用〜〜
http://www.asahi.com/national/update/1230/NGY200912290015.html
月額コンサル料3千万円 生活保護受給者の宿泊所経営者
約2千人の生活保護受給者らから利用料を集め、「無料低額宿泊所」を運営する業界大手「FIS(エフアイエス)」の経営陣3人による脱税疑惑で、事業経営者(45)=東京都文京区=が、名古屋国税局の強制調査(査察)後、コンサルタント料として2008年分の所得約3億円を申告していたことが関係者の話でわかった。法人化したFIS側から受け取ったとされる。税務上問題はないが、社会福祉法が禁じる「不当な営利」にあたる可能性を指摘する声もある。
FISは首都圏を中心に21の宿泊所を運営し、経営者は、入居者1人あたり約12万円の生活保護費から家賃や食費などの名目で約9万円を集めた。そのうえで07年までの数年間で経費を除いた分にあたる総額約3億円を個人口座に振り込ませ、所得を隠したことが分かっている。
関係者によると、任意団体のFISは、07年末に株式会社3社を設立し、こうした資金の集め方を一部変更した。地域ごとに21施設を振り分けて運営し、経営者は3社から毎月一定額を自らの個人口座に振り込みで受け取ったという。コンサルタント料は月額で3千万円以上で、年間で約4億円に上り、経営者はこのうち約3億円を、08年分の個人所得として申告したという。経営者は3社の役員には入っていない。
朝日新聞の取材に、3社の幹部は経営者に年間4億円前後を支払う契約を結んでいるとし、「助言や指導、対外的な交渉などを含んだ金額」と説明。一方、経営者は「3億円弱の所得を申告した。ただ経費計上できない支出も多く、手元に残ったのは1億円台だ」と話す。
名古屋市にあるFISの施設は高齢の入所者が目立ち、「例えばせんべい布団はこの数年間変わっておらず、壁材ははがれ落ちる。利益を入所者のために使って欲しい」と語る人もいた。
宿泊所問題に詳しい「関西囲い屋対策会議」代表幹事の普門大輔弁護士は「社会福祉法に基づく施設であれば、法の規制を受ける。入所者の処遇が改善しないまま得た利益の積み重ねだとすれば、不当な利益にあたる恐れもあり、現行の制度でも行政は是正指導ができるはずだ」と話す。
〜〜引用終わり〜〜
福祉対策の設計をするときには、制度がどのように貧困・下流食いのビジネスになるか考えて設計しているのでしょうか。
名古屋市にはFIS、カインドネスなど無料低額宿泊所(入居者450人とも言われる)その他民間の福祉アパート(名古屋市内で11ケ所、入居者700名とも言われる)があります。
FISは傘下に3つの株式会社を擁する貧困ビジネスグループで、FIS東京・埼玉株式会社が10か所、FIS神奈川株式会社7か所、FIS千葉株式会社4か所合計2000人の入居者がいるといいます。名古屋には3か所(八事・御器所・亀島)があります。
NPO法人カインドネスは東京都1か所(50人)、神奈川県2か所(80人)、名古屋市10か所(249人)、名古屋以外の愛知県6か所(155人)を擁するNPO法人です。愛知県・名古屋市の施設を調べましたが不明です。
ホームページはありますが実態を表すものは何も掲載されていません。利用者の利便を考えていろいろな情報を掲載するのが普通なのですが、隠しているようにも感じますが、考えすぎでしょうか。
http://npo-kindness.org/
生活保護費を現金で渡せばそれをピンはねする業者は当然出てきます。当然です。そして貧困・下流の人数は多い、広く浅くピンはねしていけば大きな利益を生みます。しかし、実際には広く深くピンはねしていたようですから、儲かったでしょうね。全部税金です。
そろそろ、施設の外での生活保護こそ貧困者対策である、というドグマを捨てて、本当に必要な貧困者対策をする時期なのではないでしょうか。
1601年イギリスのエリザベス救貧法では、貧困は個人の怠惰によって生じるので、働く能力のある有能貧民には救貧院(ワークハウス)で働くことを強制し、廃疾など労働能力のない無能貧民は保護として生活扶養を行います。働く能力のある怠惰な困窮者は救済すべきでない、とされました。
ところが、施設に収容し、働かせるというのは奴隷的苦役を強いることになるため、次第に救貧院から自宅への救済(在宅保護)に変わります。
福祉の世界には院内救済は絶対に許されないというドグマがありますから、在宅保護による現金支給により「自由」に働くことを選択させようとするわけです。
近代資本主義が人間とは個人として尊重され、一人前の思考力と判断力を持ち、合理的に意思決定ができるものとした思想を、そのまま生活保護の制度に応用しているとも言えます。
しかし、資本主義の思想が実際の人間の意思決定とはまったく異なることは、今やどこでも見られることです。すべての人間が合理的に判断できるなら、犯罪はありえないはずです。実際には犯罪は増加しているように感じます。
福祉におけるこのドグマを捨てて、行政による失業者への住居・食事等の現物支給をすべきだと思います。切り捨てるということではありません、もっと体系的に保護をして自立への道筋をつけないと、カネが出ていくだけになります。
現金を手にすれば、貧困ビジネスにピンはねされたり、パチンコや競馬などのギャンブルに使ってしまったり、酒やたばこに消えたり、経済観念のない人もいるでしょう。それを排除し、施設に入れば街区や公園の掃除、道路の修復などを行わせる、ことは奴隷的苦役でしょうか(?)。このようななかで時間をかければ民間の清掃業者や土木・建設業者への就職が可能になるのではありませんか。
働くことにより、本人のスティグマも減少する。家族がいれば家族ともども本当の生活再建ができるのではないでしょうか。
もちろん就業できない疾病を抱えていたり、高齢で働くことができなかったりという事情があれば別の保護を考えなければなりません。
働く意思があり、能力があれば行政がより積極的に関与することで生活保護の目的を達成することができるなら、硬直した制度を見直していかなければならないと思います。
行政じしんが行わなくても委託事業として民間が行うこともいくらでも可能です。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。よいお年をお迎えください。

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