20104月27日 火曜日
鳩山由紀夫首相の政治資金問題、大マスコミは例によって、何とか鳩山首相と民主党を攻撃する材料にならないか、と血眼になって突っ込みどころを探しているように感じます。
検察審査会が出した結論にも、「ホントは黒だろう」と文句を言いたい気持ちが文章からにじみ出ています。揚句の果てには検察審査会という制度じたいの問題を鳩山首相の政治資金問題に関連付けた見出しをつけた新聞もあります。
たとえば、検察審査会の議論は議事を公開するということがありません。決議についても11人のメンバーや誰がどういう判断をしたかもわかりません。こういう制度の持つ限界を鳩山首相の責任のような見出しをつける、報道としてはありえないことを行っているのです。
まず、検察審査会の議決要旨を見てみましょう。
〜〜MSN産経ニュース4月26日引用〜〜
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100426/trl1004261222003-n1.htm
鳩山首相不起訴相当 検察審査会の議決要旨
鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金事件で、東京第4検察審査会(検審)が、鳩山氏の不起訴処分について「相当」とした議決の要旨は次の通り。
【議決の趣旨】
本件各不起訴処分は相当である。
【議決の理由】
(1)被疑事実の要旨
(略)
(2)検察官の不起訴処分
各被疑事実について嫌疑不十分
【審査会の判断】
▽関係者の供述は、収支報告書の虚偽の記載は勝場啓二被告(59)以外の者は全く知らず、鳩山氏は一切関与していないということで一致し、鳩山氏自身が虚偽の記載に積極的に加担しなければならない動機も見いだしがたく、他の証拠を検討してもこれを否定、覆すに足りる証拠はない。
収支報告書の虚偽の記載には直接関係しないが、一連の証拠によれば、「友愛政経懇話会」を含む鳩山氏の政治団体には、鳩山氏の母から、総支出に総収入を合わせる形で、実際の寄付などのほか、毎月1500万円、1年間で1億8000万円が拠出されている。
それにもかかわらず、鳩山氏は母からの莫大(ばくだい)な資金が使われていることも全く知らなかったという。
しかし、当検察審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、鳩山氏自身に対して検察官の取り調べがなされなかったこともあり、鳩山氏の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。
▽鳩山氏が会計責任者の選任について、相当の注意義務を怠ったということはできない。
政治団体の代表者が、政治資金規正法の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の選任および監督について相当の注意を怠ったときである。「選任および監督」の「および」は、選任と監督の両方を充足しない限り、責任を問うことはできない。
したがって、選任において問題がないことの結論に至った以上、監督面について検討するまでもない。
なお、この「選任および監督」について、当検察審査会では「政治家に都合のよい規定になっている。監督責任だけで会社の上司らが責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。
〜〜引用終わり〜〜
収支報告書の虚偽記載に関して鳩山首相は関与する動機がない、そして証拠もない、ただ世間一般の常識から考えると、巨額のカネが政治団体に渡っているのに知らないということがあるのだろうかとの疑問が少なからずあった、ということです。
検察審査会は検察官の不起訴に対して法律的にどうか、を審査する仕組みであって、世間の常識から見て妥当かどうかを審査することはありえません。仮に世間がいうように常識では考えられないとしても法律はその記載が第三者名で行われたことに違法性はないとしているのです。
自民党的な利権漁りのための企業・団体献金とは異なり、身内のカネで政治活動をすることは誉められるべきことであり、法律に抵触することではないし、ましてや犯罪を構成するものでないことは当然です。
そもそも告発した市民団体「鳩山由紀夫を告発する会」がどのような活動をしているのか、どのような構成員がいるのか、今回の事件のどこに問題があるのか、まったく明らかにされていません。
大マスコミはもちろん取材して知っているはずです。
統一教会・日本会議が関連するとか、在日特権を許さない市民の会の桜井誠氏や、「博士の独り言」著者の島津義広氏が関連している、などのネット情報があります。それにしても、桜井誠氏・島津義広氏といっても、本名も経歴もわからず、どのような職業化もわかりません。その手の活動を専業にしているプロ市民だという想像はつくのですが、匿名と変わりません。
いずれにしても、市民に依拠して活動をしてきた歴史のある市民団体ではなく、告発のために即席で作られた名前だけの団体なのでしょう。
大マスコミはひょっとすれば、これら「市民団体」からの威圧を受け、報復を恐れて報道していない可能性が大きいのではないでしょうか。いわば、かっての朝鮮総連に都合の悪い記事を書くと、朝鮮総連は傘下の朝鮮人を動員して集団で抗議行動を起こし、通常の業務ができなくなるほどのイヤガラセをする、そのために朝鮮総連に関する事実を報道しなかった、といいます。
暴力を恐れてペンを折る、報道の自由はその程度のものなのでしょうか。
このような言論テロとでも言うべき行為を恐れて報道しないならば、報道としての役割は何も果たしていません。これらを明らかにすることが報道の使命です。
では、毎月1500万円、1年間で1億8000万円が政治資金として使われたことは常識で見ればおかしいでしょうか。
確かに、わが家など1年間で200万円程度の生活費しか使わない市民からすれば、1億8000万円の金額は90年分の生活費に該当します。しかし政治は企業経営と同じくヒト・モノ・カネを使い、民意を喚起し、権力を奪取するプロセスです。
人を雇用すれば年間数百万円かかるし、それらの人の活動費はその2倍程度かかる、しかも権力を取りに行こうとすれば、より多くのカネがかかるのは当然です。民主主義の理念からいえば、政治の果実を受け取るものがそれを負担すべきなのですが、日本の場合は伝統的に政治の果実を受け取るものではなく、政治からの利権を得るものが負担してきました、企業団体献金です。
企業団体献金に頼らず親族から出たカネで政治活動をすることが、常識から見ればおかしいのでしょうか。
おかしいのは、企業団体献金で政治を利益の道具としてきた自民党政治そのものです。そこをスルーして、本来の政治活動を行う政治家がおかしいという大マスコミの常識は民主主義の理念すら理解できていない、ということです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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