2010年4月28日 水曜日
河村たかし名古屋市長が昨年2009年4月26日に誕生して1年が経過しました。そして、「減税日本」党結成、今の名古屋市政について感じることをメモしておきます。
〜〜中日新聞4月26日朝刊引用〜〜
マニフェストづくりに協力 後・名古屋大学教授
行政経営の資質に疑問
自治体の首長には、政治家と経営者の両方の資質が必要である。内側で密接にかかわった経験から率直に河村市長を評価すれば、政治家としての能力と人気は抜群の一方で、経営者としての能力と関心は極端に低い。
政治家としても、議会との対立構図をつくってアピールする面では卓越しているが、政治主導の行政経営を推進する面では乏しい。
河村市長と「決裂」した理由も、市長イメージが食い違っていたにある。政治主導の行政経営を確立し、マニフェストの項目を着実に実行していくことを期待したが、市長の関心は、議会解散の直接請求から住民投票、議会再選挙というシナリオを実現することに尽きると言っていい。
経営者としての資質と関心がこれほど乏しい人が、市長をやってよいのかという根本的な疑問の一方で、次の市長選では、それでも勝ってしまうだろうというのが困ったところである。
名古屋市のような大きな自治体では、市長も議会も政党を基礎にすべきだと思う。河村市長が積年の相乗り態勢を揺るがす役割を果たした後は、市政に責任を持つ覚悟のある二大政党が、選択肢を出して競うシステムを目指すしかない。首長も議員も市民が選ぶ二元代表制から、議会が首長を選ぶ議院内閣制など制度改革も必要になる。
〜〜引用終わり〜〜
尚、中日新聞の引用ではなく後房雄教授のブログでは省略してない全文を読むことができます。全文のほうが(当たり前ですが)よく理解できます。
http://blog.canpan.info/jacevo-board/
わたしは河村たかし名古屋市長とねんごろに話したことはありませんし(ねんごろではなく普通に話したこともない)、その辺りの事情はわかりません。
しかし、地方自治体における行政改革の必要性の優先順位は高いはずです。それを議会と対峙しつつ民意を背景に行うのか、それとも後教授の主張のように政治主導でマニフェストを着実に実行していくのか、という見解の違いでご破算にする、ということがおかしいと思うわけです。
仮に政治主導でマニフェストを着実に実行していく、ことと議会と対峙することは矛盾することではない、と思います。つまり議会と首長は権力分立をすることでより民意を反映させるためなのですから、政治主導でマニフェストを実行しようとするときに議会がそれに反対すれば議会と対峙せざるを得ない。恒久市民税減税はその施策だったはずです。
わたしは、後房雄教授の小選挙区制に関して「現状の制度に合わせて選挙をすればいい、そのなかでどう国民に支持されるかが必要」との意見に賛成します。だから、今回の河村市長になったあとの後房雄教授の言動に注目していました。
このような柔軟な姿勢で国政が動けば日本も大きく変わるだろうと、期待しました。
確かに国民の間の価値観の多様化という現実をみれば2大政党による政治というのはムチャに見えます。多くの価値観を反映した多くの比例代表による議会構成のほうが合理的にみえます。
しかし、多くの政党による代表が選ばれても政党自身が妥協しあい政策を国民利益に近づける努力をしない限り意味がありません。単に多党が存在するだけに終わります。
そのような政党の妥協に向けた努力が期待できない日本では、法律による2大政党制を作り上げた方が合理的とも考えられるからです。後房雄教授の現状の制度のなかで闘うしかない、というのは正しいと感じます。
ところが、今回は現状の河村たかし市長にはいろいろな問題が多すぎて支えきれないという、これは柔軟性に欠けると思うのです。
結局、市民に責任を持たなければならない政治家と学者の違い、ということになるのでしょうか。もちろん後教授の学問への興味が優先することはよく理解できます、しかし、現実の問題の解決に役立つべきだとする学問の位置付けからすれば、河村たかし名古屋市長と何か感情的に合わないから身を引く、それを理論づけた、という後味の悪い感じがするのです。
これは後房雄教授のブログ全文を読んでも変わらない感情です。
なぜか(?)
河村たかし名古屋市長に期待している、ことが一番の理由でしょう、多くの市民がそうだと思います。
そして、せっかくの変革のチャンスを潰すことはないではないか、という気持ちがあります。これも多くの市民が抱いていることだと思います。
そりゃぁ、文句をつけようとすれば、誰でも文句のつけどころのない人間はいません。しかし、その気に入らないことを、市長を支持する組織はマネジメントすることができないのか、フォローすることができないのか、という残念な思いがあります。
河村たかし名古屋市長が気に入らないから、あるいは自分の言い分を聞かないから、別れるというのではタレントへの追っかけと変わらないように思うからです。お互いに妥協し合って市民のための行政を政治主導でどうやって実現するか、をこそ共通の問題意識として考えてほしいと思います。
その河村たかし名古屋市長は新党を結成しました。
〜〜中日新聞4月26日引用〜〜
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010042690091503.html
河村名古屋市長「減税日本」届け出 他党との連携視野
名古屋市の河村たかし市長が代表を務める地域政党「減税日本」は26日、政治団体としての申請書類を愛知県選挙管理委員会に提出した。河村市長は記者会見し、「減税は政治の絶対的な原点。使命感を持って減税を訴え続ける勢力を作らなければいけないと考えた」と団体設立の目的を説明した。
大阪府の橋下徹知事が、河村新党との連携に積極的な考えを示したと聞いた河村市長は「ベリーウェルカム。話してみたい」と前向きの姿勢。
「日本創新党」や「みんなの党」からも連携を求める声もある。
河村市長は、賛同者は地域を問わず応援に駆けつけるとしており、「減税の語り部となる。それが私の使命だ」と、全国規模で減税勢力を結集する考えを示した。
河村市長の支援者らは今夏の参院選後、同市議会の解散を目指して署名集めを始める方針。
減税日本は次の市議選で、減税を軸に地域委員会の創設と議員報酬の半減も施策に掲げる候補者を擁立し、過半数の議席獲得を目指す。候補予定者は40人以上集まっているという。
設立時点では現職の市議は入っていないが、今後、民主党市議らにも参加を呼び掛けていく。
河村市長の元秘書で、同市議の則竹勅仁氏は26日、「施策は3つとも受け入れられる」と話し、参加に前向きな姿勢を示した。
〜〜引用終わり〜〜
明治維新では外国に対抗するためには権力の集中が必要だとしてトップダウンの組織を作りました。廃藩置県です。軍隊も警察は当然ですが、その他の行政分野も中央政府への権力集中です。
今、それでは日本国は立ち行かなくなり、地方主権とか地方分権といわれるようになりました。それは明らかに中央政府への権力集中に対するアンチテーゼでしょう。
廃藩置県ならぬ廃県置藩、尾張は尾張藩政を、水戸は水戸藩政を、そういう地方色豊かなローカルを作るために地域に財政も政治も移管していく、そのためには大きな妥協がそれぞれに求められると思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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