2010年4月29日 木曜日 昭和の日
大マスコミの反民主・反鳩山・反小沢キャンペーンが成功したかのように見えます、大マスコミのみなさまにおかれましては溜飲が下がったことでしょう。
小沢幹事長政治資金規正法問題で、検察審査会が起訴相当議決、全員一致。
検察審査会のメンバーもこの大マスコミの形成した「世論」に大きく左右されたのでしょう。気の毒に思います。
〜〜東京新聞4月27日引用〜〜
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010042802000061.html
小沢氏は『起訴相当』 検察審 全員一致
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる事件で、東京第五検察審査会は二十七日、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で告発され不起訴処分となった小沢氏について、「関与を否定した供述は不自然で、元秘書との共犯の成立が強く推認される」として、審査員十一人全員一致で「起訴相当」と議決した。小沢氏は同日、報道陣に「何もやましいことはない。与えられた職務を淡々と全力でこなす」と述べ、幹事長辞任を否定した。
議決を受け、東京地検特捜部が再捜査し、起訴するかどうかをあらためて判断。その結果、不起訴になっても審査会が再審査を行い、二度目の起訴相当が議決されると、小沢氏は裁判所が選ぶ指定弁護士に強制的に起訴され、公判が始まる。
議決は、陸山会の元事務担当で衆院議員石川知裕被告(36)=同法違反罪で起訴、民主党を離党=の「政治資金収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告、相談した」との供述などを直接証拠と位置付け、小沢氏の「収支報告書を確認せず、担当者が真実を記載していると信じ、了承した」との供述は「きわめて不合理、不自然」とした。
土地購入の原資となった小沢氏から陸山会への貸付金四億円を隠ぺいするため、執拗(しつよう)な偽装工作をしたと指摘し、「絶大な指揮命令権限を有する小沢氏の地位と状況証拠を総合考慮すれば、共謀共同正犯が成立する」と判断した。
さらに「『秘書に任せていた』と言えば政治家本人の責任は問われなくていいのか。市民目線からは許し難い」と批判し、「裁判所で真実の事実関係を明らかにすべきだ」と結論づけた。
特捜部は二月四日、石川被告ら三人を起訴、小沢氏を嫌疑不十分で不起訴とした。市民団体が同月十二日、不起訴は不当だとして審査を申し立てた。
改正検察審査会法の施行後、兵庫県明石市の歩道橋事故で元明石署副署長が、JR福知山線脱線事故でJR西日本の歴代三社長が、ともに二度の起訴相当議決を受けて業務上過失致死傷罪で強制起訴された。政治資金規正法違反事件で審査を申し立てられていた鳩山由紀夫首相は、不起訴を妥当とする議決を受けた。
〜〜引用終わり〜〜
まず、検察審査会。全国の地方裁判所・及びその支部のなかに165の審査会があり、 @、検察が捜査の末「不起訴」とした事件について A、被害者や事件を告訴・告発した人から申し立てにより B、くじにより選ばれた市民11人で検察の不起訴処分を審議します。不起訴処分には、起訴できるが起訴しないという起訴猶予処分と証拠が不十分であるという嫌疑不十分があります。
その結果
不起訴相当議決 →11人のうち6人以上が不起訴処分は正しいとの議決です。
不起訴不当議決 →11人のうち6人以上が不起訴処分は納得できないとの議決です。
起訴相当議決 →11人のうち8人以上が不起訴処分は謝りであり起訴すべきとの議決です。
不起訴不当の議決、起訴相当の議決は検察への拘束力はありませんでしたが、裁判員制度の導入に合わせて同じ事件に関して2回目の起訴相当議決が行われると自動的に起訴されることになります。
〜〜MSN産経ニュース4月27日引用〜〜
【小沢氏「起訴相当」】東京第5検察審査会の議決要旨
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100427/crm1004272303048-n1.htm
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で、小沢氏を「起訴相当」とした27日の検察審査会議決の要旨は次の通り。
【容疑内容】
小沢氏は陸山会の代表者。真実は陸山会が、平成16年10月に代金約3億4千万円を支払い、東京都世田谷区の土地を取得したのに、
(1)会計責任者の元公設秘書大久保隆規、元私設秘書の衆院議員石川知裕の2被告と共謀の上、17年3月ごろ、16年分の収支報告書に、土地代金の支払いや土地を記載しないまま、総務大臣に提出した
(2)大久保、元私設秘書池田光智の2被告と共謀の上、18年3月ごろ、17年分の収支報告書に、土地代金分を含む約4億1500万円を事務所費として支出し、土地を17年1月7日に取得したと虚偽記入し、提出した−ものである。
【審査会の判断】
石川、池田両被告の、収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告・相談したとする供述がある。小沢氏は、いずれの年の収支報告書についても、提出前に確認せず、担当者が真実ありのままを記載したと信じて了承していたと供述しているが、きわめて不合理・不自然で信用できない。
小沢氏が否認していても、以下の状況証拠が認められる。
(1)小沢氏からの4億円を原資として土地を購入した事実を隠ぺいするため、銀行への融資申込書などに小沢氏自らが署名、押印し、陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払ってまで銀行融資を受けるなど、執拗な偽装工作をした。
(2)土地代金を全額支払っているのに、売り主との間で、17年度分の固定資産税などを陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本登記を翌年にずらした。
(3)工作は、小沢氏が多額の資金を持っていると周囲に疑われ、マスコミに騒がれないための手段と推測される。
(4)絶対権力者である小沢氏に無断で、大久保被告らが資金の流れの隠ぺい工作をする必要も理由もない。
総合すると、小沢氏と大久保被告らとの共謀を認定することは可能。判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と3人の立場などを考慮すれば、小沢氏に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能だ。
政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、民主政治の健全な発展に寄与することだ。
(1)「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
(2)「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況で、市民目線からは許し難い。
小沢氏を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきだ。これこそが善良な市民としての感覚だ。
〜〜引用終わり〜〜
わたしの一番の違和感は検察審査会議決が、上記のうちどのようなものであろうと告発した「市民団体」「グループ」や被害者が、「検察が起訴しないのはおかしいという感情を吐露し、理由を明確にし、国民にアピールします。司法に民意を反映させるということであれば検察審査会への告発者にはそれだけの理由がありますから記者会見などの機会にそれを行うのは当然です。
最近注目された検察審査会としては、明石花火大会歩道橋事故、JR福知山線脱線事故がありますが、いずれも堂々と記者会見を開き感想を述べています。
ところが
小沢幹事長の今回の検察審査会の起訴相当との議決は、告発したとされる「市民団体」の会見の記事はありませんでした。言ってみれば検察審査会が自分たちの告発を適正に評価したということであり、勝利でもあるわけです。それを記者会見でアピールしない不思議、大きな違和感があります。
逆に、大マスコミは、民主党の小沢幹事長に否定的な立場の議員の幹事長辞任を要求したり、選挙への不安の発言ををタレ流しました。
検察の不起訴処分をチェックするという以上、相当な事実や証拠の積み重ねが必要です。それがどこまで行われたのかブラックボックスのなかでは説得力がありません。
少なくとも大マスコミの報道に接するだけの国民(メディアリテラシーを持たない国民)には、「小沢一郎は悪いヤツ、だから起訴すべき」という大マスコミの怒涛のような枕詞が功を奏したことは間違いないでしょう。
しかし、検察が強制捜査をしてまで入手できなかった証拠をどのようにして見つけるのか、大きな困難があります。
とくに共謀共同正犯だという断定は共謀の意思と謀議の事実により犯意が形成されたことが証明されなければならず、立証は却って困難であり、失敗すれば無罪となります。
今回の事件には殺人罪や業務上過失致死罪のような被害者は存在しません。しかも元秘書が関わったという司法の決着はついていません。このような事件についても検察審査会が不起訴処分の妥当性を議決するというのはおかしい、のではないか、というのがわたしの素朴な考えです。
過去、検察審査会の議決をきっかけに起訴するも無罪判決となった甲山事件などもあり、世論を背にした検察審査会議決が必ずしも正しいとは限らない例もあります。
さて、検察審査会で2回目の起訴相当議決が行われれば検察官の捜査資料は検察官役の弁護士に渡され起訴されることになります。それは捜査資料が検察以外の第三者の目に触れることでもあります。
捜査資料は検察自身が不起訴にした根拠であり、検察は第三者に渡したくない、第三者による評価につながることは絶対にしないだろうから、遅くとも5月中に小沢幹事長を起訴する、という動きになるだろう、との見解もあります。
動があれば反動がある、振り子も右に振れれば必ず左にかえります。検察自身が大マスコミにリークした情報は、検察自身を追い詰めることになる可能性が高い。民主主義の創造に自らを位置付けるなら、国民と対立した構図ではなく協同の立場で事を為すことが求められます。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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