2010年8月18日 水曜日
昨日の日記、中途半端でした。続きを今日も一つ。
〜〜JBプレス8月17日引用〜〜
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4208
「住宅ローンなんて放り出せ」、米国で「夜逃げ屋」が続々登場
借金などの様々な事情で夜逃げしたい人たちを助ける『夜逃げ屋本舗』という映画のシリーズが日本でヒットしたのは、1990年代前半。20年後の今、米国で「夜逃げ屋」のような会社が雨後のタケノコのように出現している。
映画と違う点は、夜逃げする人たちが全員「住宅ローン」から逃れようとしていることだ。どの「夜逃げ屋」のウェブサイトを見ても、同じ言葉で住宅ローン返済に苦しむ人たちに語りかけている。
「いっそのこと投げ出してしまいなさい」と。
支払い能力があるのに家を捨てる米国人
現在、米国で政府や銀行の悩みの種になっているのは、失業や病気などのやむを得ない経済的な事情で住宅ローンを支払えなくなってしまった人たちではない。支払い能力があるにもかかわらず、住宅ローンを放棄して家を捨てる方が長期的に見て経済的に理にかなっていると判断した人たちだ。こうした判断は、「戦略的デフォルト」「戦略的債務不履行」などの名前で知られる。
住宅ローンを放棄する人たちは、米国では通称「投げ出し人(Walkaways)」と呼ばれている。前述の夜逃げ屋が助けているのは、こういった人々である。
ポストに鍵を残し、夜のうちに家財道具と共に消える古典的な夜逃げもあれば、貸し手の銀行に鍵を送りつけ堂々と引っ越す人、また単にローンの返済を止め、追い出されるまで居座る例もある。
昨年は史上最高の300万件に近い住宅が競売にかけられた。政府は、そのうちおよそ100万件が「投げ出し」物件だと見ている。現在でも、競売物件の4件に1件は捨てられた家だという。
不動産バブル崩壊で住宅価値が大幅に目減り
投げ出す理由は、不動産バブル崩壊後、住宅の価値がローンの返済残高よりも大きく下回ってしまったからだ。
例えばサンフランシスコ郊外に住むAさんの場合、2006年の不動産価格ピーク時に購入した家のローンがおよそ3500万円残っている。返済期間は30年だ。現在、この家の価値は2000万円前後だという。
Aさんはこれまで、ローン返済、家の保険、財産税を合わせて月々18万円支払ってきた。だが現在は、近所にあるもっと広い家が月額7万円で借りることができる。
「家が競売にかけられれば、しばらくローンを組めなかったり、金融機関のブラックリストに載ることは分かっていました。けれども、30年間苦しみ続けるより数年我慢するほうが賢明だと思い、ローンの支払いを止めました」とAさんは語る。
Aさんを含め、家を捨てるほとんどの人が、頭金なしでローンを組んでいるのも特徴だ。当時、銀行は頭金なしでもどんどんローンを組ませていた。「投げ出す」ことで社会的な制裁は受けるものの、金銭的な被害はローンを払い続けるよりも少ないのが現実だ。
彼らには支払い能力がないわけではない。金融機関のブラックリストに載る数年の間に貯蓄し、将来また家を購入しようと考えている。
他にも、生きている間に不動産価格が戻らないと考えて家を捨てる高齢者たちや、格安の別物件を見つけてローンで購入し、現在の持ち家を投げ出すという巧妙な例もある。
罰するのが難しい「投げ出し人」
現在、米国全体で、持ち家の価値が住宅ローンの返済残高より下回っているケースがおよそ1320万件あるという(CoreLogic調査)。
政府は国民に対して再三「家族や友人に恥ずかしくないような、責任ある行動を取るように」と訴えてきた。ローンを投げ出す人が増え続けることが、経済回復の足を引っ張る無視できない要因になってきているからだ。
しかし、1000万円単位の損失を前にする人々の耳に、政府の言葉はむなしく響く。
ローン返済を放棄する人に対して、脅しになるような恐ろしい制裁があるわけではない。そのため、政府は各人のモラルや責任感にしか訴えられない。
ローンの支払いが滞り、家が競売にかけられれば、その後7年間にわたり金融機関のブラックリストに名前が載り、車など他のローンは断られるか、通常よりずっと高い利子でしか借りられなくなる。また、クレジットカードの利子も上がるか、カードそのものが使えなくなる。もちろん新規発行は難しくなる。実害としてはこの程度で収まってしまうのがほとんどだ。
州によっては、ローンの支払いができなくなった、または、しなくなった人に対して、貸し手の金融機関が、その人の銀行預金や車など他の資産を差し押さえられる法律がある。しかし、費用がかかりすぎるため、実際に資産の差し押さえに至るのはまれだという。
連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)も先月、ローンを投げ出した人たちに対する新しいペナルティーを設けた。支払い能力があるにもかかわらずローン返済を止めた人たちは、自宅が競売にかけられてから7年間の間、ファニーメイが保証する住宅ローンを受けることができなくなるという。また、今後は「戦略的」に投げ出した人たちに対して訴訟を起こすこともあるという。
しかし、実際に支払い能力が「ある、ない」の線をどこで引くのか、戦略的に投げ出したことをどうやって証明するのかなど、ファニーメイ自体が答えられないでいる。不動産市場崩壊の政府の責任を問う世論が強い中、政府の特殊法人であるファニーメイが、ローンで悩む人を訴えると、どれだけの批判を浴びるのかという心配もあるようだ。
こういった背景により、不動産不況の中で起こった空前のモラルハザードはとどまるところを知らないという状況だ。
貸し手の金融機関もローンを「投げ出し」
「投げ出し」は、子供や友人に対して極めて恥ずかしい思いをする行為である。それだけではない。競売物件が出ると、周辺地域の不動産価格も下がってしまう。つまり、自分の家が競売に出れば、近所の人に多大な迷惑と損害を与える。モラルを大切にする米国人にとって、このような行為はこれまで御法度だった。
それが開き直りの態度に変わったのは、ローンの貸し手である金融機関の商売方法に原因がある。
サブプライムローン問題や、本来、住宅ローンを組めないような人たちにも詐欺まがいの手法で貸し出したことで、一般の人には「そもそもだまされた被害者は自分たちなのだ」という感覚がある。
また、不動産ローンの投げ出しは、銀行や不動産会社にとっては当たり前の商売方法である。「投げ出し人」問題が表面化し、ローン返済を計画的に放棄した人たちが批判されているが、一方で、モルガン・スタンレーはバブル最盛期にローンで購入したサンフランシスコのオフィスビル5棟を不動産価値が下がり過ぎたことで投げ出した。
もちろんビジネスの論理と一般人の論理を比べることはできない。だが、銀行への住宅ローン返済に四苦八苦し、マイホームの時価が購入時の半額に落ち込んで夢も希望もなくなっている人たちにとれば、金融機関や不動産会社が行っていることは、「投げ出し」を正当化する格好の理由になる。
アリゾナ大学のブレント・ホワイト教授は、自宅のローンを投げ出した356人に調査を行った。いずれも、これまでクレジットカードや他の支払いを一度も遅らせたことがない人たちである。彼らに最終的に持ち家を捨てる決意をさせたのは、金融機関に対する怒りだったという。
調査対象となった全員が、自宅の資産価値が大幅に下がったことを受け、ローンの組み替えや変更、修正の相談のため、貸し手に連絡している。だが、全員がまったく交渉に応じてもらえず、鼻であしらわれている。
彼らは、オバマ政権がスタートした競売救済プログラムにも申し込んだが、今のところ、より厳しい経済状況にある人の救済が優先されているため、審査を通ることができない。
「投げ出し人」は、モラルの低い短絡的な判断をする人々ではない。そのことが、一層、危機的な社会状況を表している。投げ出しは近所から近所へ、友人から友人へとウイルスのように広がっている。
そのウイルスは、金融機関や政府、果ては金融システムそのものへの怒りと不信を餌に、どんどん増え続けている。
〜〜引用終わり〜〜
昨日に続き、破産か夜逃げか。日本は自己破産、アメリカはどうやら夜逃げのようです。アメリカの住宅ローンは「ノンリコースローン」と呼ばれ、担保権を設定し借入を行った後、返済ができなければ、担保を処分して終わりになります。仮に2000万円で一戸建て住宅を購入し、全額2000万円のローンを付けて返済してきたが残高が1800万円だとすると、不動産が1000万円に値下がりしていても、不動産さえ手放せば借金はチャラになります。
日本では銀行が残高と担保処分による返済の差額800万円を支払えと言ってきます。アメリカはそれがないわけです。
日本がおかしいのか、アメリカがおかしいのか(?)お読みいただいている皆様には本当のことを教えます。実は日本の銀行もアメリカと同じ処理をしています。
異なるのはその後です。日本の銀行は差額800万円を「お客さん、踏み倒しはいけませんぜ、借りたもんはきちんと耳をそろえて返してもらわんと、こちとら慈善事業やってるんや、おまへんで」と言ってくるわけです。そうすると払うだけのキャッシュフローが無ければ自己破産です。あるいは「月々2万円ずつなら払えますから、これで勘弁してください」と銀行にお願いをします。しかし、銀行は今期の決算でこの800万円の損失を自社系列のサービサーに1000円で、売却し、差額799万9000円を無税償却してしまいます。これで終わりになります。銀行は全体の利益からこの約800万円の損金を控除して税金を納めるだけなのです。
企業会計上も当然の処理です。担保がなくなり返済されるか返済されないかわからない貸金債権を計上していれば粉飾決算になります。償却しなければならないのです。サービサーが全額回収すれば7999万8000円も儲かるなどということは、無茶苦茶です。元手は1000しかかかっていないのですから。
こうして、日本のメガバンク三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほの1社も法人税を払っていません(住友信託銀行は法人税を払っています)。わが社のような小さな会社ですら法人税を払っているのに、です。
アメリカとどこも変わりません、やっていることは同じです。それなのに、なぜ日本人は律義に返済しようとするのか、なかには自殺して生命保険金で埋め合わせしようという債務者だっています。この実態を知ってバカらしくて自殺を思いとどまってください。命に勝る価値はありません。しかも、銀行員はどうせ他人のカネを貸しているだけです。痛くも痒くもありません。せいぜい支店長の出世に影響する程度のものです。
では、なぜアメリカも日本も同じやり方なのに日本は律義に破産し、アメリカは破産もせず夜逃げ程度で数年間だけクレジットが組めないだけで終わるのか。
損金がイヤなら銀行はそこまで多額の金額を貸さなければいいのです。ところが銀行は利益を出したい、儲けたいと思うからカネを貸すのです。1000万円を貸すより2000万円を貸す方が利息は取れます。それだけではありません。アメリカはこの貸金債権を証券化商品組成会社に販売し、販売代金をまた住宅ローンとして貸出をしてボロ儲けをしていたわけです。濡れ手に粟、利益を出し、投資銀行の役員も従業員も法外な給料やボーナスを取っていたことは周知のとおりです。
儲けたいから担保をとって貸す、担保にそれだけの価値があると思うから貸す、リスクが大きすぎると思えば、担保価値を低く見積もればいい、貸す義務はないのですから。
ほとんどの先進国はアメリカのやり方です。ということで、日本・アメリカどちらの方が正しい処理なのでしょうか。困っている方がいらっしゃいましたら助けますよ。命を捨てる前に相談してください。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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