2008年11月28日
オバマ次期大統領が次々と政権を担う人事を決めていますね。日本がバブル崩壊後の経済再生に苦しんでいたとき、アメリカは何をしたか、彼らがどのような役割を果たしたか、これを知りたいですね。
感覚的にいえば日本の国債を購入して金融危機回避に協力したわけでもなく、公的資金の投入に反対し、日本の破綻した金融機関や資産を持った企業を叩いて安値で買取り、日本の低い金利で資金調達をしてアメリカのバブルに突っ込んだ、それだけのことです。つまり金融がアメリカ産業の中心になった時代、自分たちの利益確保に必死になっていただけ、強欲資本主義を地でいっただけです。
日本は指をくわえて見ているだけで何もできなかった、小泉純一郎氏も竹中平蔵氏もグローバル化を積極的に行った、アメリカが日本市場に入りやすくすること、垣根を取っ払ってやることをグローバル化、とでもいうように。
クリントン政権時代のサマーズ元財務長官は国家経済会議議長に、ガイトナー現ニューヨーク連邦準備銀行の総裁は財務長官に指名されました。二人とも日本との縁が深く知日派だとの評価です。それだけにアメリカが何を要求してくるかが問題だとも。
かって日本が経験したバブル崩壊とアメリカの国家戦略としての金融立国のなかの動きを見れば、金融立国化に失敗したツケを日本に求めてくることは容易に想像できます。誰がなっても同じだと思います。
実態からいえば今までのアメリカは分不相応な暮らしをするために、いろいろな手練手管で資金を集めて成り立たせてきた国家です。金融危機ではその仕組みがまるっと逆目に出て個別の金融機関の資金調達が不可能になり、政府が決済資金を用意し、さらに資産の保証をしなければ金融機関が成り立たなくなっています。
このような死に体国家から何を言われても、何を要求されても日本は日本の国益を守る立場から、堂々とNOと言うべきです。アメリカがいくら経済浮揚策を作ってもそれを実施するお金がなければ絵に描いた餅にすぎません。
景気浮揚策を実行するお金はアメリカ国債を買ってもらうことなのですが、アメリカ国内の預金は日本の約2分の1、750兆円しかありません、アメリカ国民の貯金をアテにできません。
しかもドル安でより多くの国債を発行しなければ必要な金額が調達できないのですからドル安はさらに進みます。資源産出国はこのようなリスクの高いドルで原油価格を払ってもらいたいとは思いません、もっと安全な通貨を求めるでしょう。
しかし、アメリカはそれでも自国でお金を調達しなければいけないのです。今までの生活がおかしかったのですから。過剰消費をやめる、貯金に回す、この基本が大切になります。経常収支の赤字、財政赤字、家計の赤字を解消することが最優先ですから、お金を使わない、モノを輸入をしない、外から見ると保護主義のように見えますが仕方のないことです。
今「ドル資産は売り」です。でなければ損失は拡大します。日本政府は国際金融について自国の利益を最優先にした、長期的でグローバルな戦略を立案して、そのなかでアメリカ・ヨーロッパ諸国・アジア諸国とどう協力していくかを決めるべきです。
それは従来のアメリカに追従するだけの外交ではなく、自らの力で将来を切り拓く、新しい仕組みづくりです。自民党の政策の枠内で解決できないし、国民が参加して作るべきものです。自民党政権の枠内から、自民党も民主党も財界も消費者も参加した政治の枠組みが必要です。

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